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●スポット参戦のSFルーキーがQ3進出!
秋晴れとなった27日、岡山国際サーキットでは全日本スーパーフォーミュラ選手権の第2戦が開催されました。
今シーズンは新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からレースフォーマットを大幅に変更し、日曜ワンデーで予選・決勝が行われます。朝10:40から行われた予選はQ1から非常に波乱含みの展開となりました。
予選でのトラフィックを避けるため、開幕戦と同じくA、Bの2組に分かれて行われた予選Q1では、#19 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 関口雄飛選手や#6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 福住仁嶺選手など4人のレギュラードライバーがノックアウトされた一方、この岡山大会では5人のドライバーがレギュラードライバーに代わってスポット参戦していますが、そのうちの4人がQ2進出を果たしました。
特筆すべきは今大会スーパーフォーミュラ・ライツとダブルエントリーし、スーパーフォーミュラ初参戦となった#36 VANTELIN TEAM TOM’S 宮田莉朋選手がBグループをトップタイムで通過、全体でもチームメイトのディフェンディングチャンピオン#1 VANTELIN TEAM TOM’S ニック・キャシディ選手から0.011秒落ちの2番手タイムを叩き出したことでしょう。
そしてその速さがまぐれではない事を証明するかのように、宮田選手はQ2をトップタイムで通過します。
このままルーキーがポールポジション獲得か?という期待のかかったQ3でも宮田選手はチェッカー間際に暫定トップタイムを叩き出します。
ところがその直後、前戦もてぎでポール・トゥ・ウィンを飾って波に乗っている#20 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 平川亮選手が、Q3で唯一12秒台に入る好走を魅せ2戦連続のポールポジションを獲得しました! 宮田選手はSF初参戦ながらフロントローとなる2番手からのスタートとなりました。
●決勝はスタート前から波乱の展開に
そして迎えた決勝はスタート前から大荒れとなります。14:30に全車がダミーグリッドに向かう中、#15 TEAM MUGEN 笹原右京選手がマシントラブルのため時間内にコースに出られず、ピットスタートとなってしまいます。
そして15:15にフォーメーションラップが開始され、そのままスタートかと思いきや赤旗提示、スタート手順のやり直しとなります。これは、こちらもSFLとダブルエントリーで代役参戦していた#3 KONDO RACING 阪口晴南選手がフォーメーションラップ中にクラッシュしてしまった事によるもので、51周で行われる予定だった決勝レースは1周減算の50周で行われることになりました。
そして改めてフォーメーションラップが行われスタンディングスタートで決勝レースがスタート!すると1コーナーで5番手からスタートした#65 TCS NAKAJIMA RACING 大湯都史樹選手がブレーキをロックさせてしまい、マシンの接触から3番手スタートの#4 KONDO RACING サッシャ・フェネストラズ選手がコースアウト。
また4番手からスタートした#64 TCS NAKAJIMA RACING 牧野任祐選手もコース上にマシンを止めてしまいセーフティカー(SC)が入る波乱の展開に。
この1周目の混乱で、スタートで出遅れた宮田選手は7番手まで順位を下げてしまいます。逆に予選上位の接触で8番手スタートの#39 JMS P.MU/CERUMO・INGING 坪井翔選手が2番手にジャンプアップ、3番手にも坪井選手のチームメイトで6番手からスタートした#38 JMS P.MU/CERUMO・INGING 石浦宏明選手が続き、セルモの2台が絶好の位置につけます。
またそのすぐ後ろには1号車キャシディ選手が、この混乱をうまく切り抜け10番グリッドから4番手まで浮上してきます。
●ピット戦略が命運を分け、坪井選手が見事初優勝!
マシン撤去とコース清掃によるSCランは7周目に解除され、今度は全車きれいにリスタートしていきます。
今回この岡山大会では、前戦もてぎ同様レース距離を減らすことでレース中の給油を禁止していますがタイヤ交換義務は適用され、トップ車両が10周目に入ったところからファイナルラップに入るまでの間にタイヤ4輪を交換しなければなりません。
その10周目のピットウィンドウが開くと、アンダーカットを狙って5番手を走行していた#5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 山本尚貴選手と宮田選手がピットイン、タイヤ交換義務を消化してコースに戻っていきます。その翌周には坪井選手と6番手を走行していた関口選手が、そしてトップを快走していた平川選手も13周目にピットインしタイヤ交換を済ませます。
ここで平川選手は坪井選手の前でコースに戻ってきますが、アウトラップでタイヤの温まっていない平川選手はバックストレートからのヘアピンでトップのポジションを坪井選手に労なく奪われてしまいます。
28周終了時点で見かけ上トップを走る石浦選手は、タイヤ交換義務を消化した中でのトップ坪井選手とのタイム差を37秒ほど築き、レース後半を過ぎた30周目でピットに入ります。タイヤ交換してコースに復帰してきた石浦選手を、坪井選手はオーバーテイクシステム(OTS)を駆使してヘアピンでオーバーテイク、ポジションをキープします。
その後もトップを走るキャシディ選手はチェッカー直前の49周目までフルプッシュしピットインを遅らせますが、タイヤ交換を終えピットロード出口に差し掛かったキャシディ選手の横を無情にもセルモの2台が走り去り、優勝こそ逃してしまいましたが、その後ろから迫ってくる2台のインパルはしっかり抑え、予選10番手から3位表彰台を獲得しました。
優勝は、予選8番手から運も味方につけ、自身の速さで勝利を掴んだ坪井翔選手が、スーパーフォーミュラ参戦2年目にして念願の初優勝を、チームメイトの石浦選手とのワンツーという最高の形で飾りました!
今大会も予選からまったく展開が読めず、誰が勝つのか予想できない大接戦となり、ドライバーの運や速さだけでなくピット戦略を含めたチーム力がうまく噛み合ってはじめて勝てるという、スーパーフォーミュラの醍醐味の一つを具現化したようなレースとなった気がします。
そんなスーパーフォーミュラの次戦、第3戦は3週間後の10/17〜18、宮城県はスポーツランドSUGOにて開催されます。
(H@ty)