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■300ccのGTSと125ccのプリマベーラに限定モデル
イタリアの「ベスパ」といえば、昭和の名作映画や人気テレビドラマなどに数多く登場し、当時は多くの子どもたちやバイク好きの憬れとなったスクーター・ブランドです。
そのベスパが2021年で生誕75周年を迎え、それを記念した特別仕様車が登場。国内で販売を行っているピアッジオグループジャパンから、125ccの「プリマベーラ75th」と300ccの「GTS 75th」が発表されました。
●映画やドラマで活躍した伝説のスクーター
イタリアで生まれたベスパは、元々は航空機メーカーだったピアッジオが、1946年に生産を開始した小型スクーターです。
独特のスチールモノコックボディや前輪の片持ちサスペンションなど、航空機の技術を活用した装備は当時としては画期的で、現在のモデルにも引き継がれているほど長い伝統を誇ります。
また、ハンドルを回してシフトチェンジする独自のマニュアルトランスミッションなどを採用、誰にでも扱いやすい大衆スクーターとして、イタリアだけでなく、インドや東南アジアでも販売されるほどの世界的ヒットとなります。
ベスパは、イタリア語で「スズメバチ」のこと。由来は、当時搭載されていた2ストロークエンジンが発する甲高いエンジン音だといいます。
2000年代以降は、欧州の排ガス規正基準に対応するため、4ストロークエンジン+CVT(無段変速機構)が採用されますが、ボディなどの基本構成は今でも継承されています。
ベスパは、前述の通り、数々の映画やドラマに登場したことでも有名です。1953年公開の「ローマの休日」、1973年公開の「アメリカン・グラフィティ」など、数々の名作で使われています。
また、1979年公開のイギリス映画「さらば青春の光」では、ウインドシールドや多数のバックミラーを装着したカスタム仕様が話題に。当時「モッズ」と呼ばれた若者のライフスタイルを象徴するバイクとして、世界的に有名なスクーターとなります。
ちなみに日本ではテレビドラマ「探偵物語」で、主役の故・松田優作さんが演じる私立探偵・工藤俊作が乗るスクーターとしてベスパが起用されました。黒のスーツ姿に派手なシャツやネクタイ、ソフト帽とサングラスを身にまとい、長身の松田さんが大都会・東京(渋谷界隈)でベスパに乗る姿は、筆者をはじめ、当時このドラマを見た多くの子どもたちの憬れだったといえます。
●限定のメタリックイエロー塗装を採用
そんなベスパの75周年記念車は、プリマベーラ125(124cc・空冷4スト単気筒)とGTS300(278cc・空冷4スト単気筒)という2モデルをベースに、専用のボディカラーをはじめ、新型シートや、特別デザインのラウンドバッグ、そのバッグが装着できるクロームメッキのリアキャリアを装備しているのが特徴です。
特に、注目はカラーリング。頑丈で転倒しても壊れにくいことで定評があるオールスチールボディには、限定のメタリックイエロー塗装が施されています。この限定塗装は、1940年代に流行した色合いを現代的な解釈で再構成し、ベスパの革新的な精神やファッションを愛するスタイルをイメージしたものです。
また、サイドパネルとフロントマッドガードには、かすかに強調された上品な色使いで「75」の数字も投入し、75周年記念モデルであることをそれとなく主張。
さらに、フロント部分のステアリングコラムカバー、独特の形状により、通称「ネクタイ」と呼ばれるパーツ部分には、ボディ色と微妙に色使いを変えながら、一体感も演出したイエローが採用されています。
ほかにも、ヌバック仕上げの専用レザーシート、グレー塗装が施されたホイールも装備。ネクタイのスリット、フロントマッドガードの装飾、メータパネルのトリム、マフラーカバー、バックミラーなどにはクロームメッキが施され、高級感も演出します。
さらに、リアキャリアには、シートと同色でビロードのような柔らかいヌバック仕上げのバッグも装着。クイックリリース機構を採用したクリップにより、簡単に取り外しもできます。
価格(税込)は、プリマベーラ75thが59万4000円、GTS 75thが85万8000円。全国のベスパ正規販売店で受注を受付中で、出荷開始は2021年6月中旬の予定です。
(文:平塚 直樹/写真:ピアッジオグループジャパン)