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■きれいに輝くだけではない、メーター各ランプの解説
前回、この春の新生活を機にクルマを使い始めたひとに向けてメーター各種の意味を解説しましたが、今回はその続編。色とりどりにきらめく各ランプの意味を説明していきます。
●昔は文字表記で2~3つ、いまはマークでネオン並みに
エンジンキーなら2段まわし、いまならスタートボタンをひと押しした瞬間に、メーターパネルには様々な色のランプが浮かび上がります。
他にはなにか操作することで灯る、半ドアやハイビームを知らせるランプなど、パネル内に待っているランプはたくさんあります。
古くはせいぜい2~3個。
いまでは法改正で設置が義務付けられたもの(規制緩和で省かれたものもあります)、さらに電子デバイスの増加で、作動状況を知らせるランプが増えました。結果、まるで銀座のネオンを見ているかのようになっています。
全点灯時には煌びやかになっていますが、もちろんこれらはメーター盤をきれいに見せるためではなく、現在のクルマの状況を知らせる、あるいはメカ部分の異常や故障をドライバーに知らせるために設けられているのです。
昔は、油圧警告なら「OIL-P(OIL PRESSURE)」、充電警告なら「CHG(CHARGE)」、規制緩和でなくなった排気温度警告なら「EXH-T(EXHAUST TEMP)」などの文字表記がありました、途中、ISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)で定められた絵表示と文字の併記時代を経て、いまでは絵表示のみに徹しています。
識字率が低いところででも使えることに重点が置かれたのに加え、クルマを輸出するさい、輸出先ごとにメーターパネル盤の言語を書き換える必要がなくなるからという理由があるようです。
●最低限、これらだけは意味を知っておくべし
昔は、クルマのメーターランプのことを、取扱説明書ではすべてを「警告灯」としていましたが、いまでは、車両の異常や故障をドライバーに知らせるランプを「警告灯」、車両のいまの状態を知らせるランプを「表示灯」と、区分けして表記されています。
ここでも両者を区分けしながら、最低限知っておくべきランプを選び、あらためて解説していきましょう。ここでは旧型ジムニーシエラなどのメーターランプをサンプルに解説します。ただし、ジムニーシエラ特有の4WD関連のランプは除いています。
【警告灯】
1. ブレーキ警告灯
ブレーキ液の不足、パーキングブレーキ作動時、ブレーキシステムに異常があるときに点灯します。
昔は「ブレーキ液面警告灯」「ブレーキ液量警告灯」などと呼んでいましたが、電子制御化が進んでユニット異常を知らせる機能も付加されたため、呼称が変わりました。
キーON時、パーキングブレーキを解除していても、数秒間点灯するのはシステムが正常な証拠です。
2. 高水温警告灯
エンジン回転中、エンジン冷却液の温度が異常に高くなったときに点灯します。
すなわちオーバーヒートです。後述する「低水温表示灯」と兼用のクルマもあり、その際は内部LED光源の色を切り替えて点灯します。
水温計が装備されているクルマには装備されません。
3. シートベルト警告灯
キーON時、運転者がシートベルト未装着のときに点灯します。
約15km/h以上のときでも未装着の場合、約90秒以上に渡ってブザーが鳴り続けます(シートベルトリマインダー)。昔は上級寄りのクルマに限ってついていましたが、いまではブザー吹鳴とともに装着が法制化されました。
クルマによっては助手席や後席の未装着まで知らせるものもあります。
4. SRSエアバッグ警告灯
キーON時、SRSエアバッグ(Supplemental Restraint System Air Bag)のほか、シートベルトプリテンショナーが作動したとき、あるいは、これらの電子制御システムに異常があるときに点灯します。
キーをONにしたとき、数秒点灯後に消灯すればシステムは正常な動作です。
5. 燃料残量警告灯
昔の給油機を模した絵柄のランプで、燃料タンク内の燃料残量が少なくなると灯ります。
約何L以下になると点灯するのかはクルマによってまちまちで、中には取扱説明書にその数字を明記しないメーカーもあります。
また、燃料残量警告灯点灯から何km走れるかもクルマによって異なりますが、だいたいどのクルマも50kmは走れるようにはなっているようです。
ただし、状況によってはまるで変わってくる(エアコンがONかOFFか、山間道走行かなどで)ので、点灯したら即給油したほうがいいでしょう。
6. ABS警告灯
ブレーキ警告灯とは別に設けられた、ABS(アンチスキッド・ブレーキ・システム)の電子制御システムの異常時に点灯するランプです。
点灯中はABSは作動せず、通常のブレーキとなります。キーONにしたとき、数秒点灯後に消えるのが正常。ABS作動中も点灯してくれるとありがたいのですが…
7. エンジン警告灯
エンジンのシルエットをそのままマークにしたランプです。エンジン回転中、エンジンの電子制御システムに異常があると点灯します。
スズキ車の場合は、エンジンの失火を検知すると、点灯または点滅します。キーONにしたとき、数秒点灯後に消えると正常。
8. 電動パワーステアリング警告灯、EPS警告灯
パワーステアリングの方式が、油圧式から電動モーター式に変わったことで設けられたランプ。
エンジン回転中、電動パワーステアリングのシステムに異常が起きると点灯します。
点灯すると電動パワステは機能しなくなり、操作力はかなり重くなるので、即修理に出しましょう。
9. 油圧警告灯
