ベース車から20PSパワーアップされた240台限定車「595 Pista」、カブリオレの「595C Pista」が登場【新車】

■イタリア語で“レーストラック”を意味する「Pista(ピスタ)」

欧州Aセグメントの中でもピリ辛といえる熱い走りが楽しめるのは、フォルクスワーゲンup! GTI、ルノー トゥインゴGT(マイナーチェンジ前モデルで、マイナーチェンジ後の現在は未設定)、smart for four BRABUS sportsといったモデルがあります。

アバルト 595
アバルトの限定車「595Pista」

ベースとなる欧州Aセグメントは、軽自動車より少し大きな全長3.6m級・全幅1.6m台というコンパクトなボディサイズで、古くから庶民の足として愛されてきました。また、その小さなサイズの中に、個性的な内外装デザインが表現されているのも特徴で、劇中では、ルパン三世の映画『ルパン三世 カリオストロの城』に出てきたFiat500、エンジンとトランスミッションを2階立てとしてコンパクトサイズでありながらFF化を実現した英国のミニにも、クーパーやクーパーSなどが設定され愛されてきました。いまでもミニを総称して「ミニ・クーパー」と呼ぶ方もいるくらいです。

そして、Aセグホットハッチとして忘れてはならないのが「Abarth(アバルト)」シリーズ。現在は、Fiatの1ブランドになっていますが、レース、チューニング、アフターパーツを主戦場としたカルロ アバルトが創業したプロフェッショナル軍団でした。

アバルト 595C
595C Pistaのリヤビュー

2020年5月16日発売の高性能ハッチバックの595、カブリオレの595Cに設定される限定車「595 / 595C Pista(ピスタ)」は、通常は設定されていないボディカラーや、出力を向上したエンジン、走りの楽しみを広げるパフォーマンスパーツが採用されています。同限定車は、イタリア語で“レーストラック”を意味する「Pista」という車名が示すとおり、数々のスポーティな装備によりパフォーマンスを高めたモデルとなっています。

■リヤサスペンションに、KONI製FSDショックアブソーバーを採用

既述のように、ボディカラーにはカタログモデルにはない「Blu Podio」(ブルー)が採用されています。さらに、リップスポイラー、ブレーキキャリパー、ドアミラーカバー、リヤディフューザーには、イエローのアクセントカラーが配されていて、スポーティな佇まいが増しています。

アバルト 595
アバルト595Pistaは、ベース車よりも20PSパワーアップが図られている

限定車のベースとなったのは「595」、国内未導入の「595C」。ベース車比で20PS増となる最高出力165psの1.4Lターボエンジンを搭載。組み合わされるトランスミッションは、ATモード付5色シーケンシャルトランスミッション(MTA)と5速MTになります。「595C」は、通常は用意されていないカブリオレ+MTの組み合わせも可能になっていて、オープンエアでありながら熱い走りが堪能できます。

さらに、ハイパフォーマンスエキゾーストシステム「レコードモンツァ」も標準装備されています。また、リヤサスペンションにはKONI製FSDショックアブソーバーが搭載され、足まわりも強化。

アバルト 595
マットブラック仕上げの17インチアルミホイールを装備

装備では、マットブラック仕上げの17インチアルミホイールをはじめ、フルオートエアコン(ダストポーレンフィルター付)やリヤプライバシーガラスが特別装備され、スポーティなルックスと共に快適性も引き上げられています。

アバルト 595
アバルト595Pistaのインパネ

価格は595 Pistaが328万円(MT)/345万円(MTA)、595C Pistaは361万円(MT)/378万円(MTA)です。なお、販売台数は計240台と少ないため、FCAジャパンでは早めの問い合わせを推奨しています。

アバルト 595
アバルト595Pistaの前後シート

小さなボディにスポーティな走りと個性的なデザインを詰め込んでいるだけに、使いやすいサイズ感からすると日本ではつい軽自動車やコンパクトカーと比べてしまいホットハッチは割高に感じるかもしれません。それでもひと度、ステアリングを握れば、手放せない魅力的な世界観を堪能できることは間違いないでしょう。

(塚田勝弘)

<主要諸元>
モデル595 Pista[595C Pista]
MT/MTAMTMTAMTMTA
型式ABA-31214T
ハンドル位置右
全長(mm)3,660
全幅(mm)1,625
全高(mm)1,505
ホイールベース(mm)2,300
トレッド 前/後(mm)1,415/1,410
車両重量(kg)1,120[1,160]
乗車定員(名)4
エンジン型式312B3
エンジン種類直列4気筒 DOHC 16バルブ インタークーラー付ターボ
総排気量(cc)1,368
ボア x ストローク(mm)72.0 x 84.0
圧縮比9.0
最高出力 <kW(ps)/ rpm>[EEC]121(165)/5,500
最大トルク <Nm(kgm)/ rpm>[EEC]210(21.4)/2,000 SPORTスイッチ使用時230(23.5)/2,250
燃料供給装置マルチポイント式
電子制御燃料噴射
使用燃料無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク容量(ℓ)35
ラゲッジルーム容量[後席バックレスト格納時](ℓ)185[550]
駆動方式FF
ステアリング形式ラック & ピニオン(電動パワーアシスト付)
サスペンション前マクファーソンストラット(スタビライザー付)
後トーションビーム(スタビライザー付)
主ブレーキ前ベンチレーテッド ディスク
後ディスク
タイヤサイズ205/40R17
燃料消費率*1JC08モード(km/ℓ)15.6(MT)13.9(MTA)
CO₂排出量[JC08モード燃費換算値](g/km)149(MT)167(MTA)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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