■テレスコピック機構があれば文句なし
2代目にスイッチしたホンダN-ONEは、パワフルかつスポーティな走りが光るターボモデルがとくに際立っていますが、NAモデルもプラットフォームを一新した恩恵が受けられる走行性能の高さを享受できます。
Nシリーズの中でも最も良好に感じる乗り心地に加えて、ターボほどの力感はないものの、スムーズなパワートレーンが光ります。NAエンジンは、58PS/7300rpm・65Nm/4800rpmというスペック。
1人か2人まで乗ることが多く、街乗り中心であればNAでも必要十分でしょう。首都高速に場所を移すと、ターボ車よりも高回転までエンジンを回す必要があり、同じ速度域でも車内に侵入してくる音は当然高まります。
高速道路を使ってロングドライブも楽しみたいのであれば、ターボ車を選択するのがベストといえそうです。
新型N-ONEには、前後サスペンションにスタビライザーが搭載され、ロール角を小さくした安定した姿勢は、街中はもちろん首都高速にシーンを移しても損なわれない美点。さらに電動パワステも今回から舵角センサーの実測値に基づいた信号により制御され、電流制御、モーターアシストによる加勢が行われるため、リニアなステアフィールになっています。
首都高速などのコーナリング時でも速度域やコーナーの曲率を問わず、旋回時の姿勢も安定しているのが確認できました。
操縦性に関する点で惜しく感じられたのは、N-WGNに採用されたステアリングのテレスコピック機構がN-ONEには用意されない点。N-WGNは、フロントシートの位置や高さ、運転姿勢などからテレスコが必要と判断されたそうで、新型N-ONEにも搭載されれば、最適なドライビングポジションが取れるはずです。
筆者は身長171cmで40代の日本人男性では平均的ですが、ペダルで合わせるとステアリングが若干遠目に感じられます。
あと数cmでもテレスコピックで手前に調整できれば、N-ONEが持つ走りのよさをより存分に楽しめそう。この点を除けば走りのよさは、最近の軽自動車の中でもかなりの好印象で、そのスタイリングだけでなく、運転する楽しさ、安心感も高く感じられます。
(文/塚田勝弘 写真/前田惠介)