オイルポットをかたどったランプで、エンジン回転中、エンジン内のオイル圧力が低下すると点灯します。
エンジンオイル規定量以下を知らせるランプと勘違いする方がいますが、これは間違いです。オイルが不足することで圧力が低下し、結果的にオイル不足であることがわかったということはありますが、オイル量不足を直接知らせるランプではないことに注意してください。
オイルが規定量入っているのに点灯したらまずはオイルポンプの故障が考えられます。キーONにしたとき、数秒点灯後に消えれば正常。
なお、いまではランドクルーザーぐらいになってしまっていますが、油圧計(エンジンオイル圧をメーター指針で知らせる)を備えるクルマには装備されません。
10. 充電警告灯
バッテリーをそのまま絵柄にしたランプで、エンジン回転中、充電系統に異常があるときに点灯します。
キーONにしたとき、数秒点灯後に消えるのが正常動作です。こちらも油圧警告同様、ランドクルーザーのように電圧計(バッテリーの充電状態を指針で知らせるメーター)を備えている場合は装備されません。
11. トランスミッション警告灯
AT(オートマチックトランスミッション)の電子制御システムに異常があるときに点灯します。したがって、MT(マニュアルトランスミッション)車にはありません。
スズキ車の場合はたまたま歯車のマークを用いていますが、メーカーによってはATまたはCVTの「OD OFF」「SPORT」のランプと兼用している場合もあるので、クルマの取扱説明書で確認しましょう。
キーONにしたとき、数秒点灯後に消えるのが正常です。
12. 半ドア警告灯
クルマのどれかのドアが開いていると点灯します。
メーカーによっては、点灯中(半ドア、または閉め忘れなどで)に走り出すとブザーで知らせる親切なものもあります。また、液晶表示などで、いずれかのドアではなく、どのドアが閉まっていないのかを知らせる車もあります。
【表示灯】
1. 方向指示表示灯
方向指示(ウインカー)、または非常点滅表示灯を作動させたときに点滅する緑色のランプ。
点滅が「カチカチカチカチ…」と異常に早くなったときは、どれかの方向指示灯の電球切れが考えられるので、確認しすぐに電球交換をしましょう。
2. テールランプ表示灯
ライトスイッチを入れたときに点灯します。
ライトスイッチのON、OFFとは無関係に、キーONの間中メーターが灯る自発光メーター車に装備されます。
3. ATシフトインジケーター
ATまたはCVT車に装備される、いま現在のシフトレバーポジションをメーター内で知らせる表示灯です。
「PRND21」「PRNDSL」「PRNDL」「PRND321」など、メーカーやクルマ、トランスミッション形式によってポジション数はさまざま。
かつてはポジションごとにランプ点灯するものが多かったですが、いまでは液晶内の1ヵ所で文字切り替えで表示するものがほとんどになりました。
4. 低水温表示灯
エンジン始動後、エンジン冷却液の温度が低いときに点灯し、ある程度温まると消灯する、青または緑色のランプです。水温計が備わっている場合はこのランプは装備されません。
このランプが消えたからといって、この冷却液の熱を熱源とするヒーターがすぐに効くわけではなく、あくまでも暖機運転が終わった程度の液温で消えるだけなので、冬季は消えてからもある程度時間が経ってからヒーターを入れたほうがいいでしょう。
もちろんヒーターONのタイミングを図るためのものではなく、水温状況を知らせるランプですので、いつまでも点灯したままの場合は、いわゆるオーバークールの状態。サーモスタットの異常が考えられます。
ただし、いま販売中のプリウスなどは、エンジン始動・停止はクルマ任せのハイブリッド車だからか、このランプすらなく、冷却液の異常高温を示す高水温警告灯があるだけです。
5. ハイビーム表示灯(ヘッドライト上向き表示)
ヘッドライトが上向き(通称:遠目)のときに青色で点灯するランプです。
日本の場合、夜間でもたまたま先行車・対向車・歩行者などが周囲にあることが多いためにロービーム状態で走ることが多く、ロービームをヘッドライトと思いがちですが、道路運送車両法の保安基準上、ヘッドライトは「前照灯」と呼ばれ、これはハイビームのことを指しています。
いっぽうのロービームは「すれ違い用ビーム」。いずれにしても、夜間走行中、周囲にクルマや歩行者が視界に入ったら、すぐにロービームに落としましょう。
6. 横滑り防止装置作動表示灯、スリップ表示灯
すべりやすいカーブなどで、トラクションコントロールやビークルスタビリティコントロール(車両安定制御)などが作動すると、素早く点滅してドライバーにその作動を知らせるものです。
雪道では割と簡単に作動するいっぽう、ドライ路面では常識的に走っている限り、めったに灯ることはありません。仮に点滅して作動したことがわかったら、その走り方はやめて穏やかに走るようにしましょう。
7. 横滑り防止装置OFF表示灯、VSC OFF表示灯
横滑り防止装置やVSCの作動が邪魔になる場面…雪道でのスタックから無理やり脱出したいときなどでこのスイッチをOFFにすると点灯します。
8. セキュリティー
イモビライザー(盗難防止装置)装着車に備わるランプで、キーOFF時に点滅します。イモビライザーが作動中であることを示すランプです。
いかがでしたか?
クルマによってはこの他にもまだたくさんあるのですが、どのクルマを買ってもおおかた備わっている、そして最低限知っておくべきランプ類を掲げて解説してみました。
もっと細かく知りたい方は、ぜひお持ちのクルマの取扱説明書で各ランプの意味や点灯条件などを調べてみてください。
(文・写真:山口 尚志)