■最新のデザイントレンドに沿う上質なエクステリア
2021年2月18日、2代目となる新型ホンダ・ヴェゼルが世界初公開されました。気になる正式デビューは、2021年4月の発表・発売とアナウンスされています。
初代(先代)ヴェゼルは、2013年の登場以来、2020年末までに世界累計384万台を売り上げたというヒットSUVであり、BセグとCセグメントの中間くらいのサイズ感でした。
センタータンクレイアウトによる広々した後席のレッグスペースをはじめ、後席の座面が沈み込みながら前倒しできるダイブダウンにより、フラットで低いままラゲッジスペースの拡大が可能。また、後席座面を跳ね上げるチップアップにより、ベビーカーや観葉植物などの大きめの荷物も容易に積載できるほか、ウインタースポーツやマリンスポーツなどで靴を履き替える際などにも重宝するスペースを生むことが可能になっています。
こうした居住性、積載性の高さを実現しながらもクーペ風味を強めたクロスオーバーSUVとすることで、「RS」や「ツーリング」などに代表される、スポーティ系グレードがより「映える」のも初代ヴェゼルが成功した要素といえそうです。
今回、ワールドプレミアされた新型ヴェゼルは、伸びやかなルーフラインと、寝かされたテールゲートが目を惹くほか、Aピラーが相対的に後方に配置されたことでロングノーズ化。先代よりも開放感の高さ(とくに後席)が重視され、よりスリークな上質感を漂わせています。
ホンダでは「スリーク&ロングキャビン」を謳っていて、全席で爽快な視界を提供するのが狙いだったと説明しています。
さらに、フロントマスクで目を惹くのは、グリルレスでボディ同色となるインテグレーテッドグリル。このグリルは、ルーバーグリルとしてデザインされていて、これによりワイド感も抱かせるのも特徴といえそうです。また、ヘッドライトの造形も相まって彫りの深い、ダイナミックなロアデザインもポイント。
ロングノーズとしたデザイン以外の理由のひとつとして、歩行者との衝突事故の際に、歩行者の頭が硬いフロントスクリーンに乗り上げないようにする衝突安全性能という面もあるそうです。そのエクステリアは、写真からも分かるように初代から大きく変わっています。
初代ヴェゼルは、シャープなキャラクターラインや複雑な面や線の構成からダイナミックでスポーティなムードが印象的でした。一方の新型は、上質で大人の雰囲気が漂うボディ面や線で描かれているように映ります。
こうしたデザインテイストは、現在の流れに沿うもの。レンジローバー・ヴェラールやマツダが「魂動デザイン」で謳っている「引き算の美」のようなエクステリアにも見えます。なお、グリルレスのフロントマスクは、現行フィットからの流れに沿うもので、今後のホンダ車がこうしたフロントマスクになるのかも気になるポイント。
後ろに回って見ると、横一文字のリヤコンビガーニッシュが目を惹きます。同時に、テールゲートがかなり寝かされているのが分かります。そのテールゲートは、つなぎ目がなく、立体的な造形になっていて、上質感と塊感を抱かせるのにひと役買っています。さらに、ハンズフリーパワーテールゲートには、便利な予約クローズ機能が新たに備わり、閉じるのを待たずにすむようになっています。
ほかにも、先代でもお馴染みのリヤサイドウインドウ(リヤドアサッシュ後端)に隠すように配置されたリヤアウタードアハンドルを引き続き採用。クーペクロスオーバーSUVらしいスタイリッシュさに寄与しています。
ヒットモデルである先代から大きく変わった新型ヴェゼルのエクステリア。ヒット作だけに、「RS」グレードのようにスポーティムードを強調したキープコンセプトという手もありそうでしたが、日本だけでなくグローバル市場を考慮しての判断だそう。
日本市場においても初代ヴェゼルの登場時よりもSUVが数多くリリースされている中、「SUV販売ナンバー1」を奪還できるか注目です。
(文:写真:塚田 勝弘)