あのRE雨宮フォルティスRX-7最高速テスト、シングルターボで320km/hが見えた!【OPTION 1987年7月号より】

■あえてシングルターボで200マイル(320km/h)に挑戦!

●RE雨宮の最高速仕様FC3S RX-7に注目!

前回前々回ではOPTION誌1987年7月号に掲載された、現在でも伝説として語り続けられている、あの『RE雨宮ロータスヨーロッパ改13B』の最高速テストを紹介しました。

今回は、ロータスと同時に谷田部テストが行われたRE雨宮のフォルティスRX-7です。

ドライバーはOPT最高速男・Dai稲田。では早速チェック!

RE雨宮のロータスヨーロッパとフォルティスRX-7
ロータスだけじゃなく、最高速仕様FC RX-7にも注目だ!

【フォルティスRX-7ターボ by RE雨宮自動車】
シングルターボで200マイルにこだわる

1986年の暮れ、シングルターボのままで303km/hをマークした雨宮自動車のRX-7だが、さらにセッティングが煮詰められていた。

「シングルでも調子いいよ。かなり出そう」ということで、2度目の谷田部にトライ。13B+大型タービンの組み合わせは高回転域でもパワフルだった。

助手席にメカの堀クンを乗せてテスト走行の1周目に入ったわけだが、まず驚いたのはサスペンションがいいこと。全く不安なく5速・7000rpmの300km/hくらいでバンクに突入できるのだ。

谷田部のバンクを走るフォルティスRX-7
バンクで安定する足はサスガ。この足なら200マイルオーバーも夢じゃない。

そのまま直線に出て300rpmくらい上がり、まだまだ回転が上がるな、と思った瞬間、突然エンジンの調子がおかしくなった。計測区間の中でアクセルを離したが、それでも302km/hという。ポテンシャルはかなりのものだ。

エンジン回転は7500rpmくらいまで上がりそうだった。ひょっとすると、シングルターボのままで200マイル近いスピードが可能かもしれない。

「壊れたら何も言えない。でもまたまたやる気がでてきた」と雨さん。次のテストが楽しみだ。

ドライバー・Dai稲田
なにげな~く最高速ドライバーをしているように見えるDaiちゃん。でも谷田部テストのときには命を懸け、時には遺書をも書いてテストに挑んでいるんです。

■ロータリーチューン最強テクを集結!

●13Bサイドチューン他、メカニズム・チェック!

このFC3S RX-7の13Bエンジンは、RE雨宮お得意のサイドポートチューンだ。が、メカチューンの場合と違ってターボ用にオーバーラップを大きくせず、吸気量をグッと増大させるポートにしている。

フォルティスRX-7のエンジン
このシングルターボ仕様が完全に決まれば、次のステップはいよいよツインターボだ!

ちょっと分かりにくいのでレシプロエンジン風に説明すると、IN&EXバルブが同時に開いているオーバーラップは増加させずに、バルブを大きくしてリフト量も大きくしたのと同じわけだ。

使用しているタービンは三菱製TD08(29B-14cm2)のシングルターボ。オリジナルのステンレスタコ足にしっかりと取り付けられ、マフラーは80φ→100φで、排気効率と静かさを両立させる。

インタークーラー
大容量のインタークーラーをフロントに。

インタークーラーはトラスト製の3層タイプで、オリジナルのタービンクーラーもセットされる。

燃料系はノーマルのインジェクターに加えて、4本の追加インジェクター(550cc)をレビックでコントロール、ベストな燃料セッティングを得ている。

エアフローメーターはインタークーラーの後ろにセット、押し込みタイプとしている。

ミッションは強度面を考えて日産VG用を使用。クラッチはベーシックなトリプル。デフのギヤ比は3.909の輸出用を組み込む。

フォルティスRX-7の室内
グローブボックスにもセッティング用の各種メーターがセットされる。

室内はセッティング用の各種メーターが10個!も追加されて、的確にエンジンの状態が把握可能。またIMSAのシート、サベルトのシートベルト、ルマンのステアリング、ロールバーと、本格派のパーツで固められている。

ボディ関係では、RE雨宮のオリジナルエアロに、マツダスピード製のリヤスポイラーで空力的にベストな形状を確保。

サスペンションはオリジナル加工がされたフロントショックに5.5kg/mmのスプリング、リヤはスプリングのみを4kg/mmにセット。これにしっかりとしたアライメント調整でバンクでも安心して踏めるようにチューニングされている。

今後はより燃料セッティングを詰めていき、回転リミッターを外せばオーバー200マイル(320km/h)も決して夢ではないマシンだ。

OPTION誌1987年7月号
OPTION誌1987年7月号の表紙。

[OPTION 1987年7月号より]

(Play Back The OPTION by 永光 やすの)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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