BMW・Z4 M40iは見た目を裏切らないリアルスポーツカーだ【BMW Z4試乗記】

■全長・全幅を拡大してもソフトトップ化、ショートホイールベース化で走りの期待が高まる

トヨタ・スープラ、BMW Z4のデリバリーが開始され、街中でいまでは貴重なスポーツカーとして存在感を発揮しています。

約3年の空白期間を経て復活した新型Z4は、全長4335×全幅1865×全高1305mm、2470mmのホイールベースで、車両重量は1570kg。先代は全長4255×全幅1790×全高1280〜1290mm、ホイールベースは2495mmで、車両重量は1600kg(sDrive 35i M Sport)ありました。

BMW Z4
BMW Z4のエクステリア

現行Z4は、先代よりも全長が85mm長くなり、全幅は75mmワイドに、全高は15mm高くなり、ホイールベースは逆に25mm短くなっています。また、先代「sDrive 35i M Sport」よりも110kgも軽くなっていて、重心高を下げるソフトトップの採用(先代はリトラクタブルハードトップ)など、より走りへの期待が高まるディメンション、ルーフタイプになっています。

BMW Z4
BMW Z4のリヤビュー

ボディの大型化は、ほかのスポーツカーと同様に軽快感では譲るものの、ホイールベースの短縮は回頭性の高さなどの利点もあります。また、サイズアップしたにも関わらず重量増を抑え込んでいるのも特徴です。

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3.0L直列6気筒ターボを搭載する「M40i」

激辛モデルである「M40i」の心臓部は、3.0Lの直列6気筒ガソリンターボで、伝統のロングノーズにシルキー6を配置。340PS/5000rpm、500Nm/1600〜4500rpmというアウトプット。トランスミッションは8速ATで、パドルシフトももちろん備わります。

■興味本位で「M40i」を選ぶと火傷しそう!?

「Mスポーツサスペンション」「アダプティブMサスペンション」に加えて、255/35ZR19、275/35ZR19サイズのミシュラン「パイロット・スーパー・スポーツ」を履くため、乗り味はかなりハード。とくに、低速域でギャップを乗り越えると大きめの揺れで揺すぶられます。

走行モードを「スポーツ」以上にすると、圧巻のダッシュ力と伸びやかな加速を引き出せます。不用意にアクセルを踏み込むと若干のトルクステアを伴って進路が乱されそうになり、かなりのじゃじゃ馬であることがうかがえます。

オープンにするとエグゾーストが高まり、「ファン・トゥ・ドライブ」であることは軽く流している分には味わう余裕がありますが、基本的にはリアルスポーツカーであることは隠しきれない印象。

BMW Z4
BMW Z4のソフトトップオープン時

なお、クローズ時のボディ剛性や遮音性はロングツーリングでも苦ではないレベルで、屋根を閉めて日常使いをする際の快適性も担保されています。

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BMW Z4のリヤまわり

圧巻なのが高速域の旋回性能の高さ。FR+オープン(ソフトトップ)という形式でも絶大なグリップ感により、アップダウンが激しく、コーナーが多い中央道のような高速道路でも絶大なスタビリティを味わえます。

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BMW Z4のインパネ

軽量オープンの代表作であるマツダ・ロードスターのように小さなボディと軽さで勝負するタイプではないものの、ショートホイールベース化、パワフルなエンジンにより、アクセルを踏み込むとヨーモーメントが増える様が分かりやすいのも美点。

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BMW Z4のシート

Z4 M40iは、専用エクステリアや大径タイヤなどに惹かれて手を出すと、思いのほか辛口で、オープンエアでスポーティムードを楽しみたいのなら「sDrive 20i」が無難でしょう。逆にオープン/クローズの両方が可能なリアルスポーツカーというニーズには応えてくれます。

(文/写真 塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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