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■クルマを所有する時代から共有する時代へシフトか?
●クルマの共有/使用方法には、カーシェアリングとライドシェアリングの2つの形態あり
自動車産業とモビリティの将来動向を示す注目のキーワードに、「CASE」があります。CASEは、C(Connected:コネクテッド)、A(Autonomous:自動運転)、S(Shared & Service:シェアリング/サービス)、E(Electric:電動化)の頭文字をとった造語です。
4つの次世代トレンドの中からS:シェアリング/サービスの現況について、解説していきます。
●シェアリング/サービスの現況
カーシェアリングやライドシェアリングなど次世代モビリティへの動きが、世界各国で急速に広がっています。クルマを所有するのではなく、シェアリングして利用する意識が高まり、クルマを移動・サービスで利用する時代になりつつあります。
カーシェアリングやライドシェアリングが進むことは、自動車メーカーにとっては販売台数が減少するリスクになる可能性があります。一方で、カーシェアリングによって元々クルマを所有してない人達が利用しやすくなり、販売先が個人からカーシェアリング会社に移るだけで販売台数は変わらないという見方もあります。
このような状況下で、トヨタはソフトバンクと共同出資会社「MONET」を設立して、積極的にシェアリング/サービス事業に参入し始めています。
●カーシェアリングとライドシェアリングは何が違う
次世代モビリティの代表であるカーシェアリングとライドシェアリングの最大の違いは、ドライバーが自分で運転するクルマを借りるか、運転者付きのクルマに乗客として乗るかです。
カーシェアリングには、日本で主流となっている乗車した所にクルマを返却する「ステーションベース」型と、欧州で主流となっている決められた場所への乗り捨てが可能な「フリーフローティング」型の2種類があります。
ちなみにカーシェアリングとレンタカーの決定的な違いは、カーシェアリングは短時間の使用ができて費用が安く、車種は限られるものの24時間いつでも利用できることです。
ライドシェアリングにもいくつかの形がありますが、米国や新興国を中心に普及している個人とプロのタクシードライバーを結びつける狭義のライドシェアリング(Uber型)、欧州を中心に普及している相乗りを前提とした個人間のマッチングサービス(BlaBlaCar型)などがあります。
●日本の市場はどうなってる
日本では、2017年実績でカーシェアリングされている台数は25万台以上、貸し借りするステーションの数も1万5000ヶ所を超えています。
日本でカーシェアリングが普及している理由は、2つあります。一つ目は、都市部に人口が集中しているため駐車場の確保が難しいことです。二つ目は、2006年の道路交通法の改正によって路上駐車の取り締まりが厳しくなったことです。これにより、コインパーキング事業が急成長し、これをベースに比較的簡単にカーシェアリング事業が展開しました。
一方で相乗りのライドシェアリングは、世界的には普及しつつありますが、日本では進んでいません。自家用車を用いて実費以上の費用を利用者がドライバーに支払った場合は、「白タク行為」になり違法になるからです。
ライドシェアリングの最大手として米国ウーバー・テクノロジーズが有名ですが、普及する条件としては、ドライバーの人件費が安い、人口密度が相対的に低い地方都市、タクシー市場が未熟であることが上げられます。
カーシェアリングやライドシェアリングなど次世代モビリティが普及すると、クルマの価値が「所有」から「使用」へとシフトします。
自動車メーカーは、クルマを製造販売するだけでなく、モビリティサービスも提供する会社へと方向転換しなければなりません。
(Mr.ソラン)