■「E200」のセダンよりも150kg重いクーペでも余裕の動力性能が魅力
ビッグマイナーチェンジを受けたメルセデス・ベンツ Eクラスに試乗する機会がありましたので、ご報告します。
1.5L直列4気筒ターボを積む「E 200」のセダン、ステーションワゴンから「E 300」のクーペ、カブリオレに乗り替えると、2.0Lの直列4気筒ターボを積む「E 300」は全域にわたって余力があり、プレミアムモデルらしい動力性能を堪能できます。トランスミッションは9速ATで、190kW(258ps)/5800-6100rpm・370Nm/1800-4000rpmというスペック。
試乗した「E 300 Coupe Sports」の車両重量は1800kgちょうどで、「E 200」のセダンと比べると、80kgと大人1人分くらいの重量増となっています。また、「E 300 Cabriolet Sports」はさらに重い1870kg。E 200セダン(E 200 Sports)よりも150kg重くなっています。
「E 300」には、48VマイルドハイブリッドのBSGは搭載されないものの、先述したように低速域からのトルク感はもちろん、高速域のパンチ力も力強く、「E 200」と比べると同じ速度域までに達する時間はもちろん、アクセルを踏む量も少なくてすみます。
「E 200」でも高速道路での走りに大きな不満はありませんでしたが、トップエンドまで余裕で回る逞しさははっきりと上。先述した重量増を感じさせない動力性能が美点です。
フットワークは若干重さはあるものの、Eクラスに求めるしっかりした乗り味という意味でも「E 300」は魅力的です。
乗り心地も「E 200」よりもソフトで、重量増もあると思われますが、電子制御式エアサスペンションの「AIR BODY CONTROL」の仕事ぶりも好印象。「Comfort」「Sport」「Sport+」の3つのサスペンションモードを備えていて、「Sport+」はさすがに乗り心地はハードになりますが、「Sport」までなら快適性とのバランスが取れていて、基本的にしなやかな乗り味を享受できます。
同エアサスペンションは、フロントは片側2つ、リヤは片側3つの異なるサイズのエアチャンバーを備えたマルチチャンバータイプで、状況に応じたスタビリティの高さと快適性を担保するほか、高速走行時には自動で車高が下がり、ハンドリングや直進安定性、燃費向上に貢献。
一方で、粗い路面などの場合では、最低地上高をスイッチ操作で約15mm高めることが可能で、乗車人数や荷物が増えた際などに対応するセルフレベリング機能も用意されています。なお、試乗した「E 300 Coupe Sports」の価格は919万円、「E 300 Cabriolet Sports」は956万円です。
マイナーチェンジ後モデルのEクラスで「E 200」と「E 300」で迷った場合、予算が許せば「E 300」を指名したいところです。
(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)