フォルクスワーゲン・グループが3Dプリントによるフェイスシールドホルダーを生産

■各グループ企業が医療機器と消耗品の調達をサポート

中国では、自動車生産がかなり再開してきたという報道もありますが、日本も含めたそのほかの世界では多くのラインが止まったままになっています。そんな中、GMはマスクを、フォードは人工呼吸器を、フェラーリが人工呼吸器の製造に乗り出す(乗り出した)という報道もされています。日本でもシャープがマスク生産を開始し、話題を集めています。

フォルクスワーゲン フェイスシールドホルダー
フェイスシールドホルダーやマスクを生産している、フォルクスワーゲン・グループ

2020年4月2日、フォルクスワーゲングループは、3Dプリントによるフェイスシールドホルダーの生産を開始しました。この生産は、エアバスと約250社が含まれる3Dプリントネットワーク「Mobility Goes Additive」との合同多国籍イニシアチブの一環だそうです。

エアバスにより開発された製品は、スペインで使用され、ハンブルクからマドリッドへエアバスを使って運ばれます。この業界横断的なイニシアチブは、スペイン当局からの要求に応えて開始されたそう。目標は、可能な限り多くのホルダーを生産することで、医療品を生産するためのフォルクスワーゲングループ傘下ブランドによるほかの多くの取り組みが始められています。

従来型のプラスチックフィルムは、他で生産されたホルダーに挿入されます。現在は、それをフォルクスワーゲンが生産し。このシールドを使用すると、顔全体が透明な保護材で覆われます。できるだけ高レベルの衛生状態を確保するべく、ホルダーを生産しているフォルクスワーゲンの従業員は、手袋とフェイスマスクを着用しているそう。

フォルクスワーゲングループ生産部門責任者であるゲルドヴァルカー氏は「私たちのチームは、これらの緊急に必要な部品をできるだけ早く作るために全力で取り組んでいます」とコメント。

これらの生産は、ウォルフスブルグやインゴルシュタットの大規模な3Dプリントセンターだけでなく、アウディ、ベントレー、ブガッティ、MANトラック&バス、ポルシェ、フォルクスワーゲン(乗用車および商用車)、フォルクスワーゲングループコンポーネント、フォルクスワーゲンモータースポーツの他の工場でも行われているそうです。

フォルクスワーゲン・グループは現在、様々な工場で50台を超える3Dプリンターを使用。同プロジェクトのために、これからさらにプリンターを追加していくとしています。

さらに、ランボルギーニ、セアト、シュコダ、フォルクスワーゲン乗用車では、他の医療品の生産にも取り組んでいるそう。フォルクスワーゲンナバラ(スペイン)は、すでに先週フェイスシールドの生産を開始し、ナバラ州政府に約1,000枚を収めました。

フォルクスワーゲン
3Dプリンターを活用し、フェイスシールドホルダーを生産

シュコダは、プラハ工科大学と協力し、再利用可能なFFP3マスクを製造するための3Dプリントプロセスを開発しました。ランボルギーニは、ボローニャのサンタガタの生産施設の一部を改造して、サージカルマスクとプレキシガラス製の保護シールドを生産しています。マスクはボローニャの病院に寄付されます。セアトは現在、正式な承認待ちではあるものの、マルトレルで組み立てられる人工呼吸器の製造や、様々なモデルのフェイスマスクの生産などを含むいくつかのイニシアチブに共同で取り組んでいます。

フォルクスワーゲン南アフリカは、公式の承認待ちではあるものの、マスクとフェイスシールドを生産。フォルクスワーゲングループ内では、30人以上の専門家からなるタスクフォースが、3Dプリントのコーディネーションを行っているそうです。「私たちは仕様、材料、プリントのソフトウェア、およびグループ内での人材の配置を調整します」と、フォルクスワーゲングループのデジタルイノベーション責任者であるゲロコルマンは述べています。

現在までに、フォルクスワーゲンは、ドイツの公衆衛生システムに数十万の医療用フェイスマスクを寄付。フォルクスワーゲングループはまた、フェイスマスクや防護服など、医療センターや病院に総額約4,000万ユーロ相当の医療用品を寄付することを決定しています。これは、ドイツの医療制度が機能を維持するために貢献することが目的だそう。

フォルクスワーゲンはグローバル企業として、国際的なサプライヤーと物流ネットワークを利用して、医療機器と消耗品の調達をサポートしています。現在スペインに提供されている支援は、エアバスとの共同イニシアチブの一部であり、フォルクスワーゲンやエアバスに加えて約250の企業や他のパートナーを含む3Dプリンティングネットワーク「Mobility goes Additive」の下で行われています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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