■新コーナー「清水和夫先生の、今さら聞けない 新クルマ用語解説」2回目は「MaaS」
ここ数年、電気自動車や自動運転など、新しいモビリティやテクノロジーが生まれるたびに、聞きなれない言葉や???な略語が世の中にあふれてきましたよね。はっきり言って…なんとな~くしか意味が分かりません!
ということで、ここはその世界に精通していて、また警察庁や国土交通省などの数々の政策アドバイザーも務める国際モータージャーナリスト・清水和夫さんに、【今さら聞けない 新クルマ用語解説】と題し動画で解説してもらおう!という新コーナーがスタートしました。
今回のFile No.02は、略語が定着しその意味が何なのかよくわからない「MaaS(マース)」について教えて、清水和夫先生!
●「CASE」の「S」から生まれた「MaaS」。モビリティはサービスって…なおさら分からない?
「CASE(ケース)」というのは、2016年のパリ・モーターショーでダイムラーベンツ社のディーター・ツェッチェ会長が放った言葉で、以来CASEという言葉で自動車の作り方、社会が変わってくる…、そんな期待があります。
【CASE】
C=Connected(コネクテッド)
A=Autonomous(自動運転)
S=Shared&Service(シェアリング)
E=Electric(電動化)
このCASEという言葉の「S(シェアリング)」の部分。これは2018年頃から「MaaS(マース)」という言葉に少し置き換えられて、言葉が独り歩きしているようなところがありますけどね。
【MaaS】
MaaS=Mobility as a Service(モビリティ アズ ア サービス)
つまり、自動車産業=モビリティはサービスとして考えなければいけませんよ! クルマを作って売るだけではなく、その自動車が世の中に出て人々の生活のために、どういう風に便利になっていくのかを考えよう!というのが、MaaSの理念です。
この言葉が一番積極的に出てきたのが、フィンランドの首都・ヘルシンキです。フィンランドは自動車産業がないですから、ヘルシンキでは十数年後、自動車所有数=0を目指す…。まぁつまり、クルマを買うということよりもクルマはシェアリングしよう!というところに、新しい社会をシフトしているんですね。
そこから生まれたMaaSですから、ヘルシンキの街に行くと、バストラム、シェアリングレンタカーなど、いろいろな乗り物がワンアプリで全部利用できるというのが、ヘルシンキから生まれたMaaSです。
このことは今、日本の中にもシフトしてきて、いろいろなところでMaaSという言葉が出てきています。特に地方都市の場合は、インバウンド(訪日外国人旅行)の観光客を多く呼び込みたいですから、MaaSという言葉を使って移動の多様性、利便性を打ち上げています。
しかし、このMaaSはあまりにも概念が広いので、MaaSの中には観光としての旅行者が自由に移動できるという部分もあるし、ドライバーのいないロボットタクシーみたいなものもあるし、あるいは公共交通機関的な無人バスみたいなものも考えられていますから、いろんなものがMaaSという言葉の中に入ってきています。
ですから「MaaS」と一言で言っても、一体どのことを言っているのか…ハードウェアの話、ソフトウェアの話、サービスの話…。MaaSの多様性が見え隠れしています、
MaaSはその先に、具体的に何をするのか?ということまで考えていかなければいけません。言葉が独り歩きしていくと、十人の人にMaaSと言っても十人十通りの解釈があるので、なかなか共通の理論ができないと思います。
それが現在のMaaSの実情だと思います、
(解説:清水 和夫/アシスト:永光 やすの/動画:StartYourEnginesX)
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