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■コロナ禍の影響下でも新車が売れるコンパクトカー&軽自動車
最近の新型車は、衝突の危険がある時にブレーキを制御する自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)といった数多くの安全運転支援システムが搭載される一方で、軒並み価格が上昇しています。ひと昔前は、手頃な価格が魅力だったコンパクトカーでも、いまでは車種やグレードによっては新車価格が200万円を超えるクルマさえあります。
ところがその一方で、いまでも新車が150万円以下で購入でき、販売台数のランキング上位に入っているクルマもあるのです。
特に、現在は新型コロナウイルスの感染拡大により、クルマの販売は落ち込んでいるといわれています。また、各メーカーは生産工場の休止や生産調整を行っているため、供給が追いつかず、注文が入っても販売できないモデルも出てきています。
ここでは、そんな状況下でも売れている、新車が150万円以下で購入できるモデルを紹介しましょう。
●トヨタ・ヤリス
2020年2月に発売された「ヤリス」は、まさにコロナ禍の影響をもろに受けた状況下にもかかわらず、自販連(日本自動車販売協会連合会、以下同)の調査によると、2020年4月に1万119台、同年5月1万388台と2か月連続で登録車の新車販売台数ナンバーワンになったクルマです。
ヤリスには、エンジンの排気量で分けると1.5Lエンジンのハイブリッド車、1.5Lと1.0Lエンジンのガソリン車といった3タイプの仕様があります。その中で、1.0Lガソリン車2WD(FF)仕様には、価格(税込)がX“Bパッケージ”で139万5000円、Xで145万5000円といった150万円を切るグレードも設定されています。
ただし、注意したいのは安全運転支援機能。
ヤリスには、交差点右折時の対向直進車・右左折後の横断歩行者も検知対象とする新しい「Toyota Safety Sense(トヨタ・セーフティ・センス)」が追加されましたが、この機能は最安のX“Bパッケージ”には搭載されていません(Xには搭載)。
また、駐車時にステアリング・アクセル・ブレーキ操作を制御して操作をアシストするトヨタ初の高度駐車支援システム「トヨタ・チームメイトパーク[アドバンスト パーク(パノラミックビューモニター機能付)]」も、ハイブリッド車専用の機能ですので、X“Bパッケージ”やXにはありません。
ただし、Xには、車線中央を走るようにステアリングを制御するレーントレーシングアシストや、高速道路でアクセルを踏まなくても前車を追従するレーダークルーズコントロールなど、ほとんどの予防安全機能が搭載されています。また、トヨタ車で初採用された、最新の「プリクラッシュセーフティ」も装備します。この機能は、低速時に自車直前にいる歩行者や自転車運転者、車両などをミリ派レーダーと単眼カメラで認識し、衝突回避または衝突被害軽減を行うというもの。安いグレードながら、安全性能はトップレベルなのです。
XとX“Bパッケージ”の価格は6万円の差ですが、最新の安全支援機能があるという意味では、お買い得なのはXの方だと言えるでしょう。
●日産・ノート
自販連が調査した新車販売台数ランキングで2019年度(2019年4月〜2020年3月)に4位(10万5908台)、2020年5月単月でも10位(3470台)と、コロナ禍下でも根強い人気を誇っているのが「ノート」。
このクルマの場合、エンジンが発電しモーターで走るe-POWERはほとんどのグレードで価格(税込)が200万円を超えますが、1.2Lガソリン車の2WD仕様には150万円以下のグレードもあります。
具体的な価格(税込)は、Sが144万7600円、Xが155万2100円、X Vセレクションが157万9600円です。
装備の違いは、たとえばフロントガラス。ほかのグレードがスーパーUVカット断熱グリーンガラスなのに対し、Sは普通のUVカット仕様。また、リヤドアやリヤサイド、バックドアのガラスは、S以外はプライバシーガラスになっています。
ただし、Sでも先行車や対向車、周囲の明るさなどで自動的にヘッドライトのハイとローを切り替えるハイビームアシストなどの便利機能を採用。ちなみに、X Vセレクションは、Xをベースに内装にピアノ調フィニッシャーやナビ取付パッケージといった専用装備や、オリジナルのボディ色を採用した仕様です。
先進安全機能については、安いグレードでも装備が可能です。
前方の車両や歩行者を検知し、衝突の危険が高まると警告や自動ブレーキを行うインテリジェントエマージェンシーブレーキや、踏み間違い衝突防止アシスト、LDW(車線逸脱警報)などは、全グレードがセットのオプション設定となっています。
●ホンダ・N-BOX
全軽自協(全国軽自動車協会連合会)が集計した軽自動車の新車販売台数で、5年連続1位を獲得、2020年でも1月〜5月まで1位をキープしているのが「N-BOX」です。
このモデルにも、2WD(FF)仕様のG・ホンダセンシングというグレードなら価格(税込)141万1300円で購入が可能です。
N-BOXの魅力は、軽自動車で最大級ともいえる室内の広さ。室内サイズは長さ2240mm、幅1350mm、高さ1400mmです。
最安のG・ホンダセンシングでは、前席と後席それぞれが隣のシートとの段差が少ないベンチシートを採用。組み合わせにより、荷物や乗車人数に合わせた多彩なシートアレンジが可能です。
また、後席には、座面を跳ね上げて荷物スペースを広げたり、左右別々にスライド幅が調節できる「チップアップ&ダイブダウン機構付きスライドリアシート」も装備しています。
独自の安全運転支援システム「ホンダセンシング」も全車標準装備。G・ホンダセンシングにも、衝突軽減ブレーキ〈CMBS〉、誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能、ACC〈アダプティブ・クルーズ・コントロール〉などを装備しています。
●軽自動車の人気上位は安いグレードを用意
ちなみに、人気の軽自動車では、ほかにもダイハツ・タント124万3000円~、スズキ・スペーシア135万8500円~、日産・デイズ129万6900円~、ダイハツ・ムーヴ113万3000円~など、販売台数で常に上位にくるモデルは、価格(税込)が150万円以下のグレードを設定。
もうすぐ発売され大きな注目を浴びている軽SUVのダイハツ・タフトも、FFモデルが約135万円~となっていますから、価格面でもかなり期待できそうです。
今回紹介したこれらモデルは、いずれも安いだけでなく、装備も充実しているのが人気の秘密のようです。そういう意味で、今は「安かろう、悪かろう」では、クルマも売れない時代といえるでしょう。
自動車メーカーの皆さん、これからもコロナに負けず、快適かつ安全で、リーズナブルなクルマをお願いします!
(文:平塚直樹/写真:トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業)