フェラーリ最新のFRクーペであるフェラーリ・ローマは、2019年11月14日に発表されました。国内プレス向けの発表会はコロナウィルス感染拡大により、規模を大幅縮小して開催。今回のメディアプレビューが日本での正式なお披露目と言えるかもしれません。
3.9L・V8ツインターボエンジンをフロントに置き、FRの駆動方式を採用した2+2のモデルというと、リトラクタブルハードトップを採用したポルトフィーノを思い浮かべます。今回お披露目されたローマはポルトフィーノのクーペモデルと思いがちですが、デザインテイスト、ユーザーインターフェイスなどが新世代となり全く異なるテイストに仕上げられているのが特徴です。
3Dの曲線で構成されたローマの外観デザインは、1950〜60年代のローマの自由なライフスタイルを現代的に再解釈したもので、その発想からローマという車名が付けられています。1960年代の伝説的なグランドツーリング・フェラーリである250 GTベルリネッタルッソと250 GT 2+2 などがルーツとなるエレガンスさを纏ったローマは、当時のフロント・エンジンモデルの、シンプルでありながら優美なフォルムや、2+2クーペのファストバックなど、その多くの特徴を受け継ぎ、現代的なアレンジで表現しています。
ローマのファストバックのスタイリングは、最高の空力パフォーマンスを実現しています。その代表例が、リアスクリーンと一体化した可動リアスポイラーです、時速100〜300kmの走行時にはダウンフォースを最大化するために最大150°となり、最高速域ではローダウンフォースのポジションとなります。格納時には車両のフォーマルな優美さを損なわず、高速時には自動で起動します。
ローマのインテリアは空間と形状を決める新しいアーキテクチャ・コンセプトで開発されました。ドライバー側と助手席側を独立させた空間のセルを生み出す手法で、すでにフェラーリの他のモデルに導入されているデュアル・コクピット・コンセプトの進化版となっています。デュアル・コクピットの理念をダッシュボードからキャビン全体に拡大したことで、エレガンスとスポーティさを絶妙なバランスで組み合わされた空間となっています。
搭載するエンジンは4年連続でインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーを受賞している3.9L・V型8気筒ツインターボエンジン・最高出力は456kW(620cv)とポルトフィーノよりワーアップしています。その一方で、ガソリン・パーティキューレート・フィルター(GPF)を採用し、ユーロ6Dという厳しい排出ガス基準をクリアするなど高出力と高い環境性能を両立させています。
3.9L・V8ツインターボエンジンに組み合わされるトランスミッションも8速DCTへ変更。従来の7速DCTより、コンパクトで6kgも軽量な設計となっています。これにより、シフトはスムーズとなるだけでなく、レスポンスも向上しています。
また、運転支援システムも設定され、オプション装備ながらフェラーリアドバンスドライバーアシスタンスシステムを採用。アダプティブクルーズコントロールなどの先進の運転支援装備がパッケージング化され、ロングドライブ時のドライバーの負担が軽減されます。
どこか懐かしさを感じる外観デザインを採用する一方で、メーターパネルもフル液晶となり、スイッチ類が大幅に減少した先進的なインテリアのフェラーリ・ローマ。車両本体価格は2682万円〜となっていますが、フェラーリ最後のピュアガソリンエンジンモデルと言われているので、このモデルも爆発的な人気となりそうです。
フェラーリ・ローマ(8速DCT)
SPECIFICATIONS
全長4656mm×全幅1974mm×全高1301mm、ホイールベース2670mm、乾燥重量1472kg、エンジン種類V型8気筒DOHCツインターボ、総排気量3855cc、最高出力456kW/5750〜7500rpm、最大トルク760Nm/3000〜5750rpm、最高速度320km/h、0-100km/h加速3.4秒、タイヤF245/34ZR20、R285/34ZR20
(萩原文博)