バイクの区分とは?排気量によって登録方法や車検、運転資格、税金が決まる【バイク用語辞典:バイクの誕生と種類編】

■車両区分には、「道路交通法」による区分と「道路運送車両法」による区分がある

●運転免許は道路交通法に、登録や車検などは道路運送車両法に遵守して区分

バイクを選ぶ際に、重視するのは用途や大きさ、スタイル、価格などでしょうか。それらを決定付ける構成要素のひとつがエンジン排気量です。排気量の大きさによって、バイクの車両サイズや性能、価格が決まり、運転資格や登録方法、車検有無などが決まります。

バイクの排気量による区分とそれらの法規上の位置づけについて、解説していきます。

●エンジン排気量とは

バイクの車両サイズは、一般に排気量が大きいほど大きくなります。排気量が大きくなればエンジンが大きくなり、それを搭載する車両も必然的に大きくなるということです。

エンジンの排気量は、シリンダーの内径(ボア)と、ピストンが上下運動する上死点から下死点までの移動する距離(ストローク)で決まります。具体的には、以下の式で示されます。

・排気量 = π × (ボア)2 × 1/4 × (ストローク) × (気筒数)

排気量の定義
排気量の定義

通常排気量は、特別なバイクを除けば原付バイクやスクーターなどの50ccクラスから、圧倒的なパワーと先進技術を備えた1000~2000ccクラスまでです。

エンジンの出力とトルクは、概ね排気量に比例するので、50ccクラスの低価格バイクは小型軽量で小回りが利き、1000cc超の高価格バイクは軽自動車を超える性能とスピードを有しています。

●排気量による車両区分

排気量による区分
排気量による区分

車両区分は、「道路交通法」による区分と「道路運送車両法」による区分があります。

道路交通法は、クルマやバイク、自転車で道路を走行あるいは歩行する際に、守るべき規則を定めた法律です。また道路運送車両法は、クルマやバイク、原動機付き自転車などの自動車運送車両の登録や保安基準、点検、整備などについて定めた法律です。

・道路交通法による車両区分
排気量50cc以下は「原動機付自転車(原付)」、50cc超~400ccが「普通自動二輪車(普通二輪)」、400cc超が「大型自動二輪車(大型二輪)」と区分されます。

・道路運送車両法による区分
二輪車のうち排気量125cc以下を原付と定めています。このうち、排気量50cc以下を「第一種原動機付自転車」、50cc超から125cc以下の二輪車を「第二種原動機付自転車」と規定。また、125ccを超え250cc以下の二輪車は「二輪の軽自動車(軽二輪)」、250ccを超えるものは「二輪の小型自動車(小型二輪)」として自動車に含まれます。

●排気量による登録と車検の違い

登録(ナンバー取得)と車検については、道路交通法によって以下のように規定されています。

・原付(排気量125cc以下)
原付一種、原付二種については、地方税の納付申告をすればナンバーが取得できます。道路運送車両法で定義する自動車ではないので、車検は不要です。

・軽二輪車(排気量125cc超~250cc以下)
運輸局に届け出を行い、ナンバーを取得します。道路運送車両法の規定により「検査対象外軽自動車」なので、車検は不要です。

・小型二輪車(排気量250cc超)
運輸局の新規検査を受けて、ナンバーを取得します。2年ごとの継続車検が必要です。

●排気量と運転免許

区分と免許資格
区分と免許資格

運転免許には、道路交通法で規定された「大型二輪」、「普通二輪」、「原付」の3種があります。

原付免許と普通二輪免許は16歳から、大型二輪免許は18歳から取得できます。また、クルマの普通免許あるいは大型免許を取得している人は、50ccの原付が運転できます。

・原付自転車(50cc以下) ⇒ 原付免許

・普通自動二輪車(50cc超~125cc) ⇒ 普通自動二輪車免許(小型限定)、AT限定あり

・普通自動二輪車(125cc超~400cc) ⇒ 普通自動二輪車免許(普通二輪免許)、AT限定あり

・大型自動二輪車(400cc超) ⇒ 大型自動二輪車免許(大型二輪免許)、AT限定あり


エンジン排気量の大きさが、そのバイクのサイズや性能、用途、価格などを特徴付けますが、一方排気量の大きさによって登録方法や車検有無、運転資格などが異なることに留意しなければいけません。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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