ヤマハが高性能モーターの試作開発受託を開始! エンジン開発で培った技術で軽量・高効率を実現

■まずは試作提供を通じて市場ニーズを発掘するのが目的

2月4日(火)、ヤマハ発動機が、都内で説明会を開いた。「EVモーターユニット試作開発受託について」と題され、ヤマハが電気自動車用の電動モーターユニットの試作開発受託を開始したことを発表。会場にはヤマハ製の試作モーターが展示され、そのテストの模様も動画でお披露目された。

電動モーターユニット
開発中の電動モーターユニット(35kWクラス)。最大出力は200kWまで対応するとし、その一番小さな出力モデルということで、発表会の場に持ち込まれた。

説明会にはAM開発統括部の原田浩之業務部長と、同AM第2技術部の原 隆主査の2名が登壇した。ちなみにAM開発統括部のAMとは「AutoMobile」の略で、4輪系の開発を担当する部署のこと。この試作モーターもモーターサイクルではなく、4輪を中心としたモビリティを対象とする、ということだ。

試作モーター開発者
説明会に登壇したAM開発統括部の原田浩之業務部長(写真左)と、同AM第2技術部の原 隆主査(写真右)

展示された開発中の永久磁石埋め込み型同期モーター(IPMSM)ユニットは、35kWクラスのものだが、これまでヤマハがバイクの製造で培ってきた生産技術を駆使。鋳造から薄肉化まで社内の加工技術で仕上げられた軽量なモーターハウジング、そしてコイルの巻線などの高効率なセグメントコンダクタの効果もあって、業界最高クラスの出力密度を実現しているという。

ユニット活用イメージ
モーター、インバーター、減速ギヤを一体にパッケージしたユニット活用イメージ。

モーターサイクルの多品種少量生産に対応してきたヤマハだけに、短期間で要望に合わせた試作開発が可能であるとし、さらにはヤマハらしいサウンドにもこだわっていきたいという発言も聞かれた。

ユニット搭載イメージ
モーターはオンボードタイプのみを試作対応するとし、インホイールタイプは現在のところ考えていないという。

お披露目された開発風景の動画に登場するテスト車両は、カモフラージュラッピングが施されているが、アルファロメオ4Cとみられる。ミドシップモデルであるが、この小さなリアセクションにバッテリーと駆動ユニットを搭載して実際に走行をしており、小型スポーツモデルでもインストールが可能であることをアピールしているともみられる。

ユニット搭載イメージ
ライトウエイトスポーツモデルでも、電動ユニットが搭載できている。

今後のニーズによってはユニット全体への展開もあるようだが、現時点では、まずは、電動パワーユニット全体の提供ではなくモーター単体のみの試作としている。その委託元については、国内外を問わず、既存の自動車メーカーからスタートアップまで幅広く求めているという。また広くモビリティに対応するとしており、依頼があれば陸上の移動だけにとどまらないとも。

ユニット搭載イメージ
開発用の実車両に実際に駆動ユニットを搭載。

今回の試作開発受託は、社外への試作ユニット提供を通じた、市場ニーズの発掘を目的としているとも明かす。そして試作から量産へといった展開にも対応できるヤマハだけに、来るべきこれからの電動モビリティの世界で急激にその存在感を増すかもしれない。

(青山義明)

この記事の著者

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青山 義明

編集プロダクションを渡り歩くうちに、なんとなく身に着けたスキルで、4輪2輪関係なく写真を撮ったり原稿書いたり、たまに編集作業をしたりしてこの業界の片隅で生きてます。現在は愛知と神奈川の2拠点をベースに、ローカルレースや障がい者モータースポーツを中心に取材活動中。
日本モータースポーツ記者会所属。
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