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■ガソリン車に軽油を入れると故障の原因に
セルフ式のガソリンスタンドで意外に多いトラブルが「燃料の入れ間違い」。特にレンタカーなど、普段乗り慣れないクルマに乗った時には、給油時に「このクルマはレギュラー? ハイオク? それとも軽油?」と悩んだ経験がある方も多いでしょう。
ガソリンをレギュラーとハイオクで間違えたケースではさほど大きな問題にならない場合も多いのですが、ガソリン車に軽油を入れてしまうと大変! 最悪の場合はエンジンが壊れてしまう可能性もあります。
では、こういった燃料の入れ間違いを避けるには、どのような点に気をつければいいのでしょうか。
●軽自動車=軽油と勘違い!
ロードサービスなどを手掛けるJAFによると、2018年12月1日〜31日のわずか1ヵ月間でも「燃料の入れ間違いによるトラブル」で救援要請を受けた件数が、390件(一般道373件、高速道17件)もあったそうです。
しかも、この件数はあくまでドライバーが入れ間違いに気づいてJAFに連絡したもの。入れ間違いに気づかず、走行不能などのトラブルとなってから救援を要請したケースまで含めると、さらに多いことが考えられます。
こういった燃料入れ間違いの理由には、JAFに救援要請したドライバーの申告によると「(会社のクルマや代車など)自分のクルマではなかった」「うっかり間違えてしまった」「軽自動車は軽油と思った」といったものが多いといいます。
驚くのは、軽自動車の燃料をディーゼル車用の燃料である「軽油と勘違いした」人が多いこと。ちょっとクルマに詳しい人であれば、軽自動車は現在、基本的にガソリン車のみで、ディーゼルエンジン車は存在しないということはお分かりですよね。でも、幅広い層に人気がある軽自動車のドライバーの中には、意外に知らない人も多いようです。
また、前述の通り、仕事で使う会社のクルマや、愛車を点検などに出した間に使う代車など、普段乗り慣れないクルマの場合も、給油の際に勘違いや思い込みをしてトラブルが起こるケースも多いようなので、注意が必要です。
●ガソリンと軽油の違いは特に注意
では、燃料を入れ間違ってしまうと、どんなトラブルが起こるのでしょうか。
まず、ガソリン車に軽油を入れてしまうケース。はじめの症状としては、エンジン出力が低下し加速が鈍くなります。そして、それでもそのまま走り続け、燃料タンク内の燃料が100%軽油だけになると、マフラーから黒煙(黒い排気ガス)が出て、やがてエンジンがストップしてしまいます。
ディーゼル車にガソリンを入れた場合も、ガソリン車の時と同様に最初はエンジンがかかっていますが、すぐに出力が低下します。その後、エンジン音が高くなって、アイドリングも不安定になり、排気ガスが白くなります。
こうなると、燃料の噴射ノズルや燃料ポンプの交換が必要になる場合も。さらに、燃料タンク内に残っているガソリン量と入れ間違った軽油の量の比率によっては、エンジンが動かなくなることもあります。
いずれの場合も、入れ間違いに気づき、クルマを走らせる前に間違った燃料を抜き取り、正しい燃料を入れ直せば問題はありません。入れ間違いに気づいたらJAFに連絡するなど、すみやかな対処をする必要があります。
ちなみに、ガソリン車でハイオクとレギュラーを間違えた場合ですが、レギュラー指定のクルマにハイオクを入れても問題はありません。
また、逆にハイオク指定のクルマにレギュラーを入れた場合も、すぐに故障など大きな問題は出にくいといえます。ただし、場合によってはノッキングの原因になったり、本来の燃費や動力性能が発揮できなくなる、メーカー保証の対象から外れるケースなども出てきます。
●ノズルの色を確認
このように、燃料の入れ間違いは、クルマに大きなダメージを与える原因になることが多いのです。
そこで、こういった入れ間違いを防ぐ対策として、セルフ式ガソリンスタンドでは、給油機のノズルの色を。
レギュラーガソリン=赤
ハイオクガソリン=黄
軽油=緑
と定めています。セルフ式で給油する場合は、必ずクルマの指定燃料の種類とノズルの色を確認しましょう。
また、マイカーなど普段乗っているクルマではない車両や、初めて乗るクルマに給油する時は、必ず車検証や取扱説明書などを見て、燃料の種類を確認することが重要。たかが給油と思わず、十分に注意することが大切です。
(文:平塚 直樹 *写真は全てイメージです)