フォルクスワーゲンのEV SUV「ID.4」が世界初公開。520kmの航続距離を誇るグローバルモデル

■広々したキャビンとラゲッジスペースも魅力

最近のEVは、シティコミューターも含めたコンパクトモデル、SUV系がトレンドになっています。このほど世界初公開されたフォルクスワーゲンの「ID.4」もSUVタイプのピュアEV。

広い室内や荷室など、ユーティリティの高さ、スポーティな走りが特徴で、EV化にありがちな制限はかなり取り払われている模様です。

フォルクスワーゲン ID.4
フォルクスワーゲンのバッテリーEV「ID.4」がワールドプレミア

「ID.4」は全長4.58mで、フォルクスワーゲンの「MEB (モジュラーエレクトリックドライブマトリクス)」アーキテクチャーを採用。従来のSUVカテゴリーで、1つ上のクラスに相当する広いキャビンを確保しているそう。

バッテリー容量は最大77kWh(正味電力)で、航続距離は最大520km(WLTP)に達します。バッテリーは床下に搭載され、低重心を実現しているそう。リヤアクスル上に搭載されるモーターは、150kW(204PS)の最高出力を発生し、0-100km/h加速は8.5秒、最高速度は160km/h。後輪駆動による高いグリップ性能と210mmの最低地上高により、オフロードでも優れたパフォーマンスを発揮するのも魅力。

フォルクスワーゲン ID.4
ID.4はスポーティな走りも身上だという

なお、フォルクスワーゲンは、「ID.(アイディ.)」モデルの発表に合わせ、「We Charge」と呼ばれる充電パッケージを市場に導入しています。自宅でも外出先でも、ロングドライブの旅先でも、あらゆる状況で最適な充電を行うことが可能。

「ID.4」は、DC(直流)高速充電ステーションを利用することにより、約30分で320km(WLTP、125kW)を走行可能な容量を充電することができます。なお、フォルクスワーゲンでは、EV SUVの「ID.4」は、ヨーロッパに続き、中国、そして米国でも生産と販売が予定されていて、EVのグローバルカーとしての役割を徐々に担うことになります。

フォルクスワーゲンブランドは、「Transform 2025+」戦略の一環として、2024年までにe-モビリティに対して110億ユーロを投資する予定としています。

フォルクスワーゲン ID.4
フォルクスワーゲン「ID.4」のインパネ

さて、「ID.4」に戻すと、そのエクステリアはモダンな仕立てになっています。クリアで流れるようなデザインは自然からヒントを得たそうで、0.28という非常に優れたCd値(空気抵抗係数)を実現。

フォルクスワーゲン ID.4
印象的なテールランプ

ヘッドライトには、標準バージョンでも数多くのLEDを使用する一方で、テールライトは全バージョンにLEDテクノロジーを採用。

最上位仕様には、先進的でインタラクティブな機能を備えた“IQ.Light”と呼ばれるLEDマトリクスヘッドライトが用意されます。このヘッドライトは、回転式のレンズモジュールが乗員を歓迎し、インテリジェントに制御されたハイビームを生成。同ヘッドライトを装備すると、リヤには新しい3D LEDテールライトクラスターを装着。このテールライトは、非常に均質で明るい赤い光が特徴です。

足元では、最大21インチの大径ホイールが目を惹き、「ID.4」のキャラクターを強調。

フォルクスワーゲン ID.4
広々したラゲッジスペースも美点

また、ラゲッジスペースは、後席の背もたれを折りたたむことで、543Lから1575Lまで拡大し、キャンプや各種スポーツアクティビティに対応。ほかにも装備では、電動式テールゲート、ルーフレール、けん引用ブラケットが用意されます。

フォルクスワーゲン ID.4
ID.4のフロントシート

操作は2つのディスプレイを介して行われ、そのうちの1つは最大12インチのディスプレイ。タッチ機能に加えて「Hello ID.」と呼ぶ、日常会話にも対応したボイスコントロール機能を備えています。

フォルクスワーゲン ID.4
フォルクスワーゲン「ID.4」のホイール

新しい「ID.Light」(フロントウィンドウ下の細いライトストリップ)は、ドライバーを直感的にサポートします。AR(拡張現実)技術が採用されたオプションのヘッドアップディスプレイは、現実に見える風景に様々な情報を重ね合わせることができます。たとえば、右左折の際には、方向を指示する矢印が適切な車線の路面に投影されます。

また「Discover Pro」ナビゲーションシステムには、「We Connect Start」オンラインサービスが組み込まれています。「IQ.Drive」アシストシステム、とくに「Travel Assist」は、運転をさらにサポートするそう。

「ID.4」に搭載されるソフトウェアとハードウェアは、完全に新しいアーキテクチャーに基づいて設計されており、車両の購入後に顧客がアップデートをダウンロードすることが可能です。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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