すぎもと たかよし 
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■新型ゴルフのデザインを徹底検証！
2021年6月15日、フォルクスワーゲングループジャパン株式会社は、8年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型「ゴルフ」を発表しました。そこで、この8代目のエクステリアデザインについて、あらためてじっくり検証してみたいと思います。
●ワイド感を強調したフロントビュー
まずサイズの変化を見ると、30mm長く、5mm低くなったことは昨今のモデルチェンジの潮流に乗ったものですが、意外なのは幅が10mm狭くなったことと、ホイールベースが15mm短くなったことです。
全幅は、拡大化の風潮に歯止めを掛ける意味からも望ましいところ。一方、ホイールベースは、50mm拡大した「バリアント」（ワゴン）とあえて違いを出し、それぞれの特徴を明快にするためとか。ただ、5ドアでも全長は延びているので、わざわざ短くするのはどうでしょうか？
フロントビューは最近のVW車らしく、薄いアッパーグリルや3本のラインを使ったアンダーグリル（Active系）が、横長基調、ワイド感を表現。中でも、LEDを用いた車幅ランプは、発表時から「違和感がある」「まだ見慣れない」といった試乗記事が散見されるほど話題です。
たしかに点灯時の表情こそ相当に個性的ですが、ランプ自体は特段妙なカタチではないし、グリルも一定の厚みを持っています。個人的には「低く広い」フロントを表現する手法として、LEDを上手く使ったなと感じています。
また、やはり最近のVW車らしいのが非常に強いキャラクターライン。見所は、フロントランプの内側からAピラーに引かれたラインがボンネットフードに、また、ランプの中心を起点とするベルトラインはボディサイドに、それぞれ大きな凹面を作っている部分です。
ザックリ削ったかのような凹面は余計なボリューム感を減らし、ボディにシャープさを生みますが、この8代目は「エアロダイナミクス」を大きく掲げており、同時に空力特性も重視しているよう。
いずれにしても、高度なプレス技術を感じさせるこの2本のラインは印象的です。
●すべてが整理されたデザイン
サイドビューでは、リアに向けて緩やかに下るルーフと、ベルトラインの明確なウエッジ基調が見て取れます。ここは実用車でありながら、低さや前進感を両立させようとする意図でしょうか。
このベルトラインと平行するショルダーラインは、よく見るとドアハンドルの上面にキッチリ合わせ込まれていて、その精度の高さに驚かされます。また、ホイールアーチの同心円はしっかり幅を持たせてあり、過剰な張り出しはなくても十分な質感を保っています。
リアビューでは、上下に薄いガラス面と、左右に絞り込まれたキャビンが特徴。とくに、サイドのショルダー部が凹面から凸面に変化しつつリアパネルに回り込む流れは非常に滑らかで、これにより絞り込まれたキャビンと、台形の安定した下半身の組み合わせが、いかにも欧州コンパクト的です。
また、フロントに準じた2段構成のリアランプは、ショルダーから回り込んだキャラクターラインとともに平行線を描き、後ろ姿にもワイド感と落ち着きを表現しています。
総じて見ると、8代目はルーフやボンネットなど、空力を意識した曲面ボディに対し、前後ランプやアンダーグリル、ショルダーラインなどの直線を、適度なスパイスとして取り込んでいるように思えます。
さらに、多くのラインやランプなど、各要素が実に巧妙に整理されているのも特徴。代名詞的なCピラーを始め、関係が曖昧な面や線がどこにも見当たらず、すべてが計算し尽くされているようです。
ゴルフらしさを堅持しつつ、必ず新しさを取り入れる。しかも、短絡的な思い付きの表現には走らない。それを退屈と取るか否かはユーザーによりますが、少なくとも非常に高度なデザイン作業であることは確かです。
■主要諸元 ゴルフ eTSI Active
全長×全幅×全高 4295mm×1790mm×1475mm
ホイールベース 2620mm
車両重量 1310kg
エンジン 直列3気筒DOHCインタークーラーターボ
トランスミッション 7速DSG
