■EV化だけが「カーボンニュートラル」への近道とは限らない
1997年にハイブリッドモデル「プリウス」を世界に先駆けて投入することにより電動化をスタートさせ、これまでに世界で推定1億3,900万トンの温室効果ガスの大気放出を抑止してきたトヨタ自動車。
2030年までに約70%を電動車化するとしており、電動車の世界販売550万台以上(EV・FCVは合計100万台以上)」を目標に掲げています。
同社ではユーザーのニーズにマッチした複数のパワートレインを選択肢として用意するとしており、充電インフラ整備が進んでいる中国では、2019年から施行された新エネルギー車(NEV)規制に対応するため、「C-HR EV」と姉妹モデルの「IZOA(イゾア) EV」、レクサス「UX 300e」の3車種を昨年4月に発売しました。
また、2050年までに温室効果ガス排出ゼロの脱炭素社会実現を目指す「カーボンニュートラル」宣言が世界各国で打ち出されるなか、トヨタは本年4月19日に新EVシリーズ「TOYOTA bZ(beyond Zero)」を発表。
同社は2025年までにbZシリーズ7車種を含むEV15車種をグローバルで導入するとしていますが、その一方で必ずしも電動化のみで「カーボンニュートラル」を目指している訳ではないようです。
●水素エンジン搭載で「セリカ」を蘇らせる!?
そうしたなか、各種情報によると、「セリカ」を復活させるべく開発が進んでいるようです。
トヨタが1970年12月に発売したスペシャリティカー「セリカ(CELICA)」は、7代目まで開発されたものの、その後36年間に渡る歴史に終止符を打ち、2006年に姿を消して以来、早や15年が経過。
同社は本年早々、米国特許商標庁に2度目となる「セリカ」の商標権再登録申請を実施した模様で、これにより同車復活への期待が一段と高まっています。
新型は次期86をベースにエクステリアデザインを変更。システム出力250ps以上を発生するハイブリッドシステムを搭載するとみられていますが、その一方でガソリン燃料に代わり、水素燃料を利用する「水素エンジン」搭載の可能性が浮上しています。
トヨタは4月22日にモータースポーツを通して「水素エンジン」の技術開発に挑戦すると発表。同エンジンをカローラスポーツに搭載し、5月21~23日に行われる富士24H耐久レースに参戦するそうで、これにより技術開発を加速させ、市販車への「水素エンジン」搭載実現を早めようとする意図が窺えます。
「水素エンジン」はガソリンエンジンの燃料供給系と噴射系を変更することで実現する技術であり、エンジンの魅力であるビート感や、これまで長年に渡って培ってきた自動車メーカーならではのエンジン関連技術、さらにはエンジン生産に必要な生産設備や雇用を維持することが可能となります。
カーガイにとって五感に訴えかけるエンジン・ビートは大いに魅力的ですが、EV化に際しては高齢者や歩行者が車両の接近に気付き難いといった課題も存在します。またEV化では他のアジア諸国に対してすでに遅れをとっており、必要となるバッテリーなど、多くの電子部品についても現状は輸入に頼っている状況。
C02を出さず、これらの問題をクリアできる「水素エンジン」は、同じ水素燃料を使って発電、モーターで走行するFCV(燃料電池車)に比べ、多くの現行部品を流用できるため、車両価格面からも普及が期待できそうで、今後予想される現行ガソリンスタンドの水素ステーション化にも上手く繋がりそうです。
次期「セリカ」のデビューは2023年以降になるとみられることから、「水素エンジン」搭載の可能性があり、同社では平行して現行ガソリンに混ぜることでCO2排出量を減らせる水素由来の燃料「e-fuel」についても研究しているそうなので、今後もトヨタの「カーボンニュートラル」実現に向けた動きが注目されます。
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