目次
■ボンネビルに挑戦し続けるレーシングビート・RX-7の中身を見よ!
●海の向こうの最高速を夢みて…
またもチョイご無沙汰してしまった【Play Back The OPTION】。新型コロナウイルスによる外出自粛『Stay Home』タイムは、昔懐かしい「昭和のOPTION」をお楽しみくださいね。なんたってこの時代のOPTION誌が読めるのはclicccarだけなんですから!
ってことで今回は、1986年9月号に掲載されたこの記事。もしかしたら…記憶によると、ボンネビル最高速系を本格的に記事にしたのはコレが最初だったんじゃないか?と記憶(間違ってたらゴメンなさい!)。この数年後、最高速チューナーさんたちを引き入れ、OPTはボンネビル・ソルトレイクでの最高速挑戦へと時代は進んでいきます。
ってことで、レーシングビートのRX-7記事へGO!
■これがレーシングビートRX-7の中身だ!
●ボンネビル・スピードトライアル 直前情報
海の向こうの最高速が気になる。レーシングビートRX-7のボンネビル挑戦だ。その詳細メカニズムを一挙公開しよう。
いつかはボンネビルのソルトレイクを走ってみたい…スピード野郎なら一度は思ったんじゃない? なにしろ最高速、最高速!と谷田部で突っ走ってみても300km/hオーバーちょいが限界みたいになっている。
谷田部はバンクがあるし、ストレートだって1kmちょっと。よほどバンクを超スピード(これも限界がある)か、ストレートに出てからの爆発的な加速が必要だ。これが難しい。
「やっぱりソルトレイクで思い切り!」という夢になるわけだ。
そのボンネビル・スピードトライアルは毎年8月に行われ、1986年は36回目。現在(註:当時)の陸上最速レコード、G.ギャベリック駆るブルーフレーム号の1002.07km/h(1970年)もここで記録されている。
実は1979年にエドワーズ空軍基地でバドワイザー号が1190.37km/hというのがあるが、正式記録じゃない。
ま、これはロケットエンジンなんかの話でオレたちにゃ関係ない。本題は今年もプロダクションクラスで挑戦するレーシングビート製RX-7だ。
レーシングビート社といえばアメリカ西海岸ロータリーチューンで知られ、IMSAレースから航空機用他、スピード記録にも実績がある。
1978年にはSA・RX-7によるE/GTクラスのレコード296.66km/hをマークしている。が、1985年、ロータリーリリアビリティ&レーシング社が13Bターボで307.29km/hをマークしたので、一気にC/GTクラスのレコード322km/h(201.21マイル/h)を破ろうという計画だ。
ボディはむろん、最新のRX-7(FC)。これに13Bターボを搭載するが、規定でツインターボOKなので、日立製ツインチューンで600psオーバーの仕様になっている。
外観はプロダクションクラスなのでノーマルだが、中身は全然違う。チューンドカーやレーシングカートも異なる本場のボンネビル最高速仕様のメカニズムは面白い。
●目標はズバリ350km/h!
【室内】ビックリするくらいのメーター類だ
【エンジン】13Bツインターボは冷却がポイント
【足まわり】タイヤもサスもスペシャル
【パワートレーン】ミッションやデフは凄い作りだ!
■ボンネビル・スピードレコード記録方法はこうだ!
●計測区間は往復10kmなんだと
正式なスピード記録は、ただ真っ直ぐ走ればいいっていう単純なものじゃない。結構複雑なんだ。
現在、SCTAによる方式では通常、全長8マイルのコースが設定され、初めの2マイルが加速区間、次の3マイルが計測区間、そして後の3マイルが減速区間。で、光電式のチェックポイントが2、2 1/4、3、4、5マイル地点にある。
競技方法は、まず車検の次にクォリファイがあり、スタートしたマシンは2マイルで加速して2~2 1/4区間の平均速度が175マイル/h(約280km/h)以上出たら『ロングコースカー』として認められ、その後の3マイル本コースを走れる。その3マイル区間は3、4、5マイル地点の3区間の平均速度を計測し、最も速いスピードと遅いスピードの平均が一方向の正式スピードとなり、同じく反対方向との平均でスピードトライアルの正式記録となる。そして改めて同じ方法で本チャン開始だ。
しかし、もっと複雑なのはクォリファイ・ランを終えて正式にチャレンジしても、スピードが上がらなければ記録にならないし、もし他のマシンが新記録を出したら、その記録が新しいクォリファイ用スピードとなる。他チームとの駆け引きも必要だ。
しかもマシンは1回の走行でも往復約10kmの計測区間になるから、エンジンの耐久性もポイントだ。
[OPTION 1986年9月号より]
(Play Back The OPTION by 永光 やすの)