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■個性が光る激レアのコンパクトカー&軽自動車の旧車たち
国産車にも名車は数多く存在しますが、日頃あまり話題にならない隠れた存在の名車や珍車も意外にあるものです。
そんな激レアな国産旧車たちを、カーイベントの「オートモビルカウンシル2020」(7月31日(金)〜8月2日(日)・幕張メッセ)で発見しましたので早速紹介しましょう。
●1976年式 マツダ・ボンゴトラック
商用車の中でもマツダの「ボンゴ トラック」は、いまやバンと共に今でもモデル名が続いている数少ない車種のひとつです(現行車はトヨタ・タウンエースのOEM車)。
仕事などでハードな使い方をされる商用車は、昔のモデルが残っていないことが多いものですが、ヴィンテージ宮田自動車がそのボンゴを出展していました。
1976年式のボンゴ トラック。約44年前のクルマです。この初代は1966年に登場したモデルですから、基本設計などは54年前です。
全体にレストアを受けて再塗装も施されたそのフォルム。どこか愛嬌がある顔つきはちょっと和んでしまう雰囲気がありますね。
荷台には、なぜか人が座る椅子のようなカタチになっているのがとても興味深いです(ひょっとしたら、当時は仕事の移動中に座っていた?)。
荷台後方に搭載されている直列4気筒エンジンも、シリンダーヘッドなどをペイントしてあり、とってもキレイなイメージ。このカタチで復刻すれば、意外に人気が出るかもしれませんね。
●1971年式ホンダ・バモス
お次はホンダの変わり種360cc軽自動車「バモス・ホンダ」です。
1970年に登場したこのモデルは、同じ年に登場したスズキのジムニー、ダイハツフェローバギーとともに、当時のレジャーブームの中で三つ巴戦を演じた、いまでいうアウトドアテイストな360cc軽のうちのひとつです。
オープンカータイプの軽トラックで、オフロードカーを意識したスタイルを採用。ところが装備的にはあまりオフロードの走破性を考慮したものが少なく、4WD仕様も設定されていません。当時はあまり売れず、1973年には生産終了となっています。
そんな激レアなモデルですが、今見ると、なかなかどうして面白いスタイルではないでしょうか。特にフロントにセットされたスペアタイヤと丸目ヘッドライトの組み合わせは、オフロード感とキュートさが絶妙にマッチしていると思います。
プラネックスカーズが展示したこの車両は1971年式で、ボディの各部やトノカバーなども見事にレストアされているため、あまり古さも感じませんでした。
●1972年式トヨタ・カローラレビン
世界で一番売れている乗用車カローラの中でも、クーペボディを採用したレビンの初代モデルもかなりレアな1台です。
当時のカローラには、セダンとは別にクーペボディの「カローラクーペ」があり、セダンと同じようなラインナップ構成でした。これら標準のクーペモデルとは性格の異なる「レビン」は、ボディタイプの区別というより高性能モデルとしての位置づけでした。
エンジンはセリカ1600GT用の1.6L直列4気筒の2T-Gを搭載、オーバーフェンダーなどでスポーティなフォルムを実現していました。
ビンテージ宮田自動車が出展したこのレビンは、まさにその初代1972年モデルです。ホイールなどはアフターメーカーのものに変更されていますが、ボディなど各部は見事にレストアされています。
後の4代目AE86、いわゆる「ハチロク」に受け継がれる軽量・ハイパフォーマンスな性能やフォルムは、まさにこのモデルから始まったことが、実車を見て実感できました。
ちなみに会場には、ほかにも1966年式のS800や、1991年式ビートといった、ホンダが誇るコンパクトなオープンカーも展示されていました。
特にビートは、ホンダが一部の純正パーツを復刻したことで再び注目を浴びているモデルです。
また、S800も現存する車両が少なく、旧車マニアの間では人気が高いモデルです。
もちろん、こういった有名な絶版車もいいですが、今回紹介したようなレアなクルマたちも今見るとなかなかいいですね。いずれも、今のクルマとは違う個性が光っている気がします。
(文/写真:平塚直樹)