スーパー耐久にクラウンが参戦! 2リッターターボでST-3クラスに挑む【スーパー耐久2020 富士公式テスト】

■往年の日本グランプリ以来のレーシングクラウン

SUPER GT開幕戦の翌日に富士スピードウェイのスポーツ走行枠で謎のレーシングクラウンが走行したことが話題になっていましたが、そのクラウンが7月30日に行われたスーパー耐久の富士公式テストにて正式にピレリスーパー耐久シリーズに参戦するマシンとして走行をしました。

埼玉トヨペットのレーシングクラウン
埼玉トヨペットのレーシングクラウン

競技用のクラウンと言えばD1グランプリに登場していたマシンが思い浮かびますが、元祖は1963年の5月3~4日に開催された「第1回日本グランプリ自動車レース大会」のC6クラスでポールtoウィンを勝ち取った多賀弘明選手のS4型トヨペット・クラウン。

埼玉トヨペットのレーシングクラウン
埼玉トヨペットのレーシングクラウン

続く1964年の「第2回日本グランプリ自動車レース大会」を最後に、サーキットレースにおいてのクラウンのレーシングカーは登場していないので、実に56年ぶりのレーシングクラウン復活となります。

■クラウンでの勝算は?

昨年は僅差でシリーズ2位となったマークXから、全くの新造車となるクラウンにスイッチした理由は「埼玉トヨペットで扱っている現行車種で参戦したかったから」とのこと。

埼玉トヨペットのレーシングクラウン
埼玉トヨペットのレーシングクラウン

レギュレーション的には昨年度に調子のよかったマークXでも参戦は可能ですが、トヨタのラインナップからマークXがカタログ落ちしているため、現行車種であるクラウンでの参戦となったようです。ここは大手ディーラーチームの意地と言ったところでしょう。

埼玉トヨペットのレーシングクラウン
埼玉トヨペットのレーシングクラウン

TRDが開発に関係しているといわれる8AR-FTS型エンジンですが、レース用と言えども2リッターターボのためにカタログ出力は245馬力にとどまります。

クラウンにはシステム出力359馬力の3.5リッターハイブリッドも存在しますが、このユニットで参戦となればクラス分けで属するのはST-1クラスとなり、このクラスのライバルはGRスープラやレクサスRC-F、ポルシェのカップカー。359馬力で戦うには不利なライバルばかりとなります。

そういった観点からクラウンの参戦するクラスは昨年のマークX同様のST-3クラスを選択、このクラスでのライバルはレクサスRC350や3.7リッターのフェアレディZとなります。埼玉トヨペットは、クラウンでは出力的には多少不利でも、トータルとして性能の拮抗しているST-3クラスへの「現行取り扱い車種で」の参戦としたようです。

埼玉トヨペットのレーシングクラウン
埼玉トヨペットのレーシングクラウン

出力的に不利とはいっても富士公式テストではベストタイムを1分54秒938と、レクサスRC350と同等のタイムを出していますので、圧倒的に不利?ということでもなさそうです。

埼玉トヨペットのレーシングクラウン
埼玉トヨペットのレーシングクラウン

また、ライバルよりは多少燃費が良いこともあって、24時間レースではライバルより1~2回は給油を減らせるのではないかと言われており、戦略としてこの燃費を活かせれば十分に前に行ける可能性も出てきます。

先だって開催されたSUPER GT開幕戦のGT300クラスで優勝を果たした埼玉トヨペットだけに、このクラウンもかなりの上位に食い込むような期待があります。

埼玉トヨペットのレーシングクラウン
埼玉トヨペットのレーシングクラウン

現行クラウンはマーケティング的にもスポーティー重視で、顧客の若返りを狙っていることから見ても、レーシングクラウンの存在価値は大きいといえるのではないでしょうか。

埼玉トヨペットのレーシングクラウン
ナイトランをする埼玉トヨペットのレーシングクラウン

レーシングクラウンのデビュー戦は、9/4(金)〜6(日)に富士スピードウェイで開催される「ピレリスーパー耐久シリーズ2020開幕戦 富士SUPER TEC 24時間レース」。現時点では8月6日から観戦チケットも発売予定で、クラウンの雄姿のみならず国内唯一の24時間レースを楽しむことができそうです。

(写真・文:松永和浩)

【関連リンク】

ピレリ スーパー耐久シリーズ2020 第1戦 NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース 開催のお知らせ
https://www.fsw.tv/info/042426.html

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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