■ハイブリッドモードで炸裂するシステム出力306PSの圧倒的な走り
月販目標台数300台を掲げたトヨタRAV4 PHV。469万円〜539万円という、高級SUVそのものといえる価格設定でありながらも、2020年7月上旬時点でその人気ぶりによりオーダーストップとなっています。トヨタは、今後の注文再開についてはホームページなどで知らせるとアナウンスしています。
北米でトップクラスのセールスを誇るをトヨタRAV4に加わったPHVのEV走行距離は95km。しかも、システム出力は225kW(306PS)というパワフルな走りも備えています。
トヨタのSUVで、ハイパワーを誇ったモデルといえば、2代目ハリアーに加わったハイブリッドを思い浮かべる方も多いはず。3.3L V6にフロント、リヤモーターの組み合わせはシステム出力272PSでしたが、0-100km/h加速を7.3秒でクリアし、その鋭い加速性能は、当時のSUVハイブリッドの常識を超えたフィーリングでした。
●0-100km/h加速は6.0秒の俊足ぶり
RAV4 PHVは「THSⅡ Plug-in」を搭載し、駆動方式はリヤモーターが後輪を駆動する4WDの「E-Four」0-100km/h加速は6.0秒を誇ります。
実際の走りは、EV走行時であれば常識的なフィーリングで、アクセルを踏んだ分だけ即座に反応し、スムーズに加速を乗せていくという手応えに終始しています。
一方、ハイブリッドモードで首都高速の合流時や追い越し時のように深くアクセルを踏む込むと、即座に立ち上がるスムーズな加速に加えて、エンジンパワーにより一気呵成に怒濤の加速を味わえます。
必要な時に必要な分だけパワーデリバリーが行われる印象の制御であり、バランスの取れたパワートレーンという印象を受けます。
床下中央に大容量バッテリーを配置しているため、低重心化、前後バランスの最適化も図られているだけあって、極端に旋回性が犠牲になるわけではないものの、首都高速の曲がり込むコーナーなどでは曲がりにくさも若干感じさせますが、終始安定した操縦安定性も確保されています。
その速さとハンドリングの良さは、思わずパドルシフトが欲しくなるほど。なお、ドライブモードセレクトを「スポーツ」にすると、鋭い加速と共に回生ブレーキ(回生量)を増やす設定になります。鋭いダッシュと同時に減速時の回生具合も高まっているのが分かります。
また、電動化車両の宿命ですが、床下に大容量バッテリーを搭載することから、操縦安定性を得る代わりに、低速域や路面が悪いとシーンによっては揺すぶられるような乗り味も顔を出します。それでも、ほとんど気にならないレベルに抑え込まれていますし、入念なノイズ対策により高い静粛性も確保されています。
500万円級の高級SUVにふさわしいスムーズさ、動的質感は十分に感じられます。
(文/塚田勝弘 写真/井上 誠)