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■悲鳴か注意喚起か。サインを正しく読み取る力を持とう
クルマの走行中に、普段は点灯していない表示がメーター内に現れたら、それはクルマからの不調のアピールかもしれません。重傷で走行してはいけないのか、それともあとで対処すれば大丈夫なのか、警告灯についての知識を得ることは、安全にクルマを使用するドライバーの必須条件ともいえるでしょう。今回は、クルマの意思を汲み取るための、メーター警告灯について、解説していきます。
・点灯なのか点滅なのか? 色は何色か?
メーター内に表示される警告灯は、様々な形で表示され、その表示方法により緊急度合いや対処が異なるようになっています。
まずは、警告灯の色で識別をしていきましょう。メーターの中は、赤、黄色、緑、青といった多彩な色で、クルマの状態を示してくれます。多種多様な機能が付属するようになった現在のクルマでは、緑や青で、機能の作動状況をお知らせしてくれています。例えばヘッドライトの点灯時や、クルーズコントロールの作動時など、特定の機能が作動状態だという表示が、青や緑で行われています。
クルマが警告を呼びかけるサインの色は、赤や黄色(橙色)の表示です。赤色のサインの中には、日常から目にするシートベルト非着用警告灯や、パーキングブレーキをかけた際に点灯するものがありますが、充電異常や高水温警告などの、緊急性の高い異常を検知した際に点灯するものもあります。黄色(橙色)のサインの中には、ABSやトラクションコントロールが作動した際に点滅するスリップ表示灯のように、走行中のクルマの不安定さをお知らせするものなどから、エンジン警告灯のようにセンサー類の異常を示すものもあります。まずは、赤や黄色の警告灯が点灯や点滅をしたら、何か異常を検知したのかと疑うことが大切です。
・走行の可否や対処方法を取扱説明書で確認
クルマに表示される警告灯については、各車の取扱説明書に記載があります。警告灯の重大度合いによって、走行を続けていいのか、その場で即座に停車する必要があるのかが、詳しく定義されています。
最も危険なサインとして記載されているのが、ブレーキ警告灯です。取扱説明書の中にも「ただちに停車してください。走行を続けると危険です」とされています。ブレーキ警告灯は、パーキングブレーキ作動時に点灯するもので、解除すると通常は消灯します。パーキングブレーキを解除して走行しているのにも関わらず、走行中にブレーキ警告灯が点灯したままになる状態は、ブレーキ液の不足やブレーキ系統の異常を示します。クルマを走行させると止まれなくなるリスクが大きいため、直ちに停車及び走行中止を呼びかけるものです。
次に危険なサインとして記載されているのが、充電警告灯と高水温警告灯です。カーバッテリーへの充電系統の異常や、エンジン冷却水の高温異常を検知した際に点灯するもので、「ただちに停車してください」とされています。
走行はできるものの、点検が必要なサインは、エンジン警告灯やSRSエアバック警告灯、パワーステアリング警告灯などが当てはまります。取扱説明書には「ただちに点検を受けてください」とされています。システム異常が多く、思わぬ危険や故障を招くサインです。これらのサインが出た場合には、速やかにカーディーラーでの点検を受けましょう。
一度警告灯を目にしたら、取扱説明書をしっかりと確認し、対処を正しく行うことが大切です。
・警告灯はエンジンのON・OFFで消灯することも
これらの点検整備が必要となる警告灯は、一度エンジンを切ってしまうと、再始動した際には消灯してしまうものもあります。できるだけ「ただちに点検を受けてください」と表記されている警告灯が点灯した場合には、エンジンを切らずにディーラーに持ち込むと、故障診断もスムーズに進みます。
やむなくエンジンをOFFにせざるを得ない場合には、スマホのカメラなどで、点灯した警告灯を撮影しておき、ディーラーのエンジニアに見せられるようにしておくといいでしょう。
カーディーラーでは、故障診断機を使って、過去に点灯した警告灯を見つける方法もありますが、一部は記録に残らず、何が点灯したのかわからないということもあります。「今は点灯していないので、何があったのかわかりません」というユーザー側もモヤモヤする状況を回避するために、警告灯の表示状態を記録に残しておくと万全です。
・まとめ
点灯するとドキッとする各種警告灯ですが、対処法をしっかりと見極めて適正に対処することで、大事故や大きな故障を未然に防ぐことができます。驚かずに冷静に確認することが、クルマのサインを正確に読み取り、対話ができるドライバーの第一歩です。
(文・写真:佐々木 亘)