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■要人警護に犯罪捜査、覆面パトカーは交通取り締まり以外にも活躍している
交通取り締まりに使われる覆面パトカーは、正式名称を「交通取締用四輪車(反転警光灯)」といいます。
一般には白黒で赤色灯がルーフに置かれているクルマをパトカーといい、白黒に塗られず私たちが乗る一般車両と同じ風貌をした警察車両を覆面パトカーと呼びますが、その中でも交通取り締まりを中心に活動するクルマはごく限られた存在です。
今回は、あまりご厄介になりたくない、覆面パトカーの見分け方や、その実態を解説していきます。
●専門教育を受けた警察官が乗る、高速道路の覆面パトカー
一口にパトカーや覆面パトカーと言っても、様々な種類があります。
事故処理や警護、犯罪捜査に使われる警察車両と、交通取り締まりを中心に行うクルマは、厳密にいうと種類が違うのです。
もちろん乗っている人が所属する課も違います。私たちドライバーの安全を守り、街中で交通違反の取り締まりを中心に業務を行っているのは、警察署の中でも「交通課」に所属する警察官です。
高速道路や自動車専用道路での速度取り締まり等では、交通機動隊や高速道路交通警察隊に所属する、専門的な教育を受けた警察官が仕事をします。
この専門教育を受けた警察官が、スピード違反の取り締まりを行うのに乗るクルマに覆面パトカーが多いことから、覆面パトカーはスピード違反を取り締まる専用のクルマのように思われますが、交通機動隊にはもちろん白黒の普通のパトカーの外装をしたクルマも存在しますし、走行しています。
●交通取締用四輪車(反転警光灯)の特徴
交通取り締まりを行うパトカーは、白黒外装の制服パトカーや覆面パトカーを問わず、猛スピードでスピード違反の取り締まりを行うことができるよう、大排気量エンジンが搭載されています。
また、緊急走行時(取締走行時)には法定速度が免除されますが、その際には「赤色灯の点灯」「フロントグリル左右の全面警光灯の点灯」「サイレンの稼働」を行わなければなりません。これは取り締まりを行う際のルールです。
まず、高速道路を走る覆面パトカーの特徴としては、「反転警光灯」を使っているという点が挙げられます。
刑事ドラマなどで見る、車内から取り出して助手席の捜査員が天井にマグネットで設置するような警光灯は使用せず、天井裏に格納されて使用時に蓋が開き赤色灯が登場する仕組みです。
これは、マグネット式だと高速走行中に外れてしまう恐れがあるためで、捜査用の覆面パトカーとは大きく違うポイントです。そのため、反転式警光灯の蓋部分は、少し凹んでいます。
次に、車内での特徴です。リアガラスにスモークが貼られていることが多く、車内の様子を詳しく確認することが難しいのですが、よく見るとルームミラーが2段になっています。運転席からも助手席からも周囲を確認できるようにするためで、覆面パトカーの大きな特徴です。
2段になったルームミラーからも分かる通り、乗員は2名です。運転席と助手席に1人ずつ座っており、後部座席に人を乗せて取り締まりを行うことはありません。中の警察官は制服を着用し、ヘルメットを被っています。
一般車に紛れて走行している姿も特徴的です。覆面パトカーといえど、交通法規を無視できるのは先に挙げた通り赤色灯やサイレンなどを稼働させている場合だけです。稼働させていないときは、一般車両と同じく交通法規を守ります。つまり、左側車線を走行し、法定速度をしっかりと守るのです。
白・黒・シルバーの車体色で、クラウンやスカイライン、マークXなどが静かに左車線を走行している場合は、覆面パトカーであることを疑ってみてもいいでしょう。
●車種やエンブレム、ナンバーで見つけ出すのは難しい。
ひと昔前は、覆面パトカーはクラウンかスカイラインとほぼ決まっていました。色は白か黒で、トランクにあるはずのグレード名エンブレムがありません。ナンバープレートも特殊車両の8ナンバーだったことから、車種・エンブレム・ナンバーで容易に見分けられた覆面パトカーですが、現在はその多くが対策を施されています。
車種は、クラウン・スカイラインに加え、マークX、カムリなど様々です。青いWRX S4なども存在し、車種や色などは特定のモデルでは無くなってきました。
さらに、ナンバープレートも一般車両と同様に3ナンバーとなっています。今や8ナンバーの覆面とはほとんど出会いませんので、ナンバーの数字で見分けることは不可能です。
唯一、ナンバープレートからわかる情報としては、覆面パトカーはその地域を管轄する警察署が配備しています。つまり、地元ナンバーの覆面パトカーが圧倒的多数ということです。
基本的に警察には管轄という縄張り地域が存在し、その地域を抜け出して取り締まりを行うことはありません(災害時や非常事態時を除く)。
たとえば、宮城なら宮城・仙台ナンバー、埼玉なら大宮・川口ナンバーです。表記の少ない都道府県なら使えますが、北海道では札幌・函館・室蘭・苫小牧・帯広・釧路・知床・北見・旭川と9つも種類があり、東京・神奈川・千葉などの関東圏では特に表記が多くなりますので、先述した覆面パトカーの特徴をしっかりと頭に入れて対応していきましょう。
●まとめ
覆面パトカーのお世話にはなりたくないものです。しかし、まずは交通法規を守り安全に運転する我々の心構えが重要ですし、ルールを守っていれば、取り締まりを受けることもありません。
常に見られている意識を働かせることが覆面パトカーの役割とされており、交通違反の未然防止にも役立っている存在です。覆面パトカーとはうまく付き合いながら、ドライブを楽しみたいですね。
(文:佐々木 亘)