■電動化の急先鋒プジョーがフラッグシップモデルに待望のPHEVを追加
2020年、プジョー208/e-208が日本カー・オブ・ザ・イヤーのインポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したプジョーの新車販売が絶好調です。そんな筆者も4月に2008を購入しました。
2021年6月の販売台数が登録ベースで対前年同月比+88%の1536台となり、上期のプジョーブランドの累計販売台数は対前年比+71%に達しています。これは、過去10年の単月最高台数、過去20年でも歴代2番目という記録となっています。
この数字は主力モデルの208/e-208そして208/e-208をベースとしたコンパクトSUVの2008/e-2008の導入。
3008/5008のマイナーチェンジに加えて、e-208、e-2008といったEVやPHEVの3008GT ハイブリッド4を積極的に導入し、電動化を進めていることが支えていると言えます。
その電動化を積極的に進めているプジョーは、2021年6月にフラッグシップモデルである508にPHEVの508GTハイブリッド/508SW GTハイブリッドを追加し、ラインアップを刷新しています。今回この508GTハイブリッドに試乗できましたので、インプレッションを紹介します。
●猫脚、健在!
プジョー508は2019年に日本に導入されたプジョーブランドのフラッグシップモデルです。ファストバックスタイルの508とステーションワゴンの508SWの2つのボディタイプを用意しています。
外観デザインは、現在のプジョーブランドのアイコンとなっているヘッドライトから下に伸びるセイバー(サーベル)と呼ばれるデイタイムランニングライトを採用しています。
インテリアでは、プジョーのシグネチャーにしてインターフェイスとして、革新的なi-コクピットを採用。安全装備では、アクティブクルーズコントロールやアクティブセーフティブレーキなどの先進の運転支援システムを採用しています。
508に搭載されているパワートレインは、従来の1.6L直列4気筒ガソリンターボ+8速AT、2L直列4気筒ディーゼルターボ+8速ATに加えて、今回システム合計出力228ps・最大トルク360Nmを発生する1.6L直4ガソリンエンジン+モーター+8速ATというPHEVを追加しました。このPHEVの追加に伴い、グレード構成はGTに集約されています。
PHEVの508GTハイブリッドシステムのバッテリー容量は11.8kWhで、満充電時EV走行距離はWLTCモードで56km。最高速度は135km/hとなります。
そしてハイブリッド燃料消費率は15.5km/Lです。また、バッテリーの充電は普通充電のみに対応しており、200V/3kWで約5時間、200V/6kWでは約2時間半で満充電となります。
試乗したのは、車両本体価格607万8000円の508GTハイブリッドです。このモデルはCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)として、20万円が受けられます。
ガソリン車と比べると車両重量は約280kgも重くなっています。しかし2800mmというロングホイールベースと電子制御のアクティブサスペンションが生み出す乗り心地は、「猫脚」と呼ばれたプジョー伝統のしなやかな乗り味をさらに進化。
ロール量を抑えることで、フラットで揺れが少なく疲れにくい乗り心地となっています。
満充電時で約56kmまでモーターのみによるEV走行が可能。EV走行中は静粛性の高さが際立ちます。また走行モードはエレクトリック、ハイブリッド、コンフォート、スポーツと4種類からドライバーが状況に合わせて選ぶことができます。
惜しいところは、走行しながらPHEVのバッテリーを充電するチャージモードがないことでしょうか。その点を除けば、しなやかでフラットな乗り心地や高い静粛性など、さすがフラッグシップモデルという出来映えと言えます。
●プジョー508GTハイブリッド (8速AT)
■Specification
全長4750mm×全幅1860mm×全高1420mm、ホイールベース 2800mm、車両重量1510kg、エンジン種類 直列4気筒DOHC、総排気量1598cc、最高出力180ps/6000rpm、最大トルク300Nm/3000rpm、モーター最高出力110ps/2500rpm、モーター最大トルク320Nm/500-2500rpm
(文・写真:萩原文博)