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■クルマがない人の4人に1人が購入検討
自動車販売台数の落ち込みやカーシェアリングなど新しいサービスが生まれたことにより、ここ数年いわれているのが「クルマ離れ」。
ところが、クルマのサブスクリプションサービスを展開するトヨタ傘下の「KINTO」が行ったアンケート調査では、新型コロナウイルス感染症の影響により最近は「クルマを持ちたい人」が多数を占める傾向にあることが判明。長引くコロナ禍の中、不特定多数の人との「密」を避ける移動手段として、クルマの存在が見直されているようです。
●日常の移動でクルマを選ぶ人は80%
『ニューノーマル時代の「移動」に関する意識調査』と題された今回の調査は、KINTOが定期的に実施(前回は2020年6月)しているクルマを含めた広く「移動」に関する一般生活者の意識をアンケート形式で調べたものです。
今回の調査は2020年11月13日(金)〜11月16日(月)の期間に、全国20歳〜69歳の男女を対象に(有効回答数1792人)、インターネットで実施されました。
まず、「日常的に利用したい移動手段」という質問に対しては、1位の「徒歩(82.9%)」に続き、「自家用車」も80.0%と、前回調査と同様に高い水準となっています。
一方、前回と比べた伸び率では、「タクシー・配車サービス」(+8.1ポイント)、「バス」(+5.5ポイント)、「電車」(+4.3ポイント)が伸長し、マスク着用などの感染防止対策をとった上で利用を再開する人が増えているようです。
また、サブスクやカーリースの伸びも目立ち、これらクルマの新しい持ち方が、今後どのように普及していくのかが注目されます。
●クルマを持ちたい人が増加
次に、「今後、検討したい自動車の利用方法」という問いに対しては、「自家用車」を検討したい人が75.6%と最多に。一方、「レンタカー」(14.7%)や「カーシェア」(7.6%)と答えた人は比較的少ない結果となっています。
「自家用車を保有したい/保有し続けたいか」という質問では、「保有したい」が80.5%となり、前回調査より5.5ポイント増えています。
KINTOでは、この結果により「感染防止意識の高まりから、パーソナルな空間を確保した移動を求めて、自家用車の保有意識が強まっている」と分析しています。
なお、現在自家用車を保有していない人も、コロナの影響で「今後保有したい」と答えた人が30.2%となっています。さらに「コロナ禍の意識の変化」に関する質問では、「新たに自動車の購入を検討する」人が15.0%で1位に。
一方で、「自動車にかかる出費を抑える」「ローンを組まない」「自動車を手放す」といった意識の変化もみられます。このような傾向について、KINTOでは「コロナ禍でクルマの必要性は感じながらも、費用に関する考え方にも変化がみられる」結果だと言及しています。
ちなみに現在、自家用車を保有していない人で「コロナをきっかけに新たに自動車の購入を検討するようになった」人は23.0%で、この結果により、4人に1人がクルマの保有を考えるようになったことがうかがえます。
●ローン購入などが増加
調査では、今後「自家用車を保有するとしたら、どのような保有形式(購入方法)を検討したいか」についても聞いています。
その結果、「現金一括購入」が62.5%と多くを占めながらも、6月調査と比較すると唯一減少しています。逆に、「マイカーローン」「残価設定ローン」「カーリース」「サブスク」は増加傾向となっています。
また、保有形式の中で自家用車を保有していない人の答えに注目すると、「サブスク」では保有者との差が約4.4倍という結果に。KINTOでは、これについて「コロナ禍での先行き不透明な状況を背景に、一度の高額な出費を抑えたり支出を分散化させる傾向がより顕著」に現れた結果だとみています。
いずれにしろ、まだまだ先が読めないコロナ禍の中、感染予防対策などにクルマの移動を選んだり、検討する人が増えていることは確かのようです。
なお、調査では、ほかにも「年末年始の予定」について聞いたところ、「家でゆっくり過ごす」が68.1%で最多に。クルマ移動の意識が高まる昨今においても、新型コロナ第3波の到来により、最も安全なのは「ステイホームである」という意識が高まっているようです。
(文:平塚 直樹 ※写真は全てイメージです)