スムーズな加速と変速フィールが美点のフォルクスワーゲン・パサート オールトラックの走り

■オールトラックは、2.0Lディーゼル+4WDの組み合わせ

以前お伝えしたように、2021年4月にマイナーチェンジを受けたフォルクスワーゲンパサート。ステーションワゴンであるヴァリアントから派生した「オールトラック」にも試乗する機会がありましたので、ご報告します。

フォルクスワーゲン パサートオールトラック
マイナーチェンジを受けたパサートオールトラックの走り

ボディサイズは、全長4785×全幅1855×全高1535mmで、ヴァリアントよりも全幅と全高がそれぞれ25mm拡大しています。

セダンとヴァリアントには、ガソリンターボの「1.4TSI」に代わって「1.5TSI」が新たに搭載され、2.0Lディーゼルターボの「2.0TDI」も用意。

オールトラックは、後者の2.0TDIのみ。1760kgという車両重量を、最高出力190ps/3500-4000rpm・最大トルク400Nm/1900-3300rpmというディーゼルターボが過不足なく加速させていきます。

フォルクスワーゲン パサートオールトラック
パサートオールトラックのリヤビュー

改良前のトランスミッションは、デュアルクラッチの6速DSGで、マイナーチェンジで7速DSGに多段化されています。同ディーゼルエンジンは、驚くほどトルクフルではないものの、7速化もあって低速域からスムーズな変速フィールと共に気持ちよく速度を乗せていきます。

オールトラックは、FFのヴァリアントに対してフルタイム4WD(4モーション)化されていて、単純比較はできないものの、TDIを積むヴァリアントよりも150kg重くなっています。

フォルクスワーゲン パサートオールトラック
2.0L直列4気筒DOHCディーゼルターボを積む

それでもその重さを抱かせないパンチ力を深めに踏み込むことで得られます。もちろん、DSGの美点である電光石火のシフトチェンジも貢献していて、シティユースからロングドライブまで気持ちのいいドライブが楽しめるはず。

一方で、街中を中心とした中・低速域でゴツゴツとしたショックが伝わってくるのは惜しいところ。高速道路で法定速度まで速度を上げていくと少しフラットライド感が出てきますが、街中の速度域では、硬め。

試乗車の「TDI 4MOTION Advance」には、アダプティブシャシーコントロールの「DCC」が標準装備されていて、この電子制御ダンパーで「コンフォート」にすれば若干角が取れた乗り味になります。

フォルクスワーゲン パサートオールトラック
常時コネクティッドの新世代インフォテイメントシステムが採用されている

なお、「TDI 4MOTION Advance」のタイヤサイズは、245/45R18。同じ日に乗ったマイナーチェンジ版のアルテオン(4モーション)の方が乗り味は明らかに良好で、同じプラットフォームでもかなりテイストは異なっています。

オールトラックなので、荷物を満載して4人乗車という状況であれば乗り心地も変わってきそうですが、マイナーチェンジ版のパサートに関しては、以前に試乗したセダンも含めて乗り味は少しハードという印象。

フォルクスワーゲン パサートオールトラック
最大時のラゲッジスペース

オールトラックは639L-1769Lというクラストップレベルの荷室容量を誇り、160mm(ヴァリアントは130mm)という最低地上高、前後輪の駆動トルクを「100:0」から「50:50」の間で可変するフルタイム4WDが加わります。

キャンプなどをはじめ、マリンスポーツやウインタースポーツも難なくこなす積載性と悪路走破性、背の低いワゴン派生型クロスオーバーならではの走りの安定感などが魅力。さらに、ほかのパサートシリーズと同様に、同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist(トラベルアシスト)」も加わっていて、ロングドライブのサポートも強化されています。

(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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