大ブームの立役者もあえなく生産終了に! 令和になって「消えた名車」5選

■高級セダンやミニバン、名エンジンまで

新型コロナ禍の影響などもあり、まさに激動の幕開けとなった令和。

特に自動車業界では、ここ数年の世界的な環境汚染対策も踏まえたEV(電気自動車)へのシフトなど「100年に一度の変革期」が重なり、様々な変化が起きています。

そんな中、かつて大人気を誇ったクルマや、長い歴史を持つロングセラーモデルなどでも、時代や市場ニーズの変化などにより、生産終了となったクルマたちが数多く出てきています。ここでは、「かつての名車」たちの中で、令和になってラインアップから消えてしまったモデルをピックアップして紹介します。

●レクサスの看板モデルだったGS

トヨタの高級車ブランドであるレクサスの4ドアセダンが「GS」。かつては、フラッグシップの「LS」と並びレクサスの看板モデルとまで言われた名車ですが、2020年8月に生産終了となりました。

令和時代に生産終了となった名車5選
レクサス・GS

初代のGSは、1993年にトヨタ・ブランドで販売されていた「アリスト(初代)」のレクサス版として登場。当時、レクサスは海外専用ブランドだったため、日本ではアリスト、北米など海外ではGSとして販売。

国内のアリストには、280spもの大パワーを誇るツインターボ仕様もありましたが、GSは3.0L直列6気筒エンジンのみの設定でした。

GSが日本で販売されたのは2005年の3代目から。ちょうど、レクサス・ブランドが国内導入された最初の年です。GSはレクサス国内販売車の第1弾として、4.3L・V型8気筒エンジンの「GS430」と、3.5L・V型6気筒エンジンの「GS350」を擁し、まさに「ブランドの顔」として華々しくデビューしました。

ちなみに、4ドアセダンながら高性能な動力性能などで人気を博していたトヨタのアリストは、同じ2005年にGSと統合される形でラインアップから姿を消しています。

GSが現在のデザインになったのは2012年に発売された4代目から。レクサスの顔ともいえる「スピンドルグリル」を初採用し、3.5L・V型6気筒の「GS350」や2.5L・V型6気筒の「GS250」のほかに、ハイブリッド仕様の「GS450h」や「GS300h」をラインアップ。また、予防安全パッケージ「Lexus Safety System+」などの採用で、安全性の向上も図られました。

加えて、2015年には5.0L・V型8気筒エンジン搭載のハイパフォーマンス仕様「GS F」も設定。サーキット走行もできるラグジュアリーな大人のスポーツセダンとして話題を呼びました。

令和時代に生産終了となった名車5選
レクサス・GS F(2019年マイナーチェンジモデル)

このように、かつて絶大な人気を誇ったアリストの血統を持ち、豊富なラインアップなどにより大きな存在感を持っていたモデルがGSです。ところが、その名車も近年は販売が伸びず、同じレクサスの4ドアセダン「ES」に需要を奪われていたようです。

ちなみに、レクサスは2020年4月にスポーティな特別装備などをあしらったGS特別仕様車「Eternal Touring(エターナルツーリング)」を設定、生産終了を惜しむファンなどに大きな注目を浴びました。

令和時代に生産終了となった名車5選
レクサス・GSの特別仕様Eternal Touring

●51年の歴史に幕を閉じたトヨタ・マークX

令和に入った最初の年、2019年に51年もの長い歴史にピリオドを打ったのが、トヨタの4ドアセダン「マークX」です。

令和時代に生産終了となった名車5選
トヨタ・マークX 250S Final Edition

マークXがデビューしたのは2004年。昭和の時代からファミリーカーの代名詞として大きなセールスを誇り、トヨタ製FRセダンの中心的存在だった「マークⅡ」の後継モデルとして発売されました。初代マークⅡがデビューしたのが1968年ですから、前述の通り、51年も続いたロングセラーモデルでした。

「X」の名称になってからは、マークⅡがややコンサバティブで正統派のフォルムだったのに対し、フロントグリルに大きく「X」のロゴを配するなど大胆なデザインも採用。

2009年にはモデルチェンジを受け2代目が登場、2019年にはスポーティ仕様の「GRMN」も設定されました。

令和時代に生産終了となった名車5選
トヨタ・マークX GRMN

マークXが生産終了になった背景には諸説ありますが、やはり大きかったのは近年の「セダンが売れない」という需要の変化でしょう。昭和の時代では、こういったミドルサイズのセダンがファミリーカーだったのに対し、現在ではミニバンや軽自動車のトールワゴンなどが家族を持つ層に人気となり、まさに「セダン受難時代」となっているからです。

ちなみにトヨタでは2019年4月に、マークXのファイナルエディションとして特別仕様車「250S Final Edition」と「250S Four Final Edition」を設定。ダークメッキのフロントバンパーモールや、スパッタリング塗装の18インチホイール、アルカンターラと合成皮革のシートなどを施した内装などで、より上質感を演出した仕様としていました。

●「天才タマゴ」の愛称で親しまれたエスティマ

令和時代に生産終了となった名車5選
トヨタ・エスティマ(3代目・2016年マイナーチェンジモデル)

高級感や居住性の良さ、高級感などにより、平成の時代に大人気だった大型ミニバンも、近年はさほどセールスが伸びない「受難」の時代。そんな中、個性的なフォルムなどで人気を博したトヨタの「エスティマ」も2019年に生産終了となりました。

初代エスティマが登場したのは1990年。その丸味を帯びた独特のスタイルから「天才タマゴ」というキャッチコピーが用いられ、大人気となったモデルです。

2.4L・直列4気筒エンジンを車体中央部のフロア下に置くミッドシップレイアウトを採用、それまでの運転席下へエンジンを置くワンボックスカーの常識を覆しつつも、広い室内空間を実現したことで大きな注目を浴びました。

その後、2000年に発売された2代目も丸味を帯びたデザインを踏襲。ミッドシップのままでは初代以上の排気量のエンジンを搭載できない都合から、エンジンをフロントに置いてFF化しました。エンジンには3.0L・V型6気筒も追加されたほか、ミニバンでは初めてハイブリッド車も設定するなどで先進性もアピール。

「スタイリッシュな高級ミニバン」として、マーケットから大きな支持を受けました。

最終モデルとなった3代目は2006年に登場。スタイルは2代目のコンセプトを継承しつつも、ツリ目形状のヘッドライトなどで精悍なイメージのフェイスデザインとなりました。また、エンジンには2.4L・4気筒エンジン車のほかに、新しく3.5L・V型6気筒エンジン車も設定。レーダー方式のプリクラッシュセーフティシステムなど、先進安全装備も充実させていました。

令和時代に生産終了となった名車5選
エスティマ ハイブリッドの車内

約29年もの長い年月で販売され、大型ミニバン人気の立役者ともいえるエスティマ。

そんな人気モデルも、近年は前述のように、高級ミニバン全体の需要が落ち込んだことと、同じトヨタのアルファード/ヴェルファイアにユーザーの支持が移ったなどの背景により、あえなく生産終了に。まさに「盛者必衰」、時代の潮流に飲み込まれるがごとく、その姿を消してしまいました。

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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