コロナ禍で事故死亡率が増加中! 重大事故の防止に役立つ、後付け「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」とは?

■自粛疲れなどによる操作ミスの事故をどう防ぐか?

新型コロナウイルス禍の対策による外出自粛や自宅勤務などにより、道路の交通量は最近極めて少なくなっていますが、死亡事故はあまり減っていないといわれています。

実際、警察庁の統計では2020年4月中に全国で起こった交通事故の発生件数は2万805件で、前年同月を1万1827件(36.2%)下回ってはいますが、死者数は53人減の213人で減少幅は19.9%にとどまっています。

また、東京都や愛知県、大阪府や岩手県など、2020年4月の事故死亡者数が前年同月を上回っている地域さえあります。

報道では、警察はこの理由を「クルマや歩行者が減ったためスピードを出し過ぎていたり、周囲への注意が散漫になっている」ためだとみているようです。

自粛疲れの影響なのか、うっかり操作ミスや安全確認を怠るケースが増えているのでしょう。

最近の新型車であれば、軽自動車にも自転車や歩行者、障害物などを検知する自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)が装備されていますが、まだまだそういった先進安全装備がないクルマが多いのも現状です。

そこで、ここでは自動ブレーキなどがないクルマでも、うっかり操作ミスによる事故を防ぐ、後付けの「ペダル踏み間違い加速抑制装置」について紹介します。

ペダル踏み間違い時加速抑制装置
トヨタの後付け装置は車内のモニターで注意喚起も行う

●安全運転支援システムがないクルマ向け

ペダル踏み間違い時加速抑制装置とは、間違ってアクセルを踏み込んでしまった場合に、クルマの加速を抑制するシステムです。

前述の通り、最近の新型車には、自動ブレーキなどが装備されていますが、まだまだ装着されていないクルマも多いため、トヨタやダイハツ、そして最近スバルなどが未対応車種向けの後付け装置を販売しています。

また、車種汎用タイプも、例えばデータシステム製がオートバックス専売で販売されています(詳しくは後述)。

こういった装置は、高齢者のペダル踏み間違いなどによる重大事故が社会問題になっている背景から登場したものですが、「うっかり操作ミス」は前述の通り、高齢者に限らず起こる可能性はあります。

ペダル踏み間違い時加速抑制装置
コロナ禍で交通量は減っているものの、重大事故は増えている地域もある(画像:写真AC)

特に、これから買う中古車や長年乗り続けている愛車に、クルマに安全運転支援システムがない場合は、うっかり操作ミスによる事故を防ぐためにも、取り付けることを検討してみることをおすすめします。

以下に、代表的な装置の例と、それぞれの特徴をご紹介しましょう。

●トヨタ 踏み間違い加速抑制システム

Toyota Safety Sense(トヨタセイフティセンス)やインテリジェントクリアランスソナーなどの先進安全支援システムに未対応の車種に向けた後付け装置です。

主に機能は2つ。まず、車両前後に取り付けた超音波センサーが、前方または後方約3m以内にある壁などの障害物を検知し、ブザー音と車内に装備したモニターで注意喚起を行います。

それでもブレーキと間違えてアクセルを強く踏み込んでしまった際には、加速を抑制することで、衝突被害を軽減します。

ペダル踏み間違い時加速抑制装置
車体前後に付けた4つのセンサーにより障害物などを検知

また、後退時は、障害物を検知していない状態でも、約5km/h以上でアクセルを踏んだ場合、速度が出過ぎないよう加速を抑制します。価格(税込)は5万5080円です。

【対応車種】
・プリウス(2009/5 フルモデルチェンジ〜2015/12 フルモデルチェンジ前まで)
・アクア(2011/12 新型〜2018/4 一部改良前まで)
・プリウスα(2011/5 新型〜)
・プレミオ(2007/6 フルモデルチェンジ〜2016/6 マイナーチェンジ前まで)
・アリオン(2007/6 フルモデルチェンジ〜2016/6 マイナーチェンジ前まで)
・ポルテ(2012/7 フルモデルチェンジ〜)
・スペイド(2012/7 新型〜)
・ウィッシュ(2009/4 フルモデルチェンジ〜)
・カローラアクシオ(2012/5 フルモデルチェンジ〜2017/10 マイナーチェンジ前まで)
・カローラフィールダー(2012/5 フルモデルチェンジ〜2017/10 マイナーチェンジ前まで)
・パッソ(2010/2 フルモデルチェンジ〜2016/4 フルモデルチェンジ前まで)
・ヴィッツ(2010/12 フルモデルチェンジ〜2018/5 一部改良前まで)

●ダイハツ ペダル踏み間違い時加速抑制装置「つくつく防止」

独自の衝突回避支援システム「スマートアシスト」などの非搭載車向け装置です。

ペダル踏み間違い時加速抑制装置
ダイハツ「つくつく防止」

対応車速は約10km/h以下。車両前後に取り付けたソナーセンサーが前後方3メートル以内にある障害物を検知し、運転者がアクセルペダルを強く速く踏み込んだ場合に、システムがペダル踏み間違いと判断。

