■検体採取から2時間範囲内に新型コロナウィルスの検出結果が判明
ドイツのメガサプライヤーであるボッシュが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の迅速検査システムを開発したと発表しました。ボッシュが新たに開発した新型コロナウイルス感染症の完全自動迅速検査システムは、診療所、病院、検査施設および保健所といった医療機関での迅速な診断に役立てることができるとしています。
6週間で開発されたこの迅速検査により、検体採取から2時間半以内に、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルス(SARS-CoV-2)の検出結果が判明するそうです。また、臨床現場で直接実施できるため、検体の輸送が不要になります。
これにより、感染者の特定や迅速な隔離が可能になると同時に、患者が自分の健康状態について素早く確実に把握することができるようになるそう。現在の検査では通常、患者に検査結果が通知されるまでに1日から2日を要していますが、ボッシュの迅速検査システムは、数時間で結果が出ます。
■インフルエンザA型やB型も同時に検出できる
ボッシュは、今回開発した迅速検査について、あらゆる医療機関で使用できる世界初の完全自動分子診断検査の1つとしています。さらに、新型コロナウイルス感染症に限らず、インフルエンザA型およびB型を含む他の9種類の呼吸器病原体についても、1つの検体から同時に検査することが可能だそう。
「ボッシュの検査の特徴は、鑑別診断を提供することです。これにより、医師がさらなる検査に要する時間が節約できます。しかも信頼できる診断結果がすぐに提供されるので、医師は適切な治療をより素早く開始することが可能です」と、ボッシュ ヘルスケア ソリューションズGmbH社長のMarc Meierがコメント。なお、新たに開発された迅速検査システムは、4月からドイツで利用可能になり、その後、欧州の他の市場やその他の地域にも提供される予定とのことです。
今回、開発されたボッシュの新コロナウイルス感染症の迅速検査システムは、子会社のボッシュ ヘルスケア ソリューションズと北アイルランドの医療技術企業であるRandox Laboratories Ltd.との協働の成果だそう。
「私たちは、パートナーのRandoxと協力して、きわめて短期間にこの革新的な迅速検査システムの開発に成功しました。ボッシュは現在、ロバート・ボッシュ病院などの医療機関で働く医師や看護スタッフが、他者への感染のおそれなくできるだけ長く働けるよう、彼らが迅速に検査を受ける方法を検証しているそうです。
さまざまな臨床試験の結果、ボッシュの検査は95%以上の精度で結果を出してます。この迅速検査システムは、世界保健機関(WHO)の品質基準を満たしています。検体は、患者の鼻または喉から綿棒を使って採取。続いて、検査に必要なすべての試薬がすでに収められているカートリッジをVivalytic装置に挿入して分析します。
分析中、医療スタッフは患者の治療などの別の業務に携わることができます。Vivalytic分析装置は、使いやすい設計で、特別な訓練を受けていない医療スタッフでも確実に検査を実施することができるそう。ボッシュのVivalytic分析装置は、24時間のうちに最大10種類の検査を実施することができます。100台の装置で1日あたり最大1,000回の検査を行うことができるようになります。
新型コロナウイルス感染症の拡大が勢いを増す中で、検査施設はすでに能力を超えて稼働しています。ボッシュのVivalyticは、対応可能な検査件数の拡大に貢献するとしています。
(塚田勝弘)