日本にはないアジアンな雰囲気満載のミニバイクで週末バイクレーサー気分を味わえる!

■装備だけ持って、手ぶらで参戦の気楽な週末レーサーになる

近年、ミニバイクレースが各地で盛り上がっています。中でも自らマシンを用意するのではなく、用意されたレース車両を借りて、そのままレースに出場するというレースが盛り上がりを見せています。

レッツ レン耐
手軽に身にレースを始められる、そのパイオニア的存在のレッツ レン耐

元GPライダーで、現在は車いすレーサーとして活躍する青木拓磨選手率いるTakuma-GPが主催するレン耐(Let’sレンタバイク耐久レース)は、すでに初開催から17年を数える歴史あるイベントにも成長しています。今年も国内のミニサーキット各所で、なんと年間38戦という驚異的な開催数で、多くの参加者を集めています。

レッツ レン耐
レッツ レン耐は参戦車両を多車種の中から選べるのも魅力のひとつ

1年に52週しかないのに年間38戦開催している…という数を見ればわかる通り、オフシーズンを除けばほぼ毎週末どこかで開催しているとも言えます。

バイクはもちろん、スーツやブーツ、グローブなどの装備品のレンタルもあります。つまり、レン耐は「今度一緒にレースやろうよ」という誘いに、「断る理由がなくなってしまう」というコンセプトのイベントなのです。「いやぁ、今度の週末は予定があって」とか「革つなぎ持ってないんだよ」とかいう理由をことごとく排除しているというのがその特徴です。

また、ぺリア式ハンディキャップ(レース中盤に周回数を調整するシステム)を採用しており、ピットの回数によっては「お題」と呼ばれるミニゲームの強制参加などお遊び要素も盛り込んでいて、単純に速いライダーをそろえてもなかなか勝てないというのも、魅力の一つとなっています。

このレン耐では、ホンダのグロム125、モンキー125、スーパーカブ110、エイプ100、そしてCBR250Rといった車両を使用しています。参加費用は、車両の種別、レースの時間(90分耐久から12時間耐久まで設定があります)、参戦人数によって異なってきます。2名参加の90分耐久にエイプで参戦という場合、会員なら2万円/台の参加費となります。これに転倒の場合は5000円/回の徴収となります。

GSX-R150
MTLカップに使用されるのは、国内未発売モデルSUZUKI GSX-R150

また、MTLカップというスズキのGSX-R150(国内未発売モデル)のワンメイクレースシリーズも昨年から立ち上がっています。こちらは耐久レースではなくスプリントレースとなり、富士宮白糸スピードランド(静岡県富士宮市)で全5戦が予定されています。

こちらも、マシンレンタルが基本(レンタル10台以外に持ち込み枠が5台まで用意されます)。レースエントリー代はレンタル込み1万5000円で、転倒修理補償代5000円となります(前日練習分も含む)。ただし、こちらはライダー装備のレンタルはありません。

借り耐スタート
RB150シリーズの耐久戦「借り耐」。スタートはル・マン方式

●シリーズ戦で戦うのも楽しい!

そんな中で、こちらも開催4年目となるのがRB150シリーズです。このRB150シリーズは、元レーシングライダーで、現在は全日本ロードレースチームのアドバイザーやテストライダーとして活躍している武田雄一選手が行っているシリーズです。

借り耐
アジアで盛り上がるスクーターレースの醍醐味が味わえる

「レン耐」は毎戦完結している耐久レースですが、こちらのRB150シリーズは、サーキット秋ヶ瀬(埼玉県さいたま市)で年間で行われるシリーズ戦となります。

そのスプリントのシリーズ戦以外に開催されているのが「借り耐」という耐久レースとなります。このコロナ禍の影響で昨2020年は「借り耐」は2回のみ開催されました。2021年は年間3回の開催を予定しており、2月27日(土)にその第1回目が開催されました。

スプリントレースはもちろん個人での参戦ですが、この「借り耐」は2名以上ならチームのライダー人数に上限は設けられておらず、仲間と一緒に楽しむことができます。

レッツ レン耐ほど不確定要素が盛り込まれているわけではないですが、上限タイムを時間毎に変更し、それよりも速く走行した場合はペナルティとして強制ピットイン&ライダー交代が強いられます。ちなみに「借り耐」参加費は5万円(スプリントレースは2万5000円)となります。転倒ペナルティは3000円/回となります。

SUZUKI FU150
シートとハンドルの間にタンクのないアンダーボーンフレーム式のMT車

●日本未発売、SUZUKI FU150にも乗れる!

手軽に参戦できることもあって盛り上がりを見せているレンタルでのミニバイクレースですが、最後に紹介した「借り耐」に使用されている車両はちょっと変わっています。2015年から3シーズン、FIMアジア・ロードレース選手権に組み込まれていた「スズキ・アジアン・チャレンジ」で2015-2016年に使用されていたSUZUKI FU150という車両が使用されています。

DOHC4バルブの150㏄エンジンを搭載したアンダーボーンフレームの車両で、マレーシア・スズキで生産され日本では未発売のモデルです。

スズキ・アジアン・チャレンジ
2015年から開催されていたスズキ・アジアン・チャレンジ。スズキのアジア若手育成プログラムであった

アジアで盛り上がっているスクーター系のレースに使われるような、いわゆるシートとハンドルの間にタンクがないモデルで、タンクを両ひざで挟み込んで走る車両ではありません。コーナリング中に外側の膝でタンクを押さえてバランスを取る姿勢が取れないため、慣れるまではコーナーの倒し込みに不安を感じるという参加者もいます。

SUZUKI FU150_SAC
スズキ・アジアン・チャレンジに使用された車両をそのまま使用する

ちなみに2021シーズンのこのRB150シリーズは、スプリントレースが5戦(第1戦 3月28日/第2戦5月2日/第3戦8月8日/第4戦9月26日/第5戦11月21日)が予定されています。ビギナーとエキスパートの2クラスで開催となるので、クラス違いの2人でスプリントレースに参戦して、最終的には同チームで「借り耐」に参戦するというのもありですね。

「借り耐」は、VOL2が6月5日 (土)、VOL3は10月9日(土)に開催予定です。

数多くのミニバイクレースが開催されており、それぞれがそれぞれ特徴を出していて、見比べると面白いですね。そのいずれもが参戦の敷居が低いことは間違いありません。気軽に友だちを誘って週末はミニバイクで遊ぶ、というのもよいかもしれません。

(青山 義明)

この記事の著者

青山 義明 近影

青山 義明

編集プロダクションを渡り歩くうちに、なんとなく身に着けたスキルで、4輪2輪関係なく写真を撮ったり原稿書いたり、たまに編集作業をしたりしてこの業界の片隅で生きてます。現在は愛知と神奈川の2拠点をベースに、ローカルレースや障がい者モータースポーツを中心に取材活動中。
日本モータースポーツ記者会所属。
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