コントローラーが燃料の供給をカットすることでエンジンの出力を抑制し、室内に取り付けたインジケーターとブザー音により運転者に警告し、急発進を抑制します。

ペダル踏み間違い時加速抑制装置
前進だけでなく、後退時も作動

また、ソナーセンサーで前後方の死角にある障害物を検知し警告する「パーキングセンサー機能」も備えています。価格(税込)は3万4560円です。

【対応車種】
・タント[L375S系](2007年12月〜2013年9月)
・ムーヴ [L175S系](2006年10月〜2010年12月)
・ムーヴ [LA100系](2010年12月〜2012年12月)
・ミラ [L275S系](2006年12月〜2013年2月)
・ミラココア [L675S系](2009年7月〜2018年2月)
・ミライース [LA300系](2011年9月〜2013年8月)
・ムーヴコンテ [L575S系](2008年8月〜2017年1月)
・タントエグゼ [L455S系](2009年12月〜2014年9月)

●スバル ペダル踏み間違い時加速抑制装置

スバルが2020年5月末から発売を開始した後付け装置。「アイサイト」や「スマートアシスト」未対応車向け純正用品です。

装置には、対応車種により2タイプあります。

1:ペダル踏み間違い時加速抑制装置

時速約10km以下での前進/後退時に、前後に装着したソナーセンサーで前/後方約3m以内にある壁などの障害物を検知した場合、ランプとブザーで警告。それでもアクセルを強く踏み込んだ場合には、加速を抑制します。

また、後退時には、障害物の検知にかかわらず、時速約5km以上でアクセルを強く踏んだ場合や、アクセルを踏んだまま時速約5kmを超えた場合に、警告と加速抑制を行います。価格(税込)は5万6100円。

【対応車種】
・インプレッサ(GP/GJ型)
・SUBARU XV(GP型)

ペダル踏み間違い時加速抑制装置
XVの2代目GP型などに対応

2:ペダル踏み間違い時加速抑制装置 「つくつく防止」

ダイハツの「つくつく防止」を、スバル車向けにした装置。

時速約10km以下での前進/後退時に、前後に装着したソナーセンサーで前/後方約3m以内にある壁などの障害物を検知し、アクセルを強く踏み込んでしまった場合、ランプとブザーで警告するとともに、加速を抑制します。価格(税込)3万5200円。

【対応車種】
・ルクラ(RF型)
・ステラ(RK型)
・プレオ(RD型)
・プレオ+(RE型)

●データシステム ペダルの見張り番ⅡAWD-01

200車種以上の対応車種がある汎用タイプ。前述の通り、データシステムが開発したオートバックス専売のシステムです。

システムがアクセル信号を常にモニターし、停車時か10km/h以下の前進・後退をしている(徐行)時に、アクセルペダルが急激に踏み込まれた際にアクセル信号をキャンセルし、急発進を防止してくれます。

価格は、取付工賃込みで4万4000円(+税)です。

ペダル踏み間違い時加速抑制装置
データシステム ペダルの見張り番Ⅱ

●65歳以上ならサポカー補助金も

ちなみに、65歳以上の方が後付けのペダル踏み間違い時加速抑制装置を購入する場合は、サポカー補助金の対象になります。

サポカー補助金とは、前述の高齢者による重大事故を防ぐために、政府が行っている制度です。

65歳以上のドライバーを対象とし、予防安全装置を備えた「対歩行者衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)」や「ペダル踏み間違い急発進等抑制装置」搭載車、「後付けのペダル踏み間違い時加速抑制装置」の購入などを補助する目的として、補助金が交付されるというものです。

ペダル踏み間違い時加速抑制装置
後付けのペダル踏み間違い時加速抑制装置もサポカー補助金の対象となる

後付けのペダル踏み間違い時加速抑制装置の場合、補助金はトヨタやダイハツなどの製品のように障害物検知機能付きが4万円、障害物検知機能なしが2万円。前述のデータシステム製の場合なら補助金により実質2万4000円(+税)で購入することが可能になります。

最近、筆者の自宅周辺でも見通しが悪い交差点でクルマが自転車をはねたり、駐車場近くの道路で電柱に衝突したクルマを発見するなど、事故を頻繁に目にするようになりました。

高齢者はもちろん、若い世代でも今のコロナ禍により、運転に集中できないような状況は続いているといえるでしょう。

まさかの大事故に備えるためにも、自動ブレーキなど安全運転支援システムがないクルマに乗っている人は、予防策としてこういった装置の導入も検討してみてはいかがでしょうか。

(文:平塚直樹/写真:トヨタ自動車、スバル、ダイハツ工業)

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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