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■世界的に有名なカーアクション映画に登場する1台
クルマと映画が好きな多くの人が知っている、ハリウッドのカーアクションムービー「ワイルドスピード(原題Fast & Furious)」シリーズ。
その第1作目に登場したトヨタ「スープラ」は、スポーティかつ戦闘的なエアロや鮮やかなオレンジのボディカラー、斬新なグラフィックなどを施し、映画で大活躍! 当時、日本でも大きな話題となりました。
その本物のスープラ・ムービーカーが、アメリカ・ラスベガスで6月17日〜19日に開催された世界最大級の自動車オークション「バレット・ジャクソン(Barrett-Jackson)」に出展され、55万ドル(約6106万5950円)で落札! 全米で大きな話題となっています。
●4代目のA80型スープラがベース
今回、オークションで落札された1994年式スープラは、2001年に公開された第1作目に俳優の故ポール・ウォーカーさん(2013年に事故で他界)が演じる、主役のブライアン・オコナーが乗ったことで有名です。
劇中のラストでは、ヴィン・ディーゼルさん演じるドミニク・トレットが駆るダッジ「チャージャー」と壮絶なストリートレースを展開し、まさに「第2の主役」ともいえるクルマです。
ベース車両は4代目のA80型で、映画のためにカルフォルニア州にある「シャークショップ(Shark Shop)」というビルダーがカスタムしたものです。オークションには、映画用に8台作られたうちの1台が出品されました。
エンジンには、最高出力280psもの大パワーを発揮する3.0L直列6気筒ターボの2JZ-GTE型を搭載。劇中では、ウォーカーさんがシフトチェンジする模様も出てきますが、実はミッションは4速ATなので、そのシーンだけ別のクルマで撮影したのかもしれません。
ボディカラーには、ランボルギーニ「ディアブロ」と同じ鮮やかなキャンディオレンジパールをカスタムペイント。ボディサイドには「ニュクリア・グラディエーター(Nuclear Gladiator、「核の剣闘士」といった意味)」と呼ばれるオリジナル・キャラクターも描かれています。
なお、このグラフィックは、アメリカの有名デザイン会社「トロイリーデザインズ」が担当。専用カーフィルムにデザインを印刷し貼り付ける、現地でバイナルグラフィックス(日本ではラッピング)と呼ばれる手法が施されています。
●日本メーカーのパーツも装備
このクルマのスタイリッシュでシャープな外観を演出するエアロパーツには、日本メーカーの「ボメックス」が手掛けたフロントバンパーやサイドスカート、リヤアンダースポイラーを採用。ちなみに、このエアロは現在も販売されていて、20年続く同社のロングセラーとなっているそうです。
また、リヤフードに付いたアルミ製GTウイングはアメリカのメーカー「APR」製、スポーティな5本スポークのホイールは「レーシングハートM5」の19インチが装着されています。
余談ですが、このホイール、映画公開当時は日本の「タケチプロジェクト」というメーカーが扱い、北米にも輸出していました。ですが、今は会社が存在せず、アメリカでは「ダズモータースポーツ(Dazz Motorsport)」が販売しているようです。
実は、このクルマはシリーズ第2弾「ワイルドスピードX2」でも、ウォーカーさん扮するオコナーの愛車「スラップジャック・スープラ(Slap Jack’s Supra)」として登場します。2作目ではボディカラーをゴールドに変更していたのですが、その後、1作目の仕様に戻されたとのことです。
まさに、歴史に残る名車ともいうべき1台ですね。誰が落札したのかは明かされていませんが、ぜひ大切に残していってもらいたいものです。ちなみに、シリーズ9作目の最新作「ワイルドスピード/ジェットブレイク」が、日本で8月6日に公開される予定です。
(文:平塚直樹)
【関連リンク】
「ワイルドスピード/ジェットブレイク」公式ホームページ
https://wildspeed-official.jp/