■EV航続距離はWLTCモードで256km、普段使いに不便無し!
観音開きの前後ドアやクーペルックを採用することで個性的なSUVとなっているのがマツダのMX-30です。
つい最近フットボールアワーの岩尾さんが買ったことでも有名になりました。
このモデルは従来、マイルドハイブリッドモデルのみでしたが今回、新たにバッテリーEVモデルが追加されました。
モーター出力は107kW。バッテリー容量は35.5kWhで、航続距離はWLTCモードで256kmとされています。長距離というよりも中距離タイプという位置づけ。
ただし、2022年にはロータリーエンジンを使用したレンジエクステンダータイプが追加される予定ですので、長距離走行を望む人は来年まで待つといいと思います。
充電は急速と普通の両方に対応しています。急速充電はCHAdeMO規格、40分で約80%を充電します。普通充電は200Vを使った場合、3kWでは12時間。6kWでは5時間で充電が完了します。
バッテリーはフロア下部にセットされています。このバッテリーパックを包み込むように上下にサブフレームが追加されるなどして、ボディ剛性は大きくアップしました。
車両とアクセスするアプリ『マイマツダ』にも対応しており、車両の外から駆動用バッテリーの充電オンオフが可能です。またエアコンの操作もできます。
実際の車両を見てみます。
エクステリアはステッカーとバッジの小変更以外は標準モデルと変わりません。インテリアに関しても同様です。ただしバッテリーをフロア下に搭載したことでリアシートスペースの上下高が若干低くなっています。
座ってみると、確かにフロアが上がったことで膝が上方向に移動してしまいますが、座面部分での高さは変わっていないため、必要十分な空間となっています。
またラゲッジ部分に関してはEV制御系が収まる都合上、ラゲッジアンダーボックスがなくなっています。
走り出してみます。大変静かですが、マツダはモータートルクに同期したサウンドを発生するシステムを追加しています。加減速に合わせてクゥーンという小さな音が車内に伝わってきます。このサウンドのオンオフ切り替えはありませんが、派手な演出ではなく自然なものですので不快ではありません。
アクセルを踏んで即座にトルクが立ち上がる特性はEVならでは。このMX-30 EVでは回生の強さを手元のパドルで5段階に調整することもできます。
なお、発進から停止まで1ペダルで行うシステムは採用されていません。これは減速時には、車体に対して前方向に踏み込むブレーキペダルを操作したほうが自然だとするマツダの考えからです。
さて、乗ってみて感じたのは、モーターならではの特性よりもシャシーの出来の良さでした。エンジン音や、エンジンのトルクが立ち上がるまでのラグがないぶん、ドライバーの意識がシャシーに集中するのです。
するとこのフロント・ストラット、リア・トーションビームの新世代SKYACTIVシャシーがかなり良く練られたものであることが分かります。ごく低速から高速道路で走る領域まで足の動きが繊細で、かつボディ剛性は非常に高いのです。
またステアリングの入力からロールが始まってコーナーを抜けていく動きもとても滑らかです。これは、コーナリング時にパワーユニットの出力と制動力をコントロールするG-ベクタリングコントロールの効果も大きいです。このEVに採用されているエレクトリックG-ベクタリングコントロールプラスでは、エンジンモデルよりもさらにきめ細かく制御を加えることができるため、このような動きになっているのでしょう。
マツダMX-30 EVというクルマは、ハンドリングも含めた車両全体の完成度がかなり高まっていると感じました。
ちなみに、バッテリーには冷媒を使った冷却システムを採用しています。空冷タイプより強く、正確に温度コントロールができますから、バッテリー寿命も延びるはず。長く車両の価値を維持することができるはずで、その意味でも注目すべき車両です。
※動画の最後に、『下肢障がい者の安全移動用開発中モデル』もご紹介していますよ!
(写真・動画・文:ウナ丼)