●どんなクルマでどんな道をどんな仲間と走っているのかを確認したい
1月10日の東京オートサロン2020、TOYOTA Gazoo Racingブースの記者発表の締めくくりとなったのが、「新しい取組みのお知らせ」と題されたものでした。
その発表の際アンベールされた2台のクルマ、GRヤリスとGRスープラのスーパー耐久仕様が発表されたのです。この2台はTOYOTA Gazoo Racingではなくモリゾウ選手こと豊田章男トヨタ自動車社長のプライベートチーム「ROOKIE RACING」からスーパー耐久に参戦する2台なのです。
元々はグッドスマイル 初音ミク AMGなどでドライバーを務める片岡龍也選手が監督として立ち上げたチーム「T’s Concept」に、豊田章男社長のご子息である豊田大輔さんが参加したことがきっかけとのこと。大輔さんをトヨタ車の製品評価を行うマスタードライバーに育てようという有志の集まりがT’s Conceptに参加している小倉クラッチの小倉康宏社長とともに大輔さんがレース活動をすることに賛同し、レース活動が始まりました。
トヨタ自動車の現在のマスタードライバーは実は豊田章男社長。先代のマスタードライバーである成瀬廣さん(故人)からドライビングを叩き込まれてマスタードライバーになったという経緯があります。
大輔さんがレース活動を始める以前から豊田章男社長はっモリゾウ選手としてニュルブルクリンク24時間レースに参戦するなどレース活動を行ってきましたが、実父である豊田章一郎名誉会長からはレース活動を反対されていたといいます。
なので親としては大輔さんのレース活動には反対であったとのことですが「どんなクルマでどんな道をどんな仲間と走っているのかを確認したい」とのことで2018年のスーパー耐久最終戦にモリゾウ選手として参加したのが始まりです。
2019年には「小倉社長などへ感謝の気持ちを込めて」自費でトヨタ86をチームに投入し「自分もレーサーとしてはルーキー」ということでROOKIE RACINGというチームを立ち上げ、フル参戦。富士24時間レースにも参戦しています。
その参戦でモリゾウ選手として同じスーパー耐久で戦うライバルチームなどからミッションが弱い、エンジンのここが弱いなどの様々な意見を聞いたということです。そのどれもが市販車レベルでは問題になることがない、つまり豊田章男トヨタ自動車社長としては耳に入ってこないことばかりで、こういった意見を聞くこともいいクルマ作りには欠かせないものだと実感したそうです。
そこで2020年はGRグローバルブランドの2台、GRヤリスとGRスープラで参戦することで、更なるいいクルマ作りを実践できるのではないかという考えのもと、スーパー耐久にフル参戦することにしたということです。
ドライバーもレギュラードライバーに井口卓人選手や蒲生尚弥選手などそうそうたるメンバーを揃えています。また富士24時間レースなどでは「偉大なる補欠ドライバー」としてSUPER GT2019チャンピオンの大嶋和也選手や石浦宏明選手も参戦するとのこと。
スーパー耐久シリーズに今話題のGRグローバルブランドの2台を投入するだけでも注目を集めますが、ドライバーラインナップや参戦の意味なども含めて、ROOKIE RACINGは大きな話題となることは必至と言えるでしょう。
(写真・文:松永和浩)