自動車保険は複数台所有で割引になる。セカンドカー割引やノンフリート多数割引の基礎知識【保険/車検のミニ知識】

●セカンドカー割引、ノンフリート多数割引など、2台目以降の自動車保険に使える割引は多い

クルマをもう1台購入しようと考えた時に、一緒に考えなければならないのが自動車保険の契約です。

今回は、2台目、3台目とクルマを増やしていくときの自動車保険の契約方法や割引の詳細、お得な等級の入替術など、クルマが増えた時にやるべきことを紹介していきます。

・保険証券に書いてある「ノンフリート」とは?

自動車保険の契約形態には3つの種類があり、1台だけの契約をノンフリート契約、10台以上の契約をフリート契約、2台から9台までの契約をミニフリート契約と言います。

聞きなれないフリートという言葉ですが、英語で「fleet」は「艦隊・船団」の意味で、転じて企業などで使用する自動車、船舶、航空機などの集まりの事を指すようになります。

保険証券
保険証券には保険等級が記されており、そこには「ノンフリート」という記載があります。フリート、ミニフリート、ノンフリートの違いを理解しておくことで、最も効率の良い保険の契約方法を見出すことができるでしょう。

つまり、フリート契約を軸に、フリートではない1台の契約をノンフリート(non fleet)と呼び、小さなフリートをミニフリート(mini fleet)と呼ぶようになります。

多くの場合、フリート契約を結ぶのは法人オーナーがほとんどであり、個人でのクルマの所有ではノンフリートもしくはミニフリートの契約方法が主流になります。

複数台のクルマを所有しているときに、ミニフリート契約(ノンフリート多数割引)をすると保険料が安くなります。台数に応じて割引率が変わっていき、2台では3%、3~5台では4%、6台以上では6%程度の割引となり、保険会社によって適用台数と割引率は若干異なります。

10台以上となり、フリート契約を行える場合はフリート契約の方が割引率が大きくなるので、ミニフリート契約(ノンフリート多数割引)は、実質9台までのクルマをまとめるための契約となります。

・ミニフリート(ノンフリート多数割引)を使用できる条件とは?

ミニフリートでまとめられるクルマには条件があり、クルマの所有者が誰なのかを確認する必要があります。ミニフリート契約でまとめることができるのは、クルマの所有者が保険契約者本人、配偶者、同居の家族である場合に限られます。家族であっても別居している家族のクルマは対象にならないので注意が必要です。

マイカーローンなどが残っている場合で所有権留保されているクルマでは、売買契約上の買主または賃貸借契約をされているクルマでは借主が、それぞれ保険契約者本人や配偶者、同居の家族であれば対象となるので、リース車両でもローンを組んでいてもミニフリート契約は可能です。

ミニフリート契約を行う上で統一しなければならない項目が3つあります。「保険契約者」「保険始期日」「保険料引き落とし口座」です。特に保険始期日を同じにしなければならない点には注意が必要です。

ミニフリート
クルマが3台以上になったら、ミニフリート契約も検討してみましょう。条件は細かくなりますが、保険料の割引も大きい制度になります。

クルマを増やす際にミニフリート契約を行うことになりますが、すでに所有しているクルマの自動車保険の満期がいつなのかを確認しましょう。

ミニフリート契約を行う場合、既存の契約を止めて新しいクルマと保険の始期を合わせなければなりません。その際に、今までの保険が短期契約となり、割増保険料が発生するケースがあります。また、保険等級が上がる直前で契約を止めてしまうと、1年間、等級が上がるのを待たなくてはなりません。

このような場合は、一旦新しいクルマをノンフリート契約で契約し、既存の保険の区切りが良いところでミニフリート契約に切り替えると良いでしょう。

複数台割引に目がくらみ、すぐに飛びついてしまうと損をしてしまうケースもあるので、契約内容を変更する際にはしっかりと見積もりをとり、従前契約と比べて保険料がどのようになるのかを確認してから契約を結ぶことが大切です。

・セカンドカー割引(複数所有新規)と等級の入替を上手く使う

現在使っているクルマの自動車保険等級が11等級以上の場合に個人が自家用車を増やす際には、新しいクルマの自動車保険等級が新規契約の6等級からではなく7等級から始めることができるのがセカンドカー割引です。

必ずしも1台目の所有者と2台目の所有者が同一でなければならないという決まりはなく、同居の親族が新規にクルマを購入する場合でも、この制度を利用することができます。

ちなみに、あまり例はないかもしれませんが、セカンドカー割引は1台目と2台目で契約する保険会社が異なっていても適用させることができます。同一の保険会社でなければならないという規則はないので、11等級以上の自動車保険契約を持っている個人であれば、保険会社をまたいでもセカンドカー割引を受けることが可能です。

家族のクルマ
同居の親族間でクルマが増える時には、等級入れ替えのチャンスです。特に、年齢条件が低い契約には、高い等級を適用することで、割引される金額が大きくなります。

また、クルマが増えるタイミングで、同居の親族間で契約している自動車保険の等級をシャッフルすることが可能です。

自動車保険は適用する年齢条件が低いほど、運転者範囲が広いほど保険料が高くなります。同居の子供が初めてクルマを購入したといった場合に、年齢条件が低く、等級も低い状態では大きな保険料負担が待っているのです。

これを、世帯での保険料支出を抑える目的で、年齢条件や運転者条件が狭いクルマに、セカンドカー割引を使用した新規の7等級をセットし、子供が新しく購入するクルマに今まで親が育ててきた20等級の保険を適用させるといった等級のシャッフルが可能です。

世帯内での自動車保険料を抑えるためには非常に有効な手段であり、等級のシャッフルはクルマが増えたり減ったりするタイミングでないと行うことはできません。同居の同一世帯内で、2台目、3台目とクルマが増える際には、ミニフリートやセカンドカー割引の利用とともに適切な等級配置を考えることも必要です。

・まとめ

ミニフリート(ノンフリート複数台割引)やセカンドカー割引(複数所有新規割引)は、ユーザー側にとって大きなメリットがたくさんあります。また、等級の入替を上手に利用して、世帯内での保険料を割安にし、ゆとりあるカーライフを送ってみてはいかがでしょうか。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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