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■将来の自動車産業のカギを握るのは、新しい移動手段の次世代モビリティ
●次世代モビリティを支えるのは、CASEの4つの技術の進化
自動車産業とモビリティの将来動向を示すキーワードに、「CASE」があります。CASEは、C(Connected:コネクテッド)、A(Autonomous:自動運転)、S(Shared & Service:シェアリング/サービス)、E(Electric:電動化)の頭文字をとった造語です。
自動車業界が進めるべき次世代トレンドCASEについて、解説していきます。
●クルマを所有する時代からシェアする時代へ
一般にモビリティとは、流動性や移動性を意味する言葉ですが、自動車業界では通常移動手段の形態や構成を指します。クルマの「スマートモビリティ」とは、自動運転などを利用して移動手段の効率化を図る技術の総称です。
最近になって、マイカーの使用からカーシェアリング、ライドシェアリングなど新しい形態のモビリティが次々と誕生しています。
・カーシェアリングとは、登録した会員間でクルマをシェアリングして、使いたい時に借りることができるサービスです。
・ライドシェアリングは、スマホなどのプラットフォームで一般ドライバーと乗客を仲介し、一般ドライバーが有償にて運送サービスを行う相乗りシステムです。
クルマが「所有」から「シェア」する時代へと徐々に変化する中で、自動車メーカーには大きな戦略変更が求められています。
●なぜCASEが注目されているのか
CASEというキーワードは、2016年のパリモーターショーでダイムラーAGのツェッチェCEOが、中長期戦略の中で初めて使い、大きな注目を集めました。
CASEは、C(Connected:コネクテッド)、A(Autonomous:自動運転)、S(Shared & Service:シェアリング/サービス)、E(Electric:電動化)の頭文字をとった造語です。
CASEを構成する4つの技術要素を組み合わせて、安全快適で利便性の高い次世代のモビリティサービスを構築することがその狙いです。CASEは、今後も自動車メーカーが生き残っていくための戦略です。
言い換えると、自動車メーカーは自動車を製造販売する会社から、移動するための手段をサービスする会社へと変貌しなければいけないことを意味しています。
●CASEを構成する4つの技術トレンドの概要
自動車産業とモビリティの将来動向を決定付ける技術トレンドの動向について、概説します。
・C(コネクテッド)
コネクテッドとは、クルマに通信機を搭載し、常に外部との情報をやり取りすることを指します。クルマの状態や道路状況、クルマ同士やクルマとインフラの情報交換など、さまざまなデータを収集分析してサービスに活用します。
・A(自動運転)
すでに多くのクルマが部分的自動運転レベル2の運転支援技術を実用化しています。条件付き自動運転レベル3が実用化されるためには、技術課題というより法整備が障壁となっています。
・S(シェアリング/サービス)
カーシェアリングやライドシェアリングなど次世代モビリティへの動きが、急速に広がっています。クルマを所有するのではなく、シェアリングして利用する意識が高まり、クルマを移動・サービスで利用する時代になりつつあります。
・E(電動化)
電気自動車(EV)は、外部電力源で充電した二次電池の電気エネルギーでモーター走行します。走行中にCO2を排出しないので、環境対応技術の本命と位置付けられています。
また、EVはシステム構成が簡単で制御性が高いので、自動運転との組み合わせが容易で次世代モビリティのベース車と考えられます。
なお、以上の4つの技術要素の詳細については、別頁で個別に解説します。
モビリティの進化のためには、提唱されているCASEの4つの技術を進め、それらを効率よく組み合わせることが重要です。4つの技術はリンクしているので、ひとつでも開発が遅れると提唱されている次世代モビリティの実現が遠のいてしまいます。
(Mr.ソラン)