■冬道はもちろん、マッド路面でも高い走破性を確保
日本でもオールシーズンタイヤの発売が相次ぎ、知名度も徐々に高まっています。非降雪地域では、年に数回のためにスタッドレスタイヤに履き替えるのは面倒で、雪が降ったら乗らない(乗らずにすむ場合ですが)、チェーンでやり過ごすという人も多いでしょう。
タクシーやトラックなどがチェーンを履いて走行している姿も見かけますが、急な積雪や除雪された冬道などに対応するオールシーズンタイヤは、文字どおり、氷上などの厳しい冬道をのぞき、四季を通して対応できるのが特徴です。なお、スタッドレスタイヤなどの冬タイヤと同様に、タイヤチェーンが必須であるチェーン規制下では、オールシーズンタイヤ単体のみでは走行できませんので要注意です。
日本グッドイヤーは、商用車用オールシーズンタイヤである「VECTOR 4SEASONS CARGO(ベクター フォーシーズンズ カーゴ)」を2021年8月2日から発売すると明らかにしました。発売サイズは全4サイズ、価格はオープンです。
1977年に世界に先駆けてラジアルタイヤのオールシーズンタイヤである「TIEMPO(ティエンポ)」を投入したグッドイヤー。日本では2016年に「Vector 4Seasons Hybrid(ベクター フォーシーズンズ ハイブリッド)」が日本製に切り替わっています。さらに、2018年には、ミニバン・SUV向けのオールシーズンタイヤである「Assurance WeatherReady(アシュアランス ウェザーレディ)」をリリース。このほど、商用車用のオールシーズンタイヤの「VECTOR 4SEASONS CARGO」が加わります。
今回の追加により、グッドイヤーのオールシーズンタイヤのサイズラインアップは、「Vector 4Seasons Hybrid」の45サイズ、「Assurance WeatherReady」の31サイズに加えて、「VECTOR 4SEASONS CARGO」の4サイズで、計80サイズに達します。
新製品の「ベクター フォーシーズンズ カーゴ」にも「M+S&スノーフレークマーク」が刻印されています。泥濘路であるマッド路面ので走破性は、通常のサマータイヤよりも高く、走行中の遠心力でタイヤの溝にはまった石などを排出するセルフクリーニング性能にも優れているそう。
さらに、スノーフレークマークの取得により、高速道路などの冬タイヤ規制下(チェーン規制ではない)でも走行できます。
技術面では、「3D ブレイドサイプシステム テクノロジー」の採用がトピックス。サイプ内部に半球体状の凹凸が配置されることで、ブロックの倒れこみを防止します。さらにドライ路面やウェット、冬道などでの走行時に高い操縦安定性を実現します。また、ブロックの剛性が高まることで、偏摩耗の抑制にも貢献し、耐摩耗性を確保。
加えて「エコ プラス トレッド テクノロジー」と呼ぶ技術が採用されています。こちらは、トレッド部の圧力分布を最適化し、接地路面も最大化することで、偏摩耗を抑制。氷上や雪上でのパフォーマンスを高めるほか、商用車に求められるロングライフ性能も向上させる技術です。
また、「エコ クッション テクノロジー」も採用されています。こちらは、トレッド部とカーカス部の間に、新開発の低発熱ゴムが搭載され、発熱を抑えることで転がり抵抗を低減し、燃費性能を向上させる技術。
先述したように、商用車でもオールシーズンタイヤのニーズは高く、非降雪地域でオールシーズンタイヤの導入を考えている事業社や個人事業主の方などに朗報です。
(塚田 勝弘)