1.0Lと1.5Lを設定する48Vマイルドハイブリッドの新型フォルクスワーゲン・ゴルフ。走りはいかに?

■エンジン完全停止からの再始動も非常に静かなマイルドハイブリッド

先行予約がスタートしていた8代目のフォルクスワーゲンゴルフ。1000台の先行受注が発表されていて、4グレードいずれもまんべんなく売れているそうです。

価格は、「1.0eTSI」エンジンを積むエントリーグレードの「eTSI Active Basic」が291万6000円、同じく「1.0eTSI」を搭載する「eTSI Active」が312万5000円。「1.5eTSI」を積む「eTSI Style」が370万5000円「1.5eTSI」を搭載するスポーティグレードの「eTSI R-Line」が375万5000円となっています。

フォルクスワーゲン・ゴルフ
新型フォルクスワーゲン・ゴルフの走行シーン

リヤにも「eTSI」のバッジが配置されるゴルフ8。その理由は、フォルクスワーゲン初のベルトスタータージェネレーター(BSG)を備えた48Vマイルドハイブリッドが採用されたためで、エンジンの始動、エネルギー回生、エンジン出力のアシストをBSGが担うことになります。

なお、「1.0eTSI」の1.0L(999cc)の直列3気筒DOHCターボは、81kW(110PS)/5500rpm、200Nm/1500-3500rpm。「1.5eTSI」は、1.5L(1497cc)の直列4気筒ターボを搭載し、110kW(150PS)/5000-6000rpm、250Nm/1500-3500rpmというスペック。BSGのモーターは、9.4kW(13PS)/62Nmとなっています。

フォルクスワーゲン・ゴルフ
1.0Lと1.5Lガソリンエンジンターボを設定し、ともに48Vマイルドハイブリッドを組み合わせる

組み合わされるトランスミッションは、いずれも7速DSGで、シフトバイワイヤ化されたことで、軽い操作感になると共に、低速で前進している際にリバースギヤに入れると、適切な速度に達してからリバースギヤに切り替わるなど、操作性の向上と誤操作の防止も盛り込まれています。

筆者が試乗した日は、あいにくの大雨と横殴りの強風で、プレス試乗会が一時中断したほど。ワイパーを最速で動かしても前がほとんど見えないような状況もあり、察知できたのは限定的でした。

フォルクスワーゲン・ゴルフ
新型ゴルフのセレクターレバーは、シフトバイワイヤ化されている

それでも走り出しからパワステのフィーリングも、パワートレーンも非常に滑らかで、累計販売台数3500万台、世界で45秒に1台売れてきたというフォルクスワーゲン・ゴルフの中でも、最高の仕上がりであることが伝わってきます。

感心させられるのは静粛性の高さ。運良く雨が一時的に収まり、ドライになりかけた高速道路も走行できました。新東名の120km/h巡航時でも驚くほど静かで、欧州Dセグメントよりも静かかもしれません。

フォルクスワーゲン・ゴルフ
アダプティブクルーズコントロール、レーンキープアシストシステムなどからなる「トラベルアシスト」は、210km/hまでの車速をカバーする

高速域や山道では、中央付近の手応え感が若干薄いパワステのフィーリングが気になったものの、高速域のスタビリティは雨天時でも万全。ライントレース性の高さも「さすが!」といえるレベルで、コーナーの大小を問わずスムーズにクリアしていきます。

気になるパワートレーンの仕上がりも最新世代にふさわしいもので、1.0Lでも街中であれば不足はなく、高速道路の合流時や急な山道で少しパンチ力不足を感じさせるシーンはあるものの、クルマの流れをリードできる力感を備えています。

1.5Lは低速域から力強く、高速域の伸び感も十分。また、48Vマイルドハイブリッドによるアシストもあって、先述したように、スムーズさが増したパワートレーンは、発進時の静粛性向上にも寄与しています。

フォルクスワーゲン・ゴルフ
デジタルメータークラスターを採用する新型フォルクスワーゲン・ゴルフ
フォルクスワーゲン・ゴルフ
高速域のスタビリティ、正確なライントレース性も魅力

さらに、エンジンが完全に停止し、コースティング(滑走)も可能で、エンジン再始動の音・振動も抑えられています。既述のように筆者が試乗した日は、まれに見る悪条件下ではあったものの、「Travel Assist(トラベルアシスト)」の高い信頼性も確認できました。

アダプティブクルーズコントロール、レーンキープアシストシステムは、前方視界が最悪に近い状態でも「オフ」になることはなく、強烈な横風を食らってもまっすぐ走行できました。静電容量センサーが備わったことで、軽く握っているだけでもレーンキープが可能なので、ロングドライブでのドライバーの疲労軽減に絶大な効果がありそうです。

(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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