車検切れのクルマに乗るのは重大な違反! うっかり車検の期日を過ぎちゃった場合、 どうすればいい?【保険/車検のミニ知識】

●車検切れ車輌の運行は犯罪にもなり、万が一の時の補償も受けられなくなる

車検はクルマを公道上で走らせる場合に、絶対必要になるものですが、うっかりしているとその期日を忘れてしまい、有効期限切れということがあるかもしれません。もし自宅の車庫に置いてあるクルマが車検切れになってしまったら、どうすればいいのか、元自動車ディーラー営業マンが、対処法について解説していきます。

・車検はいつから受けられる?いつまで受ければいい?

車検は新車の場合3年間、その他は2年間の有効期限があります(業務用・貨物自動車は1年)。有効期限内に車検を受け、継続検査を行い合格することが、クルマを公道で使用する際の必須条件となります。

車検自体はいつでも受けることが可能です。しかし、あまりに早く受けてしまうことで、せっかく残っている有効期限を無駄にしてしまうこともあるのです。一つの例として、車検の有効期限が2か月以上残っている状態で、継続検査を受けてしまうと、その時点から2年間の有効期限となり、車検の基準日がずれてしまいます。つまり、クルマに残っていた車検の有効期間が数か月分少なくなってしまうのです。

車検ステッカー
早く受けてすぎても問題がある車検、受けるタイミングが重要です。

車検満了日を変えずに、残った有効期限を無駄にしないためには、車検満了日の1か月前から満了日当日までに車検を受けることが必要です。この場合には、車検の基準日のズレは発生しません。例えば9月15日に車検満了を迎えるクルマでは、8月15日以降に車検整備をして、適合確認を取り、申請を行えば、次の車検満了も2年後の9月15日となります。

・もしも車検が切れてしまったまま、気づかず乗ると大変なことに

車検満了日を1日過ぎてしまったからといって、突如クルマが動かなくなるわけではありません。もちろんエンジンもかかりますし、走り出すこともできるでしょう。これは、車検とクルマの性能には因果関係がないためです。しかしながら、車検が切れた状態では、絶対に公道を走ってはいけません。日本では、クルマが公道を走るためには許可が必要であり、それが車検です。

許可されていないクルマで公道を走れば、ドライバーは道路運送車両法違反として、処罰されてしまいます。

車検切れで公道走行をした場合、無車検運行となり、違反点数6点・30日間の免停・6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。一般的なスピード違反や信号無視などの交通違反をした場合の青切符ではなく、無車検運行は赤切符となり、行政処分の対象ですから、罪の重さが格段に重くなっていることを認識できると思います。

さらに、車検切れの場合、強制保険である自賠責保険の保険期間も満了している場合が多いです。無保険運行も重なると、違反点数12点・90日間の免許停止・1年6か月以下の懲役または80万円以下の罰金と罰則もより重くなります。この状態で人身事故を起こすと一発で免許取り消しとなります。物損事故の場合でも、無車検のクルマには任意保険も適用されませんので、損害の全てを自らが補填する必要があります。絶対に車検切れの状態での公道走行はしないでください。

自賠責保険
車検と同時に付保する自賠責保険(強制保険)は、車検切れと同時に期限切れになるケースが多いです。どちらも切れたままの運転は厳禁です。

・車検業者やディーラーに相談するのが一番

車検が切れてしまった場合は、居住地域の車検代行業者か自動車ディーラーに相談しましょう。車検切れのクルマでも受け入れてくれますし、しっかりと相談にのってくれるでしょう。

電話連絡を入れて整備予約を取る際に、車検切れの状態であることを伝えます。日時の融通はきかないかもしれませんが、レッカー車やローダー車でクルマを取りに来てくれますので、整備工場へ預けることができます。車検切れのクルマでも、レッカー車やローダー車のように、タイヤを公道につけない状態での移動は可能です。その後、代行業者や自動車ディーラーによって車検取得したクルマを引き取りにいけば、無事に車検切れを解決することができます。

ローダー車
車検切れになり公道走行不可となったクルマはローダー車やレッカー車で移動しましょう。車検整備を請け負ってくれる業者が保有しているはずです。

自分の力で車検を通す場合や、自走して整備工場まで運ばなければいけない場合は、仮ナンバーの申請を行います。お住いの地域の市区町村役場で発行しています。仮ナンバーの発行に際して、車検証・運転免許証・印鑑・自賠責保険証が必要になります。手元にある自賠責保険が切れている場合、保険代理店で1か月単位の加入ができるので、保険期間が有効な自賠責保険証を持っていくことが必要になります。自賠責保険は、2年分まとめて加入する場合よりも、1か月という短い期間で加入するほうが、かなりの割高になります。仮ナンバー取得後に、車検を通すのであれば、車検有効期間プラス1か月(25か月)分の加入をしてしまい、車検取得時にも利用できる自賠責保険証とすることがおすすめです。

仮ナンバーの申請をする際には、車両を「いつ」「どこからどこまで」「どのような用途で使うのか」を申請する必要があります。申請に不備が無ければ、その場で仮ナンバーは発行されますが、有効期限が非常に短いので、すぐに車検を受けに行かなければなりません。

また、無いとは思いますが、仮ナンバーを取りに行くために陸運支局へ車検の切れたクルマに乗っていくことは、先に上げた道路交通法違反になります。公共の交通機関をつかったり、複数台のクルマを所有している場合には、車検の切れていないクルマで出向きましょう。

まとめ

車検切れのクルマに乗ることはリスクの塊であり、重大な法令違反になります。車検が切れてしまったらクルマは動かさないのが大原則であり、走行させるにも非常に面倒な手続きが待っています。車検満了日は、常にフロントガラスのステッカーや車検証でしっかりと確認し、うっかり車検切れとなること防ぎましょう。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
続きを見る
閉じる