■主力エンジンになった「1.5 TSI」は、気筒休止システムなどにより燃費が向上
4年ぶりにマイナーチェンジを受けたフォルクスワーゲン・ティグアンが2021年5月に発売されました。「1.4 TSI」から「1.5 TSI Evo」にガソリンエンジンの排気量が拡大され、組み合わされるデュアルクラッチトランスミッションも6速DSGから7速DSGに多段化されています。
マイナーチェンジ前で主力だったディーゼルエンジンのTDIが、エミッションなどの問題で日本上陸が見送られています。ディーゼル+4WDの組み合わせが人気だっただけに残念です。
一方で、マイナーチェンジ後の主力エンジンになった1.5L直列4気筒ガソリンの「1.5 TSI」は、最新世代のガソリンエンジン仕様にふさわしい高い完成度を披露してくれました。
なお、2021年後半に導入される見込みの「ティグアンR」には、2.0Lのガソリンエンジンが搭載されます。
新パワートレーンの「1.5 TSI Evo」は、最高出力150PS/5000-6000rpm・最大トルク250Nm/1500-3500rpmというスペックで、マイナーチェンジ前の「1.4 TSI」とスペック的には変わっていません。
ただし、新たに「アクティブシリンダーマネージメント(気筒休止機能)」が搭載され、走行状況に応じて2気筒を休止し、燃費向上が図られています。JC08モード燃費は、13.0km/Lから15.5km/L(WLTCモード燃費は、14.3km/L)に向上しています。
7速DSGと組み合わされる1.5 TSIは、スペックこそ変わっていないものの、改良前よりもエンジンのツキが良くなった印象で、スムーズに回転を上げていきます。
DSGは極低速域のマナーも含めて、さらに洗練されたシフトフィールになり、パワートレーンの滑らかさは一段と向上。気筒休止も音や振動で察知することは不可能といえるほど、黒子役に徹していてドライバーは何も気にせずに運転に専念できます。
高速道路の合流時にもう少しパンチ力あれば……と感じさせるシーンもありましたが、実用上力不足を抱かせるシーンはほとんどなく、山道でもスムーズに速度を乗せていきます。
一方、235/55R18を履く「TSI Elegance」は、路面の凹凸を素直に拾う、硬めの乗り味。乗り比べた255/40R20サイズ(DCCパッケージ装着車)の「TSI R-Line」は、アダプティブシャーシコントロール「DCC」の恩恵は大きく、18インチ装着車よりもしなやかな乗り味に感じられたほど。
「コンフォート」モードに入れておけば、硬さを意識させられるシーンには、極低速域で荒れた路面以外はあまり遭遇しませんでした。
また、マイナーチェンジでアップデートされた先進安全装備のうち、同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist(トラベルアシスト)」は、低速域から作動し、先行車の追従や車線の中央維持もより上手になった感があります。
持ち前の直進安定性の高さは健在ですから、ロングドライブをより楽に楽しめる相棒としても新型ティグアンでは享受できます。
(文・写真:塚田 勝弘)