中古車のねらい目!? レンタカー落ち、試乗車落ちとはどんなクルマなのか?

●「レンタカー落ち」「試乗車落ち」は、お得な買い方なの?

コロナ禍にあっても登録台数が大きく落ち込まなかった中古車。価格、オプション、前オーナーの使用方法など、様々な状態がある中古車の中で、「レンタカー落ち」「試乗車落ち」と呼ばれるクルマがあります。

このクルマ達はどういった特徴があるのか、そして中古車として買いなのかを、元自動車ディーラー営業マンの筆者が解説していきます。

・「レンタカー落ち」とは、どんなクルマ?

「レンタカー落ち」とは、新車をレンタカー会社が購入し、一定期間レンタカーとして使用されたクルマが中古車として販売されている状態のことを指します。前オーナーは個人や企業ではなく、レンタカー会社となります。プライスカードの中古車の使用歴のところに「レンタカー」という表示があり、比較的簡単に見つけることができます。

レンタカーを中古車として購入するメリットは、整備状態の良さと手ごろな価格にあるでしょう。

車両整備
法定点検や車検の期間が短いレンタカーは、しっかりとした整備が行われているクルマの代名詞ともいえるでしょう。

レンタカーは新車時で車検が2年間の付帯となり、その後は1年ごとに車検を受ける必要があります。また、自家用自動車の法定点検に当たる12ヵ月定期点検は、レンタカーでは法定6ヶ月点検となり、点検整備が行われる頻度が高いため、メンテナンスがしっかりと行われているクルマが多く、クルマの基本性能「走る」「曲がる」「止まる」という部分に関して、状態の良いものが多い傾向にあります。

また、レンタカー利用者の新しいモデルのクルマに乗りたいという希望を叶えるため、レンタカー会社としては常に最新モデルのクルマをレンタカーにする傾向があります。

そのため、フルモデルチェンジ時はもちろんマイナーチェンジの際にも旧型のレンタカーを手放し、新型車をレンタカーとして登録するため、中古車市場に流れてくるレンタカー落ちのクルマはモデルが新しい車種が多い傾向があるでしょう。さらにレンタカーとして使われるクルマは、ベースグレードや中間グレードのクルマが多く、レンタカー落ちのクルマは安価に販売されています。

デメリットとしては、レンタカーとして誰が乗ったか分からない、不特定多数の使用履歴であるという点と、短期間で長距離使用される傾向が多く、走行距離過多となっている車種が多い点です。

また、レンタカーは洗車機を使用して洗車されることが大半のため、洗車機による洗車傷が多く発生する傾向にもあることも理解しておきましょう。

・「試乗車落ち」とは、どんなクルマ?

自動車ディーラーが試乗車として使っていたクルマを、中古車として販売しているものになります。「レンタカー落ち」とは異なり、プライスカードに「試乗車」と記載されているわけではないので見分けることは難しいですが、ディーラー営業マンに「試乗車落ちのクルマありませんか?」と聞いてみると教えてくれることが多いです。

試乗車落ちの中古車を購入するメリットは、状態の良さと装備の充実度が高い傾向にある点です。

中古車展示場
中古車展示場には必ずしも置いてないのが試乗車落ちのクルマです。お店ごとに管理方法が違うので、営業マンに直接尋ねて情報を得ましょう。

自動車ディーラーの試乗車なので、店舗周辺での試乗のために使われています。走行距離も短く綺麗な状態を維持するため点検整備もしっかりと行われているのも魅力の一つです。

また、新車販売のために利用する試乗車なので必須オプションはほとんど付いており、グレードも中位から上位のクルマを試乗車にするので、上位グレードのオプションてんこ盛りのクルマが中古車として売りに出される傾向にあります。

デメリットとしては、個体数が少なく、購入できる機会が少ない点と、上級グレードでオプションが多いクルマがメインとなるので、中古車としての販売価格も高くなる傾向にある点です。

・「試乗車落ち」「レンタカー落ち」を多く取り扱う場所は?

レンタカー落ちの中古車は、中古車専売の販売店、新車・中古車併売をする自動車ディーラーどちらも取り扱いがあります。

購入したいクルマやメーカーが決まっていて、そのメーカーが独自にレンタカー会社を運営している場合は、中古車専売店を探すよりもディーラーの中古車展示場の方が、特定のレンタカー落ちのクルマに出会える確率は高まります。

トヨタディーラー
たとえばトヨタレンタリースをグループにもつトヨタディーラーでは、トヨタレンタリースで使われた「レンタカー落ち」の中古車が並ぶ可能性が高まります。

たとえば、「トヨタレンタリース○○」をグループ会社に持つトヨタ系ディーラーであれば、レンタカー車両の新車販売と使用済み車両の買取を同時に行っていることが多く、中古車展示場にレンタカー落ちのクルマが多く並ぶこともあるでしょう。

試乗車落ちのクルマに関しては、直接新車ディーラーの営業マンに話を聞いてみるのがいち早く情報を手に入れられる方法です。多くのディーラーでは試乗車として登録し、6ヵ月から1年程度で販売に出されます。

ただし新車が長納期(3ヵ月以上)となっている場合には、試乗車を販売してしまうと次の試乗車をすぐに準備できない恐れがあるため、登録から既定の月数を超えたクルマでも、中古車として販売に出されることはあまりありません。

・まとめ

中古車の中でも狙い目とされる「試乗車落ち」「レンタカー落ち」のクルマは、しっかりとした整備と安定したクルマの状態を確保できるのが魅力です。

品質や状態にバラツキがあるのが中古車ですが、しっかり管理されたクルマを中古車として購入することは、購入後の故障リスクを減らすことにもつながるでしょう。中古車選びの一つの方法として、レンタカー落ち、試乗車落ちを狙ってみてはいかがでしょうか。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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