■EV開発の新鋭 NIOがSUVに続きフラッグシップセダンを発表
NIO(ニーオ)社が初の自動運転モデルとなるEVフラッグシップセダン「ET7」を発表しました。
同社は2014年11月に設立された高性能EV開発を専門とするスタートアップ企業で、開発拠点をドイツのミュンヘン、本拠を上海に置く多国籍企業。2016年に最初のモデルとなるハイスペック2ドアスポーツEV「EP9」を発表して注目を集めました。
「EP9」は最高速度が300kmを超えるスポーツモデルで、2017年5月には独ニュルブルクリンク北コースにおいて、最終的にEVで当時最速となるラップタイム6分45秒900を記録。
その後、2017年12月に同社初の量産モデルとなるSUVタイプのEV「ES8」を発表。翌2018年6月から半年間に1万台を超えるペースで納車を開始しました。
また2019年6月には、量産第2弾となるSUV「ES6」の納入を開始しており、さらに2020年7月には第3弾となる量産SUV「EC6」を発売。
そして今年に入り、同社が公開したEVセダンが冒頭の「ET7」となります。
流麗なエクステリアが目を惹く「ET7」の車体サイズは全長5,098mm×全幅1,987mm×全高1,505mm、ホイールベース3,060mmで、サイズ的にはメルセデス・ベンツ「Sクラス」やBMW「7シリーズ」、レクサス「LS」などに相当。
EVパワートレーンは、フロントに永久磁石モーター、リヤに誘導モーターを搭載。最大出力は652ps/86.7kgmで0‐100km/h加速3.9秒の俊足を誇っています。
ボディは超高強度鋼とアルミニウムのハイブリッド構造採用により、7,100Nm/degの捩じり剛性を確保。
スマートエアサスペンションと連続減衰制御を全車に標準装備しており、高解像度マップと高精度センサーをベースにした4Dダイナミックコントロールが路面の凹凸を検出。サスペンションをアクティブに調整して快適な乗り心地を実現しています。
個性的なデザインのフロントマスクにはデュアルビームLEDヘッドライトやDRL(デイタイム・ランニングライト)を装備しており、リアには車幅全体に発光する薄型テールランプを採用しています。
「第2のモバイルリビングスペース」をコンセプトとするインテリアには、解像度とコントラストを大幅に向上させた12.8インチのセンターディスプレイを搭載しており、23個のスピーカーと合計1,000Wの出力を持つサウンドシステムを標準装備。
最新の自動運転テクノロジーを採用しており、それを実現するシステム「NIO Aquila SuperSensing」は、8メガピクセルの高解像度カメラ11台や超長距離高解像度LiDAR 1台、ミリ波レーダー5台、超音波センサー12台、高精度測位ユニット2台、V2Xを含む計33台の高性能センシングユニットで構成されています。
満充電時のNEDC(新欧州ドライビング・サイクル)モードによる航続距離は、ベースグレードに搭載する蓄電容量70kWhバッテリーで500km以上、100kWhバッテリーで700km以上を実現しており、開発中とされる150kWhバッテリーと組み合わせれば1,000kmを超えると言います。そんな「ET7」の車両価格は約720万円からの設定で、2022年初旬のデリバリーを予定しているそうです。
●リチウム電池より高性能な「全個体電池」も開発中?
一方、NIOは昨夏、バッテリー供給のための新会社設立を発表。バッテリーのサブスクリプション化事業にも熱心で、これによりNIO車のユーザーはバッテリーのアップグレードや性能保証の恩恵を受けることが可能になる模様。
ちなみに、同社はEVを充電するのではなく、バッテリーパックを1分程度で丸ごと交換する「パワースワップステーション」を開発、実用化済み。さらには現在トヨタ自動車が開発中とされる次世代の高性能電池「全固体電池」についても開発を進めている模様で、現在のリチウムイオン電池の約3倍の性能を持つとされるだけに、こちらの開発状況も注目されます。
NIOではVWの資本が入る「JAC」(安徽江淮汽車)への生産委託から自社生産体制への切替えを目指しており、これにより一層の業績向上が見込める状況。
今後、世界的な環境規制強化に伴う本格的な電動化時代が到来するなか、そのデザイン力の高さと先進性で各国の自動車メーカー勢にとって同社は手強い競争相手となる可能性がありそうです。
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