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■レアで高価な国産旧車のお宝3台をチェック
近年、国産旧車は世界的に人気が高く、モデルによってはかなり高価な価格で取引されていると言われています。
そんな中、ヘリテージカーの祭典「オートモビルカウンシル2021(4月9日〜11日・幕張メッセ)」には、なんと1億円の価格がついたトヨタ「2000GT」が登場!
ほかにも、ほとんど新車状態という奇跡のコンディションで発掘され、2200万円もの値段がついた日産の「R32型スカイラインGT-R」も展示。さらに激レア度が高いスバル「360」の通称「出目金」といった普段お目にかかれないお宝たちが出現し、注目を浴びていました。
●1億円のトヨタ・2000GT
今回取り上げる3台は、三重県で国産旧車を中心に販売するビンテージ宮田自動車が出展したものです。
まずは、1967年から1970年まで生産されたトヨタが誇るスポーツカー2000GT。ヤマハ発動機が製作した1988ccの直列6気筒エンジンを搭載し、ロングノーズのファストバック・スタイルという、当時のスポーツカーに代表される流麗なボディが特徴。
人気スパイアクション映画の「007」(1967年公開の「007は二度死ぬ」)で使われたことや、生産台数が少なく希少価値が高いこともあり、世界中の旧車ファンに人気があるモデルです。
展示されたのは後期型のモデル。外装はもちろん、エンジンから内装まで、隅々をフルレストアしたことで、ボディはもちろん、内装やマフラー、ホイールなどは、まるで新車のような輝きです。
しかも、ボディカラーが超激レア。ビンテージ宮田自動車の担当者によると「一般的に流通しているモデルはホワイトのボディが多いことから、赤いカラーはほとんど見ません」とのこと。
極上な程度である上に、稀少な車体色であることから、1億円という価格が付いているんですね。う〜ん、かっこいい!(筆者の財力では買えませぬが)
●タイヤまで純正のR32型スカイラインGT-R
お次は、日産のスポーツモデル、1989年に登場した3代目のR32型スカイランGT-Rです。
最高出力280psを誇る直列6気筒のRB26型エンジンを搭載、当時の国内外レースなどで大活躍したこともあり、やはり世界的に有名なモデルです。特に、最近R32型は海外の中古車市場でも高値で取引されているようで、中には4000万円の値段がついた個体もあるといいます。
そんなR32型ですが、今回展示された車両がすごいのは、全くレストアをしていない「フルオリジナル」であることです。
前オーナーがガレージ保管をしていたそうで、外装は傷ひとつないピカピカな状態。走行距離もわずか1800kmといいますから、ほとんど走行していない極上の車両なのです。
そのため、なんとタイヤまで新車の時に装着されていたブリヂストンのポテンザRE71がそのまま付けられています。ほかにも、アルミホイールやステアリングも純正のまま、保証書や取り扱い説明書、スペアキーまで新車当時のものがそのまま残っているんだそうです。
旧車ファンは、できるだけノーマルである車両を好むことや、現在では国内でもR32型の中古車が高値で取引されていることもあり、価格はなんと2200万円! 平成のスポーツカーも、今やプレミアムなヘリテージカーの仲間入りをしたってことですね。
●スバル・360の出目金とは?
最後は、スバルが1958年から1970年まで生産した軽自動車の360です。356ccの2ストローク空冷2気筒エンジンを搭載、丸くて小粋なフォルムが当時人気を呼び、39万台以上が生産されたベストセラーモデルでした。
今回展示された通称「出目金」は、ごく初期に生産されたもので、ヘッドライトが飛び出ていることからファンの間で呼ばれている愛称です。
この仕様は生産期間が短かったこともあり中古車の流通量が極小で、本当に激レア中の激レアなのだとか。ビンテージ宮田自動車の整備担当者によれば、「この仕事をして約20年になりますが、触ったのも初めてです」といいます。
ちなみに、360は、デラックスというスタンダードなグレードが当時最も売れたため、元々の中古車流通量も多かったそうです。ところが、最近は、サビなどで劣化が激しい車体が多く、台数が激減。現在は、当時の販売台数が少なかったヤングSSというスポーティグレードの方が、中古車の流通量は多いといいます。
理由は、ヤングSSは当時の価格が比較的高かったこともあり、ガレージなどで保管されたものが多いため。大切に扱われていた車両が多いことで、程度のいい中古車が残っているのだそうです。
そして、出目金は、前述の通り、さらに中古車の台数が少ない車両。しかも、このモデルは、走るのにほかのモデルより手間がかかるそうです。
360のような2ストロークエンジン搭載車は、エンジンオイルとガソリンを混ぜた混合油を使わないとエンジンが焼き付いてしまいます。通常は、クルマ自体に混合させる機構がありますが、このモデルにはそれがないため、事前に混合油を作り燃料タンクに入れる必要があるのです。
手が掛かる子どもほど可愛いといいますが、古いクルマは走るまでに事前の手間や時間が必要なんですね。ちなみに、展示されたクルマのお値段は550万円です。
(文・写真:平塚 直樹)