ロードレース世界選手権とは?MotoGPに代表されるバイクレースの最高峰【バイク用語辞典:バイクレース編】

■最高のバイク性能とライダーテクニックを駆使してスピードを競う花形レース

●現在圧倒的な強さを発揮しているのはホンダ、追走するのはヤマハ

ロードレース世界選手権(MotoGP)は、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が統括するバイクレースの最高峰です。世界中のサーキットを連戦してポイントを競う、欧州ではクルマのF1を凌ぐ人気のレースです。

最高性能のバイクでスピードを競うロードレース世界選手権について、解説します。

●ロードレース世界選手権とは

FIMが主催する世界三大レースは、ロードレース世界選手権(MotoGP)とスーパーバイク選手権(SBK)、FIM世界耐久選手権(FIM-WEC)です。この中でロードレース選手権は、最高のバイク技術でスピードを競う、バイクレースの最高峰と位置付けられています。

ロードレースの分類(MotoGP)
ロードレースの分類(MotoGP)

メーカーが開発したレース専用のファクトリーマシンで、世界各地(2019年は19箇所)のサーキットを転戦し、規定周回数をもっとも速く走行したライダーとマシンが勝者となります。各レースは、走行距離が110~120km程度、走行時間は約40分に設定。順位に応じてポイントを加算して、年間チャンピオンを決定します。日本では、MotoGPシリーズの日本グランプリが栃木県の「ツインリンクもてぎ」で開催されます。

エンジンの排気量によって、MotoGPクラス、Moto2クラス、Moto3クラスの3つのカテゴリーに分けられます。レギュレーション(技術規則)では、エンジンやトランスミッションの仕様とボディ形状などの車両仕様が詳細に規定されています。ただし毎年見直しがあるため、それに応じて参戦チームが戦略を立てます。

●MotoGPクラス

2019年スズキ、M0toGP第12戦イギリスGPで優勝
2019年スズキ、M0toGP第12戦イギリスGPで優勝

最高峰のMotoGPクラスのエンジンは、排気量1000cc以下の無過給4ストロークエンジンで気筒数は4気筒まで、最大シリンダーボアは81mmと規定されています。その性能は、最高出力が200PSを超え最高速は330km/hに達します。最低車両重量は、エンジン排気量800cc以下で150kg、801cc~1000ccまでは157kg。タイヤはミシュランのワンメイク、全チーム共通のECU(エンジンコントロールユニット)が供給されるので、マシンの性能差はそれほど大きくありません。

2019年は、ホンダ、ヤマハ、スズキ、ドゥカティ、アプリリア、KTMが参戦し、ホンダが2017年から3年連続でライダー、チーム、マニュファクチャラーの3冠を達成しています。

●Moto2

Moto2クラスのエンジンは、排気量765cc以下の無過給4ストロークの3気筒エンジンで、トライアンフ(英国)のワンメイクのエンジンを使用します。最低車両重量は135kg、タイヤはダンロップのワンメイク、共通のECUを使用することが規定されています。

オーガナイザーが供給する同じエンジンとECUで競うので、その分ライダーの技術が試され、またライダーはこのクラスで活躍することによってMotoGPクラスへの昇格の道が開けるので、激しいバトルが行われます。

●Moto3

Moto3クラスのエンジンは、排気量250ccの無過給単気筒エンジン、最大ボアは81mmで、最大回転数は13,500rpmに制限されています。250ccながら50PSを超える馬力を発揮し、車重が84kgしかないので、最高速は200km/hを超えます。エンジンはワンメイクではなく、規定のマニュファファクチャラーから購入し、タイヤはダンロップのワンメイク、ECUは共通です。3クラスの中で年齢制限が最も厳しく、新規参戦の場合その年の1月1日時点で16歳から25歳までと決められており、ライダーの育成の要素が強いクラスです。


MotoGPは、バイクレースの中で最も人気があり、花形のレースです。そのような中で、2019年のMotoGPクラスでは、ホンダの3冠(ライダー、チーム、マニュファクッチャラー)を筆頭に、マニュファクッチャラーではヤマハが2位、スズキが4位と日本勢が他を圧倒しました。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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