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・バーチャルからフィードバックし進化したGRスープラ2020年仕様
昨年トヨタ自動車のスポーツカーブランド・GRを開発販売するTOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)から、待望のFRスポーツモデル「GRスープラ」が満を持して発売開始され、世界中で注文が殺到しました。
GRスープラの魅力、何よりクルマの運転の楽しさを知ってもらうために、人気レーシングゲーム「グランツーリスモSPORT」とコラボレーション。「バーチャルでの」世界一のGRスープラ使いを決めるワンメイクe-スポーツ「GR SUPRA GT CUP」を開催しました。
昨年の東京モーターショーに世界ベスト24のGRスープラeRacerたちが集結し、リアルのモータースポーツと変わらない熱いバトルが繰り広げられました。TGRはただ1コンテンツとしてこの大会を開いただけではなく、ここから得られたバーチャルでの走行データを収集しGRスープラの開発にフィードバックしていくと、GRスープラの開発責任者である多田哲哉さんは教えてくれました。
そして今年2月、アメリカにて2020年仕様(米国では2021年仕様)が発表されました。
主な改良点としてエンジンのエキゾーストマニホールドの構造変更や新ピストンの採用による圧縮比の変更によって最高出力が19年仕様から40馬力アップの380馬力となり、さらにボディ剛性の強化や足回りの再チューニングによってより高性能化を実現しました。
それから2ヶ月後の4月23日、「グランツーリスモSPORT」がアップデートされこの2020年仕様のGRスープラが追加収録されました。
現在、世界中で猛威を振るっているコロナウィルスの影響で新型車の試乗のままならない状況なので……「グランツーリスモSPORT」で2019年仕様と2020年仕様を乗り比べてみました。
●筑波サーキットでタイムアタック!
まず最初にクルマとしての純粋な速さを比較するため、首都圏からほど近いサーキットである筑波サーキットにやってきました。1周2045mの「コース2000」は、チューニングカー・スポーツカーの性能を推し量るコースとしてタイムアタックイベントや比較走行が行われています。
それぞれ2周アタックしました。ちなみにセッティングはデフォルトで、タイヤは「スポーツハード」で、TCS(トラクションコントロール)はオフ、ABSはオンです。
ベストタイムは、
2019年仕様:1分3秒676
2020年仕様:1分2秒988
でした。
「乗りやすさは2019年仕様、スポーツカーとして操る楽しさは2020年仕様」という感想を持ちました。自分のドライビングで違いを感じたのは、まずヘアピンのアプローチでの挙動でした。2019年仕様はブレーキングから穏やかに向きが変わりますが、2020年仕様は若干オーバーステアの傾向を感じられました。
そこからの加速は、40馬力アップした2020年仕様が明らかに速い。ですが、このグランツーリスモにおける「スポーツ・ハード」タイヤだと、注意しないとホイールスピンしてしまうので注意が必要です。
次にエンジンパワーが物をいうバックストレートエンドでの最高速からの最終コーナーを比較してみます。
まず最高速は
2019年仕様:182km/h
2020年仕様:187km/h
という、純粋にエンジンパワーでの差がでました。特に2020年仕様は4速の加速が強力になっていました。そこからの最終コーナーですが、ニュートラルステアな2019年仕様に対し、2020年仕様は僅かながら弱アンダーな印象を受けました。
●FRスポーツの楽しみ、ドリフトで比較!
次にFRならではの楽しみ方であるドリフト走行で比較しました。「グランツーリスモSPORT」ではドリフト走行を数値化して競う「ドリフトトライアル」というプレイモードがあります。
ドリフトアングルと速度で数値の増え方が増減します。タイムアタックと同じ設定で、コースはイギリスのブランズ・ハッチ・インディサーキットで比較しました。
ドリフトポイントは
2019年仕様:14,088ポイント
2020年仕様:15,021ポイント
でした。
この比較ではエンジンパワーに勝る2020年仕様の方がドリフトしやすかったです。元々2019年仕様でもドリフト状態のコントロール性が非常に高く、その良さそのままにパワーアップしたことで、より深いドリフトアングルや長いドリフトがしやすくなりました。
簡単な比較でしたが、2020年仕様は2019年仕様から確実に速くはなっていますが、速く走るにはメリハリのある操作がドライバーには求められる、操る楽しさがある1台に仕上がっています。
果たしてリアルでも同じような印象を受けるのか、GRスープラが試乗できる機会が早く訪れてほしいですね。
(栗原 淳)