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■エンジンだけでなく、テレスコピックフォークの採用など車体の革新技術も開発
●4輪車同様高級モデルが多いが、価格に見合った重量感と性能が魅力
航空機のエンジンメーカーとして創業したBMWは、第一次世界大戦の航空機製造規制を機にバイクの製造を始めました。ボクサーツインと呼ばれる水平対向2気筒エンジンが有名ですが、その他にも個性的な多くの技術を採用しています。
ドイツの高級4輪自動車かつバイクメーカーであるBMWの歩みについて、解説します。
●起源
BMWの起源は、航空機エンジンの製造です。
・1916年:グスタフ・オットーが航空機エンジンを製造する「BFW(バイエルン航空機工業)」を設立
航空機用エンジンの開発を主に機体の組み上げまで行うメーカーとして名を上げます。
・1917年:現在の「BMW(バイエルン発動機製造))に改称
BMWの青と白のエンブレムの「青」は空、白は「プロペラ」を表しています。
・1919年:バイク生産に着手
第一次世界大戦でのドイツの敗戦後、飛行機の生産を制限されたためバイク生産へとシフト。最初に開発したエンジンは、水平対向493ccのサイドバルブエンジンで高い評価を受けます。
・1923年:初めてオリジナルのバイク「R32」を発売
エンジンは、現在までBMWで受け継がれている水平対向2気筒(ボクサーツイン)です。
●BMWの躍進
BMWは、性能をアピールするためR32でレースに参戦しますが、出力に劣るR32では勝負になりませんでした。ライバルに対抗できる改良エンジンを開発、搭載した市販レーサー「R37」は、当時最も過酷なレースISDT(インターナショナル・シックス・デイ・トライアル)で初優勝を飾りました。
その後、BMWは欧州のレースで驚異的な強さを発揮し、世界中にその名を轟かせます。レースの成功で実績を積んで、1920年代後半にR32、R37に続いて247cc単気筒モデルの「R39」、R32の後継「R42」、745ccの「R62」と立て続けに新しいモデルを投入しました。一方で、バイクの成功に自信を深めたBMWは、1928年に4輪自動車への進出を始めます。
●BMWのバイク史概要
1920年代後半、レース用バイクに「スーパーチャージャー」を搭載、レースでは敵なしとなります。またこの頃、バイクの世界最高速度を達成するなどさまざまな新しい技術を先駆けて採用し、世界的なバイクメーカーに成長します。
・走行安定性と乗り心地を改善するテレスコピックフォーク、スイングアームシャシーの採用
1935年、「R12ツーリング」モデルと「R17スポーツ」モデルで油圧ダンパー付きのテレスコピックフォークを世界で初めて採用。また1955年には、「R50」と「R69」で画期的なスイングアームシャシーを採用
・革新的な軽量パイプフレーム登場
1936年、「R5スポーツ」モデルで革新的な軽量、高剛性構造の楕円パイプのフレームを始めて採用
・最速のスーパーバイク
1960年、当時最速のスーパーバイク「R69S」に量産初となる油圧式ステアリングダンパーを採用
・空力を考慮したフルフェアリングを標準生産
1976年、世界で初めて空力を最適化したフルフェアリングを装備
・安全技術と環境技術にもいち早く対応
1988年、世界初のABS搭載バイクを発売、さらに1990年にはKモデルで世界初の排ガス規制対応の三元触媒を採用。また2004年には「K1200S」で初めて電子制御サスペンションを装備、「R1200GS」は爆発的なヒットとなります。
航空機エンジンの製造を起源とするBMWは、伝統的にエンジンに強いこだわりを持ち、バイクも4輪も先進的な技術を採用したスポーティな高級車を主力としています。高価ながら、ドイツらしい頑強なエンジンと優れた走行安定性によって高級ブランドを確立しています。
(Mr.ソラン)