■110に標準装備の電子制御エアサスペンションは、オンでもオフでも利く
以前お伝えしたように、モノコックボディ化された新型ランドローバー・ディフェンダーは、アーキテクチャー「D7x」を使い、ランドローバー史上最も頑丈なボディ構造を謳っています。従来のラダーフレームよりも3倍ものねじり剛性を確保するそうで、同時に軽量化も実現しているそう。
ラダーフレームの利点は、堅牢性や高いメンテナンス性なりがあり、極限の状況下では整備のしやすさも求められます。こうした点が、将来的に中古車などとして砂漠地帯などの地域に出回った時にどう評価されるのか気になるところではあります。
日本を含めた多くの先進国でもSUVが売れている中、同SUVもメイン市場は、ある程度道路が整備されている(未舗装路でも)国や地域になるのではないでしょうか。軽量だけでなく高剛性化が図られたというモノコックボディは、時代の流れからすると妥当なのかもしれません。
今回試乗した110(ワンテン)に標準で搭載されている電子制御エアサスペンション(90はオプション)は、オンロードだけでなく、オフロードでの乗り心地の良さも備えています。
標準の車高より40mm低くなる車高から、最大で標準車高+145mmまで車高を変えることが可能で、スムーズな乗降や荷物の積載をサポートするほか、オフロードでの走破性を高めることができます。なお、今回のオフロード走行では車高を高めた状態で、「ロー」レンジでの走行が指示されていました。
オプションの「テレインレスポンス2」は、地形をモニタリングし、最適な車両設定を自動的に選択してくれる最新バージョンにアップデートされています。
オフロード走行では、900mmを誇る最大渡河水深を試す機会はありませんでしたが、凹凸や勾配が続くこのオフロードコースでも、おそらくハイレンジでも走行可能と感じられるほど、余裕綽々でクリアしていきます(凹凸の少ないオフロード走行では、ハイレンジでの走行が認められていた)。
もちろん、下り坂ではヒルディセントコントロールが作動し、ドライバーはステアリング操作に集中できます。
ほかにも、3Dサラウンドカメラシステムの一部として用意されている「ClearSightグラウンドビュー」も悪路でとくに重宝します。
ボンネットが透けて見える映像で前方の確認が可能で、先が見えにくい凹凸や勾配でも把握しやすく、障害物の発見にも早く気づきます。オフロードだけでなく、駐車場の段差やポールなどの回避にも使えそう。なお、同機能は、3Dサラウンドカメラの機能を使っているもので、ライブ映像ではなく、常に「ライブではない」と表示されています。
こうした先進デバイスも活用しつつも、大柄なボディでも四隅が把握しやすい、コマンドポジションなどのランドローバーらしい悪路対応力の基本性能の高さも同時に感じられる試乗でした。
(文/塚田勝弘 写真/井上 誠)
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