2022年にはアウトランダーPHEVをフルモデルチェンジ!
三菱自動車工業が、2020年度第1四半期決算および2020年度業績見通しを発表しました。新型コロナウイルス(COVID-19)の影響もあって厳しい状況ですが、岐阜県にあるパジェロ製造での生産を止め、全体としての工場稼働率を現状の76%から83%に改善するほか、国内においては直営ディーラーの統廃合を進めるなど、痛みを伴いつつ、前向きな改善策を提示しています。
そんな業績見通しにおいて注目すべきは2020~2022年度にかけての商品計画です。
2020年度中にエクリプスクロスPHEV(プラグインハイブリッド)をローンチすること、2021年度には次期アウトランダーをデビューさせること、2022年度にはアウトランダーPHEVをフルモデルチェンジすること、そして軽自動車のEVについて日産と共同検討していることも発表されました。三菱自動車が培ってきたPHEVやBEVといった電動車両によって商品ラインナップを充実させ、競争力を増そうという計画です。
エクリプスクロスPHEVについては前々から噂されていましたが、ようやく2020年度に市販化というわけです。そしてこれは、非常にグッドタイミングといえます。なぜなら、クロスオーバーSUVのプラグインハイブリッドとして、トヨタRAV4 PHVが売れに売れてしまい、受注を一時停止するほどだから。市場は新たなるプラグインハイブリッドSUVを求めています。
エクリプスクロスはボディサイズ的にはRAV4より小ぶりなCセグメントに分類されるSUVですが、プラグインハイブリッドであればそれなりの価格であっても市場のニーズを満たすことができるのではないでしょうか。
三菱といえばアウトランダーPHEVによって、現時点では世界でもっともプラグインハイブリッドSUVの販売実績があり、経験豊富で知見も持ち合わせているメーカーです。エクリプスクロスPHEVには、アウトランダーPHEVからのフィードバックもあることでしょう。コンパクトな車体にモーターを組み合わせたパフォーマンス系プラグインハイブリッドに仕上がっていることも期待できるのです。
ちなみに、次期アウトランダーPHEVについて巷ではエクストレイルあたりのアーキテクチャをベースに日産主導で開発するという声もあるようですが、ルノー日産三菱アライアンスによって、「DセグメントのプラグインハイブリッドSUVの開発は三菱自動車が担当し、その技術をルノーと日産に展開する」という計画も発表されています。アウトランダーPHEVは三菱のノウハウが詰め込まれたハイテクマシンになるわけです。
エクリプスクロスPHEV、次期アウトランダーPHEVと電動車両を登場させることで、自社PHEV技術に磨きをかけると宣言した三菱自動車。電気駆動だからこそ可能になる緻密な制御が生み出すハンドリングや加速性能に大いに期待が膨らみます。
(自動車コラムニスト・山本晋